2002年03月24日
2002年04月15日

VMware Workstation 3.0 を使ってみて

and VMware workstation 3.1 へのupgrade



はじめに

秋葉原の『おっと』でパッケージ版のVMware Workstation 3.0 (for Windows) を購入し、自宅のWindows2000 PCにインストールしました。
これまでにVMware 上に仮想PC を4つ作成し、ゲストOS として次のようなものを入れてみました。

  1. PC-DOS2000
  2. Windows98SE
  3. Solaris8 for Intel 01/10 版
  4. Laser5 Linux 7.2 ftp 版

PC-DOS2000

初めてVMware にインストールしてみたゲストOSがPC-DOS2000 です。 これはIBM のMS-DOS で Ver 7.0 の2000年問題対応版、といったところです。
種類はMS-DOS, メモリの割り当ては24MB, 仮想disk の容量は1G ネットワークは なしで設定しました。
フロッピーでインストールしました。特に問題はありませんでした。

初めて仮想マシンのHDD をフォーマットする時は、何かの間違いで本物のHDD が フォーマットされてしまわないか、とても不安でした。
なお、ディスクは1G 割り当てたものの、イメージファイルは最初から1G になるのではなく、Max が1G なだけで使うにしたがって大きくなっていきます。

VMWare のマニュアルにあるように、emm386.exe をconfig.sys から削除しました。 このemm386.exe が使えないこと等、微妙な制限があることからVMware は完璧なPC を エミュレートしているわけではないんだな、と感じます。

HIMEM.sys は使えるものの、コンベンショナルメモリの空きが多くはとれません。
c.mos さん作のvmap.com の実行結果は次のようになりました。

VMAP Version 2.01  Copyright (C) 1989-91 by c.mos

addr PSP  blks   size  owner/parameters           hooked vectors
---- ---- ---- ------  -------------------------  -----------------------------
022F sys    1     816  himem                      FF
0263 sys    1    5360  $font                      DA E1
03B3 sys    1   22496  $disp                      7D E7 E8
0932 sys    1   46992  $ias                       05 15 16 DB
14AC sys    1    3808  ansi CON                   1B 29
159B sys    1    5008  vide-cdd
16D5 sys    6    4800  <config>
1807 <--    3    4240  command                    22 23 24 2E
1913        1      96  <free>
191A <--    1   18464  mouse                      08 10 33 74
1D9D <--    1    1168  doskey
1DE7 <--    1   21648  mscdex /D:IDECD1 /M:4 /V   2F FE
2331-9F80   1  509168  <free>

----- XMS ver3.00 -----
HMA used: 58 KB by DOS
EMB free: 23082 KB

DOS の場合、CPU を常に100% 使ってしまうのでvmware のサイトからツールを ダウンロードしてインストールするようマニュアルに記載されているのですが、 このツールがどうも見当たらないようです。

dir コマンドとか実行しても結果表示がとても遅いです。
DOS 用にはVMware tools(VMware のゲストOS 毎に最適化されたドライバ類)がない ため、このPC-DOS を使うときはマウスカーソルがVMware のウィンドにロックされて しまいます。Ctrl+Alt キーを押さない限りホストOS の他のウィンドにマウスを持って いけなくなってしまいます。

VMware 上でPC-DOS2000 を使うことはほとんどないと思うのですが、CD-ROM ぐらいは 読めるようにしてみました。
私のPC のCD-ROM はSCSI 接続なのですが、VMware の中ではIDE 接続に見えます。
PC-DOS2000 にはmscdex.exe はあるものの、IDE CD-ROM のドライバが付属しないので 身内が所有するIBM Aptiva のドライバ(vide-cdd.sys Ver2.15 1999-02-09 米国のIBM Web サイトから同じものをgetできるようです) をconfig.sys に登録してみたところ、うまく読めるようになりました。

Windows98SE

Win98 のインストールはとても困りました。
disk への書き込みが1時間に80Mbytes しかできません。1分でも1秒でもありません。1時間にです!
書き込みが均等に遅いのではなく、 大量の書き込みをする場合に時々刺さる感じなのです。 書込が刺さるとしばらくフリーズするのですが、1,2分するとまた書込の続きが 動き出す、という感じです。

Win98 のインストールが完了してから、vmwaretools という最適化されたドライバ等 のツールを入れても改善されませんでした。 私のPC のdisk はIDE ではなくSCSI なのですが、そこら辺に問題があるのかもしれません。

1G 確保したゲストOS 上のdisk をフォーマットし、インストールを完了するのに 半日かかってしまいました。
インストールが終わってから、Netscape Communicator とかIE5.5 とかIE5.5sp2 とかインストールしましたが、ディスクの書き込み速度が遅いのでとても時間が かかりました。

ゲストOS 上でHDBENCH を動かしてみると、すごい結果になりました(^^;

★ ★ ★  HDBENCH Ver 3.22  (C)EP82改/かず ★ ★ ★ 
M/B Name      
Processor   Pentium III 729.58MHz[GenuineIntel family 6 model 8 step 3]  
Cache       L1_Data:[16K]  L1_Instruction:[16K]  L2:[256K]
VideoCard   VMware SVGA II  
Resolution  1152x864 (32Bit color)  
Memory      130,204 KByte  
OS          Windows 98 4.10 (Build: 2222)  A   
Date        2002/03/22  06:02  

HDC = Intel 82371AB/EB PCI Bus Master IDE Controller
HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)

A = GENERIC NEC  FLOPPY DISK    
C = GENERIC IDE  DISK TYPE01    
D = NECVMWar VMware IDE CDR10 Rev 1.00

   ALL  Integer   Float  MemoryR MemoryW MemoryRW  DirectDraw
 10622    27646   28817    11669    6643    12079           1

Rectangle   Text Ellipse  BitBlt    Read   Write    Copy  Drive
      138   2597    1096    4539   32251      64     133  C:\20MB

アプリのインストールはdisk 書き込みで非常に遅くなりますが、ブラウザで インターネットアクセスはそこそこの速度でできます。
私はこのWin98SE でvmware の仮想disk のモードをUndodable (終了時に本当にdisk に書き込むか、データを書き込まずに破棄するかを選択できる) モードにしておき、危ないサイトをアクセスするのに使っています。 これは精神的にすごく安心で、ホストOS から生でインターネットをアクセスするのが 気持ち悪く思うようになってしまいました。

Solaris8

Solaris はVMware で正規にサポートされたゲストOS ではありません。
ですから、Solaris 用のVMware tools というものが存在しません。 そのため、例えばSolaris がもつX Window では画面が640x480 の16色表示になってしまいます。

ここまでは承知していたのですが、 なんとインストールすらできないことに気づきました。
インターネットで情報を収集したところ、Windows 版のVMware3.0 はSolaris の CD-ROM に一部アクセスできない領域があり、そのためローカルCD-ROM を用いたインストールができないそうです。Linux 版のVMware では大丈夫らしいです。 またまたVMware が完璧なPC をエミュレートしているわけではないんだ、 と痛感させられます。

そこで今回は嫁さんのPC に入ったSolaris8 上にインストールサーバ(Solaris用語) を構築し、ネットワーク経由でSolaris8 をインストールしてみました。
(Solaris をネットワーク経由でインストールするためには、別のSolaris マシンが必要になります。 Linux のように、NFS サーバであれば何でもよいわけではありません。)

Solarisインストールサーバの作り方

  1. Solaris 1 of 2 CD をCD-ROM ドライブにいれてCD-ROM をマウントさせ、
    # mkdir /export/home/inst
    cdrom の/cdrom/sol_8_1001_ia/s2/Solaris_8/Tools に入って
    # ./setup_install_server /export/home/inst
    # cd
    # eject
    
    この段階で、/export/home/inst ディレクトリ以下の容量は380M でした。

  2. 2 of 2 CD を入れ、
    # cd /cdrom/sol_8_1001_ia_2/Solaris_8/Tools
    # ./add_to_install_server /export/home/inst
    
    この段階で、/export/home/inst ディレクトリ以下の容量は563M になりました。

  3. LANGUAGE CD を入れ、
    # cd /cdrom/sol_8_1001_lang_ia/Tools
    # ./add_to_install_server /export/home/inst
    
    この段階で、/export/home/inst ディレクトリ以下の容量は 948M になりました。

  4. VMware 仮想NIC のMAC アドレスを確認

    インストールサーバにはクライアント(VMware 側)のMACアドレスを登録します。 VMware 仮想NIC のMAC アドレスは、仮想PC(ゲストOS)毎に異なります。
    MAC アドレスを調べるために、私はSlackware Linux のインストールメディア を使いました。

    Slackware8.0 のrootdsks ディレクトリのnetwork.dsk でFD を作っておいて、Slackware bootable CD-R でVMware の仮想PC を起動し、root でログインします。
    network コマンドで上記FD を読み込んでNIC を認識させました(pcnet32 として自動認識)。
    ifconfig -a でHardware Address がわかりました。

  5. インストールサーバの/etc/hosts にターゲットのIP addr とhost名を登録

  6. インストールサーバにターゲットホストを登録

      #cd /export/home/inst/Solaris_8/Tools
      # ./add_install_client -e 00:50:56:59:XX:XX ホスト名 i86pc
    
      Adding Ethernet number for ホスト名 to /etc/ethers
      saving original /etc/dfs/dfstab in /etc/dfs/dfstab.orig
      Adding "share -F nfs -o ro,anon=0 /export/home/inst" to /etc/dfs/dfstab
      making /tftpboot
      starting rarpd
      starting bootparamd
      starting nfsd's
      starting nfs mountd
      updating /etc/bootparams
      #
    

これでインストールサーバができました。
VMware の仮想PC をSolaris 起動FD で起動し、デバイスを認識させてから インストールメディア選択でNET を選択します。

インストールのタイプはEntire + OEM を選択しました。 あいかわらずdisk の書き込みが遅いです。 20:00 からファイルコピーが始まりましたが、3:00 の段階で70%(576M) しかおわっていませんでした。 朝9:00 になってもあと30MBytes 残ってたのでそのまま会社に出勤しました。

帰宅するとコピーは終了していて、最後の設定項目をキーボード入力しました。 Solaris8 が入りました。

Xウィンドウの設定は640x480 16色を選択したのですが、これではボーナスソフト CD-ROM のインストーラがエラーになって動きませんでした。
インストーラがJava でGUI を用いてかかれているのですが、VGA のXでは動きません。 仕方なく、ホストOS のCygwin を最新版に更新し、Cygwin 版のXFree86 をWin2000 に入れてそちらにX のDISPLAY を向けるようにしてSolaris8 Software Companion CD からgcc 等をインストールしました。

しかし、ディスク書き込みばかりでなく、Solaris8 に関しては何もかも遅くて 実用にならないです。Windows98SE はネットサーフィンぐらいはできるのですが。 ここで中古の256M メモリを購入して増設し、ゲストOS に256M 割り当てても パフォーマンスは向上しませんでした。
コンソールの遅さも、8年前(=1994年) PC-9801NS/E に入れた386BSD のようです。
インストールはとても楽しかったのですが、Solaris8 の使用は断念しました。

Laser5 Linux 7.2 ftp版

これはすんなり入りました。
テキストモードではなくGUI モードでインストールできましたが、インストール中の X Window の動作確認はスキップしないと固まってしまうようです。
インストールできてからVMware Tools を入れると高解像度のX Window が使えるようになります。
VMware のLinux からマウスカーソルを外に出すにはCtrl+Alt を押さないといけないようで、少し不便です。

ところで、ゲストOS がLinux の場合はなんとdisk 書き込みが実用的な速度で動作します
Win98 やSolaris8 との違いは、VMware の設定でゲストOS の種類にLinux を選択した場合、ハードディスクがSCSI 型でエミュレートされることでしょうか。 ゲストOS の種類がWin98 やOTHER(Solaris8 等)の場合はdisk がIDE エミュレートになります。

おわりに

私の環境ではゲストOS の種類によってはdisk 書き込み速度に問題があるので、 いろいろなOS をインストールして楽しむ用途には向かないようです。 でもVMware でいろいろなOS を呼び出す様子はウルトラセブンのカプセル怪獣のようで とても愉快です。
今後大きいdisk を買い足し、いろいろなLinux ディストリビューションや FreeBSD を入れていきたいですね。


(以下は 2002/04/15 追記)

VMware 3.1 へのupgrade

2002年4月頃からVMware Workstation 3.1 のベータテストが始まったかと思ったら、 すぐに正規版がリリースされました。
それと、VMware って値上がりしちゃいましたね。 日本サポートのパッケージ版が56000円とのこと。 直前に購入した私は何か得したような気分です。

アメリカのVMware のサイトからVMware3.1 とマニュアル(PDF)をダウンロードして upgrade してみました。

マニュアルのPDF にupgrade の手順が記述されているのですが、3.0 からの更新は 3.0 をアンインストールせずに、そのまま上書きインストールできるとのことです。 シリアル番号もそのままつかえるとのことです。
VMware-workstation-3.1.1-1790.exe を実行することで、日本語でインストーラが 起動しました。 仮想disk の拡張子が変更になったとのことで、disk を調べてくれて修正対象 のリストが出るので、自動修正してもらいました。

再起動してVMware を動かしました。
インストーラは完全に日本語化されていましたが、メイン画面は英語のままです。 Help のAbout で確認すると、3.1.1 build-1790になったことが確認できました。 vmware.exe は2002/04/05 11:36 3.72MB になっています。
以前作成したゲストOS の設定が最初からメイン画面に登録されています。

VMWare3.0 で作成したゲストOS をupgrade した3.1 で起動してみました。
  1. PC-DOS2000
    問題なく起動しました。特に変化は感じられません。

  2. Windows98SE
    ログインすると、新しいハードウェアが検出され、 いろいろドライバが更新されました。 VMware ウィンドの左下に 『VMware Tools is outdated Clickon this text to install』 の表示が出ました。
    ドライバ更新の後なので念のために1回ゲストOS を再起動してログオンして そのテキストをクリック。VMware Tools が上書きインストールされました。

  3. Laser5 Linux 7.2
    やはり問題なく起動しました。 Windows98SE と同じように、VMware のウィンド左下にVMware Tools を更新するようにメッセージが出るので、root でログインしてクリックし、 VMware Tools のイメージファイルがide1:0 にアッタッチされるので mount -t iso9660 /dev/cdrom /mnt/cdrom でマウントして /mnt/cdrom/vmware-linux-tools.tar.gz を適当な場所にcopy して展開して./install.pl redhat を実行。 再起動してroot で/etc/X11/XF86Config の解像度だけ書き換えて startx でX も動きました。ネットワークもOK

  4. Solaris8
    起動はしましたが、遅さは相変わらずのようです。

Windows98SE でHDBENCH を動かしてみました。

 ★ ★ ★  HDBENCH Ver 3.22  (C)EP82改/かず ★ ★ ★
M/B Name
Processor   Pentium III 732.43MHz[GenuineIntel family 6 model 8 step 3]
Cache       L1_Data:[16K]  L1_Instruction:[16K]  L2:[256K]
VideoCard   VMware SVGA II
Resolution  1152x864 (32Bit color)
Memory      130,204 KByte
OS          Windows 98 4.10 (Build: 2222)  A
Date        2002/04/13  13:03

HDC = Intel 82371AB/EB PCI Bus Master IDE Controller
HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)

A = GENERIC NEC  FLOPPY DISK
C = GENERIC IDE  DISK TYPE01
D = NECVMWar VMware IDE CDR10 Rev 1.00

   ALL  Integer   Float  MemoryR MemoryW MemoryRW  DirectDraw
  6608    25223   29018    11714    6602    12170           4

Rectangle   Text Ellipse  BitBlt    Read   Write    Copy  Drive
      133   3312    1372    6222    5663    1027    1684  C:\20MB

ファイルのWrite とCopy が大幅に改善されていることがわかります。

まだあまり使い込んでないのですが、 3.1 にあげて特にうれしくなったことは、今のところはありません。

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