ミニ・スティール・パンの作り方
Thank you to Kaj, Joel, Jurius, and Novo to advice me. You gave me plenty forces.
手順
1. ペール缶と道具を用意する。
2. ハンマーでたたいてへっこます。
3. 音の配置を描いていく。
4. outer notesを形作る。
5. 音と音の間をたたいて、カーブを滑らかにする。
6. 音のまわりをたたいて、でこぼこをすっかりなくす。
7. 7-8cmのところでスカートを切る。
8. つるすための穴をあける。
9. チューニングする。

1.ペール缶と道具を用意する。
ペール缶を用意する。

 ペール缶は20リットルのものを用意します。規格があると思うので、大きさに違いはないと思うのですが、多少は大きさが違ってもいいでしょう。その缶にあわせて作っていきましょう。僕の用意したものは底の大きさで直径は27.5cm(10と3/4インチ)でした。
*本物のシングルテナーパンを作る場合
 実際のスティールパンは200リットルのドラム缶を使用する。直径58cm、23inch。ドラム缶の裏側をたたき延ばしていくので、裏側やその角に変な傷やへこみがないものを使う。スカート部分に当たる部分にも、もちろんへこみはない方がいい。薬品が入っていたドラム缶は中から鉄が腐食しているおそれがあるので避ける。延び方にむらができ、クラック(裂け目)の原因になったり、クロームメッキの「のり」が悪くなることがあるのだ。厚さは好みだが僕の場合は分厚いのが好き。ソフトPanと一部で呼ばれるタイプが好きな方は薄いのを使った方が良いと思われる。

ハンマーを用意する。
 200-500gでずっと振っていても疲れないものを用意する。削るのに楽なので、プラスティックヘッドのついたものをすすめます。
1. ハンマーの角をを丸くする。
 ハンマーの角で打面に傷が付くと、延ばしているうちにひびが入ります。ひびはハンマーを入れる度にどんどん広がり、大きな亀裂になります。傷を付けないように、ハンマーの打面を丸くします。できるだけ滑らかにして下さい。さらにマスキングテープなどを貼ると良いでしょう。鉄のハンマーは削るのが大変なので、プラスティックのヘッドがついたハンマーだと普通のヤスリでも削れます。
2. 柄をカットする。
 長いままだと中の方をたたくときに、柄が邪魔になることがあります。柄を握れる程度にカットしてください。
*本物を作るときは
 シンキングには6ポンド(約3kg)がよく使われる。ハンマーは丸く削ったあとバフをかけ、傷がまったくない状態を作る。もしくは、ゴムのシートを貼る。この場合は表面の細かい傷はさほど気にする必要はない。砲丸を使う人もいる。スムージング、チューニングは3ポンドや2.5ポンド(1-1.5kg)のハンマーがよく使われる。こちらの方はゴムシートは使わず、マスキングテープが貼られる事が多い。

スタンドを作る。
 スティールパンはつり下げてたたく物なのでスタンドが必要です。ペール缶のスティールパンは軽いので塩ビ管などでも充分活用できます。右図のように組み立て、スティールパンに輪っかをつけ、パイプの先端にS管をつければスタンドの完成です。
*本物を作るときは
 てっとり早いのは、シンバルスタンドを二本立てて、その間につるという方法です。もう少し安定性が欲しいなら、ホームセンターなどで売っているアングルやイレクターなどを使って、Minipanのスタンドの大きい物を作ればOKです。

スティックを作る。
 木の棒は直径6mm程度の物を10cmぐらいにカットします。長すぎると持ち手側が鍋の中でつっかえて叩きにくくなります。
 先端にゴムをつけます。ちょうどのサイズのゴムのチューブがあれば最適ですが、薄いゴムのテープを巻いて堅さ厚さの調節できるスティックを作りましょう。
 ゴムテープは食器洗い用のゴム手袋を切って作ります。いろいろ探しましたがダンロップの「天然ゴム極薄手袋」はここ最近のヒットです。それ以外でも天然ゴム製の手袋であれば、いいスティックができます。ビニールの物は弾力に乏しく、硬い音になります。幅1.5cmぐらいでテープ状にカットし、巻いていきます。
 先端に巻いていくときの引っ張り加減で堅さを変えられます。厚さと引っ張り加減によりますが、「天然ゴム極薄手袋」なら二つ折りで5-6周が適当でしょう。いろいろ試してみて、自分の好きな音を探して下さい。
 充分巻いたら斜めに手元の方に巻き降ろし、あまりを切って端を巻き込みます。これで完成です。すぐはずれるときは、テープで留めましょう。
*本物を作るときは
 スティックの部材、太さ、重さ、長さ、テープの巻きの堅さ、厚さ、全て好みです。各プレイヤーによって千差万別です。ご自分にあったものを試しながら選んで下さい。生ゴムのチューブを短く切ってはめ込んだものも実際によく見られます。こういった物の方が簡単ではあります。

2. ハンマーでたたいてへっこます。
--SINKING

 この時にハンマーが斜めに当たると、型が付いてしまい、その部分だけ金属が弱くなり、傷の原因になります。できるだけフラットに当ててまん丸の型ができるようにして下さい。結構力を入れないとへこみません。
 また、一ヶ所を強く叩くとまわりが急に盛り上がることがあります。この部分を急激に沈めると、金属が弱くなり、割れ目ができる原因になります。こういう時は、ゆっくり落としていきます。
 十センチぐらいの直径の丸いボールがはまったような型を作り、その角を落としていきます。少し誇張していますが、下の図がイメージです。
 縁に置いている手をハンマーで叩いたりしないよう気をつけて下さい。バカなことをと思うでしょうが、夢中になってると結構やっちゃうんです。
1.2.3.
*本物を作るときは
 この作り方(1の図)はダブルテナーパンやダブルセカンドパンを作るときの作り方を模しています。シングルテナーの場合は、(3の図)6.5-7インチほどの深さまで一気に大きく凹ましていきます。

3. 音の配置を描いていく。
--MARKING

 音の配置は各種ありますが、ここでは一般的な4th and 5th style4度5度スタイルをミニPan用にアレンジしたものを紹介します。4th and 5th styleは音楽的に非常に洗練された並び方で、チューニングも比較的容易と言われています。
*本物を作るときは
 Bの右隣にF#, C#, G#, Eb, Bbを配置しその隣がFに戻りC, Gと続きます。五度圏といわれるものと同じ形です。これで音楽を覚えると非常にナチュラルに音楽理論を理解することができると思うので、子供達に親しんでもらいたいんですが。どうでしょう、音楽教育関係者の皆様。

4. outer notesを形作る。
 outer notesとはリムのすぐ内側のノートを言います。リムから離れてouter notes のさらに内側にあるノートをinner notesと呼びます。(ここで言うnoteノートとは、物理的に存在する、「叩けば一定の音が出る、もしくは出そうとしている、打面上の区切られた凸面」の事とする。)
 外側のノートは音と音の間の線(グルーブライン)をたたきながら角度を下げていって作ります。この時に各ノートがスムーズな凸面になるように心がけて少しづつまわりから(境界線上から)たたいていって打面の角度を下げていって下さい。

5. 音と音の間をたたいて、カーブを滑らかにする。
--SMOOTHING

 線(グルーブライン)の上をたたいていって、音が独立して響くようにする工程です。
 最終的には一つ一つの円の中、つまり音の響く部分が柔らかな凸面になり、その高さ、大きさ、金属の張り具合で音程が決まります。線の上をスムーズな凹面にすると、一つの音をたたいた時に響きのエネルギーが隣の音に伝わってしまうのを防ぐ事ができます。
 ここでは丁寧に線の上をたたいて、線上が三次元的に滑らかな凹面になるよう作くりこんで下さい。シンキングでできたへこみもなくなってくるでしょう。
 同時に音の鳴る部分が盛り上がってくるかと思います。角張らないように音も「滑らかな」凸面になるように静かにたたいて整形して下さい。
 シンキングの時のように強くたたかず、静かに気長にたくさんの数をたたいて、滑らかにして下さい。
*本物を作るときは
 4.スムーシングではシンキングとハンマーを変えて、2.5-3ポンドのハンマーを使います。次のグルービングを円滑にするためにも滑らかなラインは重要です。

6. 音のまわりをたたいて、でこぼこをすっかりなくす。
--SMOOTHING

 innor notesの円と円の間の余った空間がつるっとしたきれいな凹面になっていると、スティックで叩いても音が出ません。できるだけつるつるにして下さい。
 4の工程で作った滑らかなラインが膨らんでくることがあります。その時はもう一度滑らかにたたき下げて下さい。
*本物を作るときは
 6. smoothingのあとグルーブラインというのを作ります。これをグルービングと言います。これはポンチをハンマーでたたいて、線を型付けていく物で、音をより独立させるためと、メッキしたときに音がどこにあるかハッキリ見るために行います。そのあとグルーブでできた凹みを補正するためにもう一度スムージングをします。スムーシングは何度も繰り返され、シンキング終了時より深さが0.5-1インチほども深くなるぐらい丁寧に行われます。

7. スカートを切る。
--cutting

 スカートとはパンの側面、缶の横の部分を言います。7-8cmのところで切ればいいでしょう。
 一般的にスカートは深いほど低音がよく響きます。このサイズのスティールパンだとそんなに響きは期待できないので、長くても「こもった音になる」というほどの物でもありません。チューニングに支障がなければ、切らなくても問題ありません。
 切ったあとは、バリが出ているので危険です。手を切らないように、サンドペーパーやヤスリで削って、滑らかにしておきましょう。
*本物を作るときは
 シングルテナーで5-6インチのものが多いようです。

8.つるすための穴をあける。
 Cの音を正面に持ってきてちょうど左右の縁をつまんで持ち上げてみます。ちょっとだけ自分の方に傾くように、左右の手をバランスよく向こうの方に移動させます。Cの音はちゃんと正面にありますか。今、手でつかんでいるところが、穴をあける位置です。釘などで穴を開けます。
 エッジにあけるのが大変なときは、スカートの上の方にあけてもいいでしょう。(あまり下の方にすると釣ったときにごろんとひっくり返って逆さまを向いてしまいますので注意して下さい。)
 この穴もできればバリをとっておきましょう。
*本物を作るときは
 釘では無理なのでドリルで穴をあけます。傾き加減は演奏のしやすさに大きく関係しますので、慎重に。しばらく演奏してみて、具合が悪いようなら、次の穴をあけるのも一つの手です。できるだけノートに影響のないところに開けます。
 また、この段階でまきをくべ、スティールパンを焼きます。テンパリング、もしくはバーニングと呼ばれるこの工程は、この後のチューニングの安定の為に欠かせない工程です。ミニパンでも効果はあると思われますが、 このテキストでは割愛しました。

9. チューニングする。
--tuning

 さあ、一番時間のかかる仕事です。山を持ち上げると高くなり、低くすると音も低くなる、これがチューニングの基本です。
 まずは一つの音を選んでください。一度にいくつもの音をチューニングすると混乱します。
 裏側から棒の端っこで押したり、ハンマーでそっとたたいたりして、山を持ち上げてみましょう。この時に強く叩いたり、音の端っこのラインをたたいて、せっかく作った「滑らかなカーブ」をつぶしてしまわないよう気をつけて下さい。どうでしょう、音があがっていくのが聞こえましたか?
 今度は表側から山を少しずつたたいて、山を低くしていきます。「山」自体もできるだけでこぼこのない滑らかな山になるように心がけて下さい。音が下がってきていますか。ここで思った音程まで来たら、たたくのをやめます。これでこの音は完成です。何回も何回も山を上げ下げして、音程をあわせましょう。
 もし思った音程まで下がる前に、また音がどんどん上がっていったなら、また山をあげていきます。この工程を繰り返しているうちに、少しずつ低い音まで出るようになるでしょう。
 せっかくいい音が出ているのに、音が低すぎるときは、上から山のまわりをたたきます。スムージングの作業と同じです。「滑らかなカーブ」はつぶさないように気をつけて下さい。スティックで音を確認しながらたたいて音が気に入ればOKです。ただしまわりの他の音が高くなってしまっています。もう一度まわりの音を調整して下さい。これを何度か繰り返しているうちに、全部の音が合ってくるでしょう。この作業は根気が必要です。疲れたら休んで、ゆっくり時間をかけてして下さい。
*本物を作るときは
 いい音のするパンは一つの音の中でオクターブやハーモニクスがきれいに整えられています。このチューニングの仕方はとても活字では説明できません。どうしても勉強したい方はUlf Kronmanという人がSteel Pan Tuningという本を出していますので、参考になるかと思います。洋書で英文ですが。
  またアメリカのWest Virginia UniversityではEllie Mannetteという人が研究室を持っておられるので、留学できる方はそちらにお問い合わせ下さい。
 チューニングは本人の経験の積み重ねが一番重要です。本のとおりにしても、必ずうまく行くとは限りません。一番おすすめするのはいくつものパンを作ってみることです。
 チューニングのあと、メッキに出して、もう一度チューニングをして完成です。今ではペイントのパンは珍しくなりましたが、サビを抑えるのにはペイントでも充分有効です。

 やっと完成です。お疲れさまでした。楽器を作るって大変ですね。皆さんの楽器のできはどうですか。初めてにしてはまあまあかな。これでドレミでおぼえている曲は演奏できますね。練習して友達に聴かせてびっくりさせましょう。
 演奏するときも、あんまり強くたたくとチューニングが狂ってしまうので、優しくたたいて下さい。
 本物のスティールパンは鉄でできているので、さびないようにメッキをしてあります。みなさんのスティールパンはそんなにさびませんが、心配な人はスプレーのペンキで薄くペイントするといいでしょう。あまり厚くペイントすると音がこもるので注意して下さい。機械オイルをぬってもいいですね。ぬるぬるしない程度まできれいにふき取っても、錆止めには効果があります。



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