やっと秋らしい風が吹いてきました。日中は暑くても朝晩がしのぎやすくなりました。
このところ気になって、頭にこびりついていることがあります。
それは「イライラする」という言葉。
子育て中の多くの方が「イライラする」と言うのです。
「子どもが言うことを聞かない」
「さっさと食べないから、私の仕事がいつまでも終わらない」
「せっかくつくった料理を、ちゃんと食べない」
といった、子どもが思うと通りにいかないイライラ。
「だいたい、子どものことの責任がいつも母親にくる」
子どもがやんちゃをしたり、他の子にアタックしたり、おもちゃを取り合ったりするのは、仕方がないとも思うけど、その後始末は私がしなければならない。
これは、年齢が大きくなった小学生の母親も、学校からの指示や要求が多く、親の責任のように問われることがあるそうです。
「他の人は、楽しそうに子育てしているのに、どうして私だけが大変なの?」という孤独感や罪悪感でイライラしていることも。
実は、みんな大変なのだけど、一応外面(そとづら)でお目にかかっているからでしょうね、家の中では誰にも見せられない鬼の顔で子どもを叱っていると思いますけどね。
「子育てが上手にできない」たぶん、自分なりの母親像があるのでしょう。そして、それは育児書などに書いてある正しい母親なのではないでしょうか。
その他にも「夫が協力的でない」「舅姑が口うるさい」……。ほんとに限りなくたくさんのイライラがあるようです。
どうして、こんなにイライラしながら暮らしているのか、なんだか、健康ではない気がして心配になってしまいます。
六十代、七十代の子育て支援者さんたちと話していると、昔とはずいぶん違って、恵まれているような気がします。
昔は家事労働が大変だった。今はスーパーやデパートでできあいのご飯もあるし、子連れで食べに行くところもある。洗濯機も全自動になったり、お風呂もボタン一つになった。アイロンかけが必要な物も少なくなった。そういえば、今の人は裁縫道具さえ持っていない人も多いくらいに、手作りの必要がない。
紙おむつなんて便利なものもある。
ベビーカーで、どこにも出かけられる。電車やバスにも子どもを乗せたまま乗車できる。
町には支援センターやひろばもあり、保育園の園庭開放や子どもの一時預かりもあって、地域は子育て中の親たちにやさしくなった。
ジジババ世代は、若い人たちにかなり寛容になっているとも思っています。
考えてみると、確かに時代は子育て中の人に配慮されていると思います。もちろん、まだまだかもしれませんが、比較するとということです。
でも、今の人たちは「イライラする」と言うのです。
思うのですが、つまり便利になるとか、優遇されるとか、環境が良くなることと、イライラは問題がべつなのではないでしょうか。
周りの人が気になるとか、いいお母さんに見られたいとか、子どもをちゃんと育てなければとか、複数の子どもを平等に愛さなければとか、食事をちゃんとしないと子どもが成長しないのではないかとか、迷惑をかけない子に育てたいとか、感情で叱るひどい母親だとか……つまり、子どもにイライラさせられているというより、自分自身の中に脅かされているイライラの素があるのではないでしょうか。
どんなに恵まれた環境にあっても、イライラを解消するのはむずかしいのかもしれません。そしてまじめに子育てに取り組んでいる人ほどイライラは募るのかもしれません。まだ、親になっての年月が浅ければいい加減(ほどよい加減)なんてできないでしょうし。
イライラする自分に気持ちが重くなるより、ここはイライラをはき出す方法を考えた方がいいのではないでしょうか。
ともかく、身体から出すことが大事です。
はき出す方法のもっともしやすいのは人に話す。本音で話せる人をみつける。
ママ友なんて大勢いなくていいんです。たったひとりでいいです。
愚痴を聞いてくれる人がいなかったら、インターネットでもいいと思います。
書くという人もいると思います。書くことで、気持ちが整理される。
夫とけんかするのも気持ちがスッキリするかも。
おちゃわんやお皿を割る。子どもを壊すよりずっといいです。
大声を出す。思いっきり身体を動かす。身体をありったけ動かすと頭って空っぽになります。時間がつくれればスポーツもいいですね。
ともかく、自分らしい方法を見つけることをお薦めしたいです。
どんなに頑張っても、子どもは思うようにはいきません。子どもにとってはイライラしているママよりも、機嫌のいいママがいいに決まっています。(9月23日 記)
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