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 りんごの木の庭では、沈丁花のつぼみがずいぶん膨らんでいます。水仙の花も咲きはじめました。 春は香りとともに、もう、すぐそこに来ていますね。


 さて、りんごの木には保護者会なるものがありません。一般的に保護者会や PTAがある園では、行事は主に園側が企画し各クラスから代表者をだして進めていく、全員参加型が多いと思います。

 りんごの木は、親たちはやりたいと思ったときに、この指止まれ式にやりたい人を募ってイベントを企画します。たった一人の思いつきから始まっていいのです。ですから全員参加ではないし、恒例ということもなく、言い出した人がいたときに催しものがあります。
 今年度はバザー、お祭り、親父の会などがありましたが、今回は「ステージ ステージ」でした。
 企画スタッフを中心に、会場取り、出演者募集、プログラム作成などの準備から、当日の照明、音響、ビデオ撮影など、プロの父たちやその友人までもかり出されて、それは盛り上がったステージになりました。
 演目はヒップホップのダンス、バンド演奏、チェロ、ウクレレ演奏、チアダンス、オリジナル曲のギターの弾き語り、リコーダー、合唱と、主にダンスと音楽系でした。

 出演者はお母さんたちが圧倒的に多く、次にお父さん、そして子どもたちです。なんと、卒業生の親も登場しているではありませんか!

stage 初めて見る子ども、どうやらりんごの木の子どもの友人のようです。どうやって声をかけて繋がっていくのでしょう。うれしい驚きです。いつも送り迎えの時に顔を合わせる程度のお父さんに、こんな腕があったのかという驚きもありました。
 そして、なにより驚いたのは、お母さんたちの輝きとパワーです。
 踊ったり、うたったり、寸劇をしたり、多種多様な舞台でしたが、それは日頃の○○ちゃんのお母さんではありません。好きなことをやっている輝き、人に見られることの緊張感と輝きはまぶしいばかりでした。
 私はこういうのはまったくだめです。芸がありません。そして、舞台で見られるのはしゃべること以外はからっきしダメです。特等席の客席を用意され、口を開け、笑い、引き込まれるように見ていました。
 なんどか、涙ぐみそうになりました。りんごの木がいつしかこんなに大勢の人の居場所になっているという実感。りんごの木が愛されている実感。お母さんたちが自主的に動いて、これだけの催し物を開けたこと(これはバザーのときも感じています)。そして、一人ひとりの表情の中に、気持ちが軽やかにはじけているのを感じます。
 子どもたちは適当に見たり参加したり、小さい子はお母さんの裾にくっついて壇上に。幸せそうな親たちの側で案外穏やか、けんかはおきませんでした。
 親たちも自分のために楽しむ企画がこんなふうにできるのです。そして、そのことで親も子も自分を取り戻しホッとできるのです。日本中にこの親たちの種をまきたいと思いました。そうすれば、もう少し親も子も楽になれる気がします。
「あー。今日は帰ったら掃除しなくちゃ!」と、ため息をつきながらも、しばらくは心うきうき家事ができそうなお母さんの顔でした。(2月11日 記) 

 

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