wrs  

 いつの間にやら師走です。今年もあと少しと思うと、なんだか走りたくなりますよね。例年、12月の講演依頼は比較的少ないのですが、今年は8件も入っています。

 大きい組は楽しそうにごっこ遊びが発展しているようです。10日の火曜日「今日は動かないぞ」と決めて、赤りんごに居座りました。


 ぐちゃぐちゃの部屋の中は動物園ごっこの準備です。急に入っても把握できないので、部屋の隅に座り込みました。すると、誰かしらやってきます。そして、私の膝に座ります。おばあちゃんさながらで、黙って膝に抱いて部屋の中を眺めます。
「あれは、なにかしら?」とつぶやくと「どれ? あー、あれはひょうなのよ」と教えてくれます。
 近くにかなり広い場所を確保して、黄色いビニール袋の服をきて、小さく丸まっている二人がいます。ひよこだそうです。そこへ、牛乳パックにひもをつけたのを肩にかけた子がやってきました。中から薄いお花紙をちぎったものをひよこに撒いています。飼育員だそうです。

 ヒョウやライオンは衝突してもめたりしています。

 入り口付近にはチケット売り場があります。

 チケット売り場、動物たち、飼育員という役割が、ごっこ遊びの役割分担として定着してきたようです。
 午前中、ほとんど同じ場所で座り込んでいた私。しかし、結構これが大事な役割なのかもと思い始めました。
 ざわざわと賑やかしい部屋の中で、ホッとしたい子がくるのです。
「なにしていいのか、わかんないんだ」という子も膝に来ます。
「いっしょに眺めましょう」というと、しばらく座ってから立ち上がっていきます。

 公園のベンチのように、休息所とでもいえる場所のようです。

 いつもは自分なりに脇にそれる方法をとっているのかもしれませんが、この日は暖かいベンチだったことでしょう。
「きょうは、これからどこいくの?」とひかるちゃんに聞かれてしまいました。いつも途中で移動してしまうからです。恥ずかしい……。
「きょうは、どこも行かないの。ここにいるわ」と言うと「じゃあ、おべんとう、となりにしよう」と誘ってくれました。たまにしか来ない私なのに、優しくしてくれてありがとう!


 この日、もうひとつ面白いことがありました。ひとつのグループが、お弁当を持って青りんごに移動するときのことです。もう、二人しか残っていません。その一人、こまきちゃんが泣いています。

 近づいてみると「あしがいたい。あしがいたい」と泣いています。

「どこかしら?」と言いながらさすりました。くるぶしのとこみたいです。

 さすっても泣き止みません。でも、その泣き方は痛いというより怒っている感じです。
「足がどうかなっちゃったのかしら? ちょっと立ってみて」というのですが、立とうとしません。
「どうして痛くなっちゃったのかしら?」と聞くと、わが意を得たりとばかりに「ことかちゃんがふんだから」といいます。
「あら、そうだったの。こまきのあしをふんだことを、ことかちゃんは知っているの?」と聞くと

「しらないの」
「じゃあ、痛がっていることも気がついていないの?」と聞くと「そう」。
「それは大変。足を踏まれて痛かったことを、ことかちゃんにつたえなくちゃ! 早く行かないと、いなくなっちゃうかも」というと、こまきちゃんはすくっと立ち上がり、元気にことかちゃんを追いかけていきました。
 そのあと、私はどうなったかをしりませんでしたが、他の保育者の聞くところ寄りますと、ことかちゃんが泣いていたとか。きっと、伝えたんですね。こまきちゃんの気持ちは治まったようでした。 ことかちゃんも泣いたけど、ひきずりはしなかったようでした。子どもの気持ち、おもしろいですね。ありがたい、ゆったりした時間をもらえました。(12月15日 記)

 

●講演会のお知らせ。
「こころが軽くなる 子育てのススメ」
講師 柴田愛子
日時 12月20日(金)13:30〜15:00
場所 港北公会堂(横浜市港北区大豆戸町26−1)
   東急東横線「大倉山」駅 徒歩7分
参加費 無料
主催・問い合わせ先 港北区役所総務課庶務係 電話(045)540−2206

 

 

今年度のバックナンバーはこちらをクリックしてください。