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 日々にぎやかになってきました。朝、お母さんと別れるときに泣く子もいます。
 子ども同士がごっつんこをして、泣く声が聞こえます。薄いベールを一枚とって、周りも見えるようになり、泣けるようになったんです。
 3歳児でも子ども同士がいっしょにあそぶ姿が見られます。4人が滑り台の下で、ぎゅうぎゅうになって、しゃがみこんでいます。どうやら「おみせやさん」らしく、上のすきまから草を下に渡す子がいます。細長い草をとって「はっぱです」と差し出した子に「はっぱではありません。ぎょうざです!」と返しています。たしかにそれはニラの葉でした。形はいっこうに餃子には似ていませんが、臭いでつもりになっているのです。おもしろいですね。


 四月から始まって、日々子どもの様子は変わってきていますが、疲れてもいます。なにしろ人生初体験のことですからね。一日行って終わりかと思ったら、また翌日も行くんです。毎日という意味がやっと身体でわかってきたのですが、刺激的な日々は疲れます。

 保育者だって一息入れたい時期ですから、ゴールデンウィークはありがたいグッドタイミング。前半は終わってしまいましたが、三日後に後半の4連休があります。(カレンダー通りの方は)ワクワクしますが、遠方にお出かけや刺激的で興奮するイベントはちょっと避けてほしいです。気分転換は結構疲れます。穏やかな休息になる、のんびりゆったり近くの散歩や、ザリガニ、おたまじゃくしとりなどがいいかと思いますよ。


 3歳児以下は、連休明け、また通園が始まることを予測していません。ですから、え!? とばかりに仰天。泣く子が続出するかもしれません。でも、大丈夫です。いちおう、一回体験していますから四月よりはショックが少ないです。
 思い切って預けて行ってください。連休明けからがいよいよ本番です。

 

 さて、このところ気になっていることを書かせてください。
 新聞に「孫育てのツボ」今どきの常識という記事がありました(毎日新聞4月14日くらしナビ) ご存じのようにジジ・ババが育児に参加する機会が多くなったので、‘孫育て’なんて言葉まで登場。ところが、ジジ・ババ世代の子育てと現代では全くと言っていいほど違うことがいっぱいなので今どきの赤ちゃん育ての常識が書かれていました。

 日光浴をする→しないでいい
 抱っこはせず泣かしていい→抱きましょう
 ベビーパウダーをつける→汗腺が詰まるから、つけない

 

 気になるのは虫歯菌です。

 虫歯は菌でうつるので自分の口に入れた食べ物をあげない。箸も別にして共有しない方がいいという指導です。(これはすでに15年前くらいから常識とされているようです。)
 違いは、掲載されているほかにも、断乳、トイレトレーニング、母乳、離乳食……たくさんあります。
 時代と共に子育ての常識が変わるというのは、言い換えれば厳密にこうしなければならないということはないとも言えます。だって、かつてのジジ・ババが育てた今のパパ・ママは、ぼろぼろですか? 汗腺は詰まり、抱っこされなかったから不安定で、虫歯だらけでしょうか?
 同じ紙面に「子ども相談室」で、子どもの指しゃぶりは2歳半頃をめどにやめましょうという小児歯科医の記事が載っていました。
 時代と共に、いろんな事が研究されて細部のことがわかっていくということと、それを親に要求するというのは違うと思います。それだけ「ねばならない」ことが多い子育てなんてたまったもんじゃありません。あくまでもこれらは情報であって、子どもの命が脅かされるほどのことではないと承知しなければいけません。


 私の知っている歯科医は「虫歯が菌で移るのは確かです。でも、インフルエンザじゃあるまいし、着いたら発症するというほどのものではありません。それより、お母さんが食べているのをほしがって、あーんと口に入れてあげたときの子どもの笑顔を優先しましょう」と言っていますし「どうしてそんなに虫歯が怖いんですか?」という医者もいます。
 育児専門書や雑誌は、多くが正論の教科書です。教科書のように実践して生きれる人はあまりいません。いえ、教科書のように生きてはいけません。どんなところでも生きていく力を人は持っているのですから、いい加減が有効です。
 何より大事なのは、子どもの笑顔であり、パパ・ママの笑顔であり、ジジ・ババの穏やかな暖かさだと思います。身体や人間関係の形ばかりを整えようとして、子どもの心を置き去りにしてしまわないでほしいと切に願っています。(4月29日 記) 

 

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