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 先週は台風が大荒れで、伊豆大島に大きな被害がありました。
 大島は自然と人のバランスのいい、のびやかでいい島です。大島の保育園には数回うかがったことがあり、お馴染みの方々のことも心配です。報道を聞きながら心配をするものの、何をするのがお役に立てるのか、立ち往生しています。これをご覧になってご連絡をいただければありがたいです。

 

 りんごの木は穏やかな日々でした。
 3歳の子どもたちが小枝を拾ってきました。庭でたき火です。

 火の中には、先日掘ってきたお芋が入っています。
 濡れた新聞紙でお芋を包み、アルミホイルでくるんで火の中に置きます。
 昔の落ち葉焚きの焼き芋とはちがいますが、この方が真っ黒にならずに、ほくほくと焼き上がるのです。蒸し焼きのようなものですからね。
「焼けたよー」の保育者の声で、室内の中にいた子どもも飛び出してきます。
 ほくほくのお芋を切ってもらって、手に持ち、口に運びます。熱いのを入れてしまって、大慌てする子がいました。大急ぎで水を口に入れました。
 新聞紙に包んでもらって手に持ったとたん、ぽとんと地面に落ちてしまう子。

 子どもってもれなくお芋が好きなようです。
 あるちゃんが言いました。

「おいしいね、おいしいね、これ、ぜんぶたべていいんだよ」

 最初から最後までお芋の場を離れないのは、あるちゃんと、とらくんでした。

 この日、1歳親子クラスでは餃子を作っていました。でも、そこにはつられないで、お芋を食べ続けていましたので、餃子よりお芋に軍配はあがったようです。


 たき火の近くで、お腹がふくれた女の子が3人、滑り台の上を舞台にしてコンサートです。

 曲目はNHKテレビ朝のドラマ「あまちゃん」で流れていた「しおさいのメモリー」

 何とも難しいメロディーですが、上手にうたいます。
 かつて、私の幼少期の子どもが多かった時代は、童謡が大流行。おとなもいっしょに童謡をうたったものですが、子どもが少なくなった現代は、おとなの文化に子どもがのっているように思います。 いえ、今やおとなと子どものあそび文化が、同化している時代ともいえるでしょう。

 テレビドラマ、ディズニーランド、カラオケ、ゲーム……それは時代の流れともいえるのですからいいも悪いも判断はできません。でも、「危ない、汚い、うるさい」という本来の子どものあそびが省略されてしまうのは疑問です。

 子どもは五感を使ってのあそびを通して、人としての基礎になる事を学んでいきます。それは子どもが子ども時代を生きていることでもあります。(ちょっとことば足らずですが、またの機会に書きます)
「しおさいのメモリー」をうたっていた子どもたちも、滑り台から駆け下りて追いかけたり、けんかしたり、水をかけ合ったり、泥になったりしてあそんでいますから、心配な状況ではありませんけれどね。
 そう、子どもはおとなをすり抜けながら、子どもとして大きくなっていく力も持っているということかもしれません。
 そんな子どもの姿の写真にことばがついた素敵な本が出版されました。
「子どもは子どもを生きています」(写真・ことば 小西貴士 フレーベル館)
 ありったけ‘今’を生きている子どもの姿が映し出されています。ぜひ、手に取ってみて下さい。 見ていると子どもが愛おしくなるだけでなく、こんな子ども時代をおとなは保障し見守らなければいけないと強く思います。(10月27日 記)

 

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