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 4歳児と給食を食べていたときのことです。この日は冷やし中華でした。

 酸味もほどほどで、麺の上にはキュウリ、モヤシ、鶏肉、トマト、薄焼き卵、クラゲもちょっとのっていました。それはそれはおいしくて、私はパクパク食べていました。早い子はおかわりもしています。
 ところが、やすくんが手をつけずに、そっぽを向いて座っています。
「嫌いらしく、食べないんです」と保育者が言うので「子どもは麺は好きだから、麺だけあげたら」と提案し、小さなお皿に麺とつゆをかけて持っていきました。すると、つるつると食べます。お腹は空いていたのでしょう。
 さて、テーブルの上には手つかずの冷やし中華が。
「これ、私食べてもいい」と聞くと「いいよ」と言うので、おかわり代わりにいただくことにしました。
 やすくんの前で食べ始めました。
「キュウリ、たべれる」と、私が食べているのを見て声をかけてきました。
「え? キュウリは食べれるの?」と驚いて聞くと「うん」。
 さらに「それ なあに?」と、モヤシを指さします。「モヤシ」と答えると「モヤシもたべれる」と言います。
「じゃあ、鶏肉は?」「たべれる」。
「じゃあ、卵は?」「たべる」というじゃないですか。
「じゃあ、いったい、何が食べられないの?」と聞くと「トマト」。
 たった一切れのトマトが食べられないだけだったのです。
「あらやだ、トマトだけ、いやだったの! じゃあ、トマトだけどけてあげようか?」と、私の手元にある本来彼のものだったお皿を差し出すと「いや!」と拒否します。
 仕方ないから、麺だけのせてきた小さめの皿にキュウリ、モヤシ、鶏肉、卵をのせてあげました。 ぱくぱく食べて、おかわりもしました。

 

 盛った皿からトマトをとるのと、新しい皿に初めからトマトをのせないで盛ったのと何が違うと思います?

 彼は説明しきれませんでしたが、どうやらこんな感じのようです。いったんトマトをのせたものにはトマトの臭いがついている。もしくは、いったん嫌いなものがのせられたものは許せないという感じだと思います。

 この感性、わかる気がします。私はセロリが嫌いですから、その臭いには敏感です。

 多少入っていても食べられるようになったのは、40歳もすぎてからでしょうか。

 それでも、セロリをかじることは未だにできません。
 
 数日後、やすくんのお母さんと話す機会がありました。お兄ちゃんはトマトが大好きだそうです。家族、みんなが好きな果物も彼は嫌いだそうです。
 好き嫌いって、不思議ですね。感性の違いとしか言いようがありません。
「好き嫌いをせずに、残さず食べましょう」と、強要させられることが多い子ども時代は大変だなぁと我が身を振り返りながら思います。
 だからといって、こんな対応している私は過保護でしょうか?(7月8日 記)

 

 

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