wrs

 

 りんごの木は8月27日から二学期が始まりました。

 残暑という暑さはたまりません。日々、溶けそうな暑さなのですが、用意したビニールプールに子どもが殺到することもなく、入っていた子も「さむい」と出てくるのですから、もはや夏は終わりに近づいているのでしょう。

 そういえば、蝉も木の低いところに止まっていて、3歳児でもとれやすくなりました。

 赤トンボの姿も見かけます。
 4、5歳児では毛糸の指編みや、フリースのぬいぐるみ作りが流行りはじめました。

 子どもは季節に敏感? それとも、鈍感? よくわかりません。


 さて、前回卒業生のキャンプの話をしましたが、お伝えしたいことがまだありました。

 追伸です。
 部屋の中の布団を敷き詰めた上に、小学校中学年女子が6人くらいごろごろしながらおしゃべりをしていました。通りかかるときょうだい関係の話をしているようだったので、私も参加しました。
 そこにいる子は、きょうだいの下の子でした。全員が下はイヤだと言います。

「いつも、服とか、上のおさがりだしね」

「だいたい、お母さんはいちばん上を、いちばん大事にしている」と、みんな言うのです。私はびっくり、だって、大半のお母さんたちが、第一子は緊張して育てているためにかわいいという実感がないというのが常です。

 ところが、そのことを下の子は「大事にしている」と感じているかと唖然! 

「私はね5人の末だけど、いちばん下がいやだって感じたことないな」というと、

「えー!」

「私、真ん中がいいな」

と、末に満足なんて子はいないのです。

「かわいがられている」という実感は認識されていない? 
「あいこのいちばん上の人は何歳?」と聞かれて、

「えーと、77歳かな」と答えたら、子どもたちの目が点になり、

「あいこって、何歳なの?」

「65歳」と答えたら、もう、子どもたちのきょうだい関係の話の範疇ではなく、話から除外されてしまいました。
 そういえば「いちばん下がいちばん得」と思い始めたのは、大人になってからかもしれません。私も子どものときはいちばん小さいことがいやだったかもしれません。
 私といちばん上の兄とは12歳違います。昔、私が一年生くらいだったでしょうか。夕飯のおかずの魚の切り身の大きさが違いました。
「私の魚は小さい。同じ子どもなのに、きょうだいで大きさが違うのは変だ」と言ったのです。

 他のきょうだいはあきれて、

「だって、おまえは小さいじゃないか。おにいちゃんはこんなに大きいんだぞ」と言いましたが、承知しません。
「差をつけるのは許せない」と、食べなかったような気がします。

 もしかしたら、何も言わない母が少し分けてくれたかもしれません。

 この辺は記憶にないのですが、魚の切り身の大きさが違うことに腹が立ったということだけはいまでも覚えています。


 今回のキャンプに、高校生のお兄ちゃんと小学3年生の妹がいました。その大きさの違いには愕然とします。身長180センチ以上のがっちりした体格のお兄ちゃん、妹の体積の三倍くらいはあるといってもいいくらいな感じです。
 妹は一人前に兄を批判しています。年齢差7歳。
 キャンプでこのきょうだいを見たとき、始めてその体格の大きさの違いに驚きました。7歳差でこれなんだから、12歳差はどんなだったのだろう。
 この年齢にして初めて、私の主張は無謀だったことを恥ずかしく思いました。今年のキャンプの何よりの収穫だったかもしれません。

 きょうだいの下って、こんなものなのかもしれませんね。いつも背伸びして、上と対等であろうと必死。客観的になんて見られない。


 ごろ寝の子どもたちの話の最後は、誰に八つ当たりするかという話題でした。
 下の子はみんな「おかあさん」ですって。そして、「お母さんはどうしているの?」と聞くと、

「じぶんでなんとかしている」と言ってました。
 キャンプはあそびも面白いけれど、本音のおしゃべりもたのしいです。 (9月1日 記)

 

今年度のバックナンバーはこちらをクリックしてください。