〜序章「桃太郎の章」〜



 むかぁ〜し、むかぁ〜し。ある所におじゐさんと、おばか……いや違う、おばあさんがいました。
 ある時、おじゐさんが山へシヴァ狩り…もとい、芝刈りに。おばあさんが川へ魚釣り…じゃなく、洗濯に行きました。
 おじゐさんが山で芝を刈っていると……な、なんとっ! 目の前に光り輝く竹が!!
「おやおや、なんじゃ不思議な竹じゃのう。よし、切って持って帰るとしよう。きっと、ばあさんも喜ぶぞ」
 言うが早いか、おじゐさんは持っていた鎌――その名も「吾作の鎌(攻撃力539)」を振り上げ、一気に竹に振り下ろ――
 すなぁぁぁ!!
 くらえ、ジジィ!

 ドカッ、バキッ!

 あぶねえ、あぶねえ。もう少しで話が変わっちまうトコだった。
 とりあえずジジィが気絶してる間に、次いってみよ〜。


 おばあさんが川で洗濯していると、川上から――

 ドンブラコッコ、ドンブラコッコ

 と、大きな、そりゃもうエレー大きな桃が流れてきました。
「ひゃあ、なんと大きな桃じゃろう。うむ、持って帰って食べるとしようかの。おじゐさんも喜ぶだろうて」
 が、如何せん年寄りの腕力では、文字通り荷が重い。とてもじゃないが持って行けそうにない。ここまでか!? 桃太郎!!
「ほれ、そこのお前さん」
 へ? 僕ですか?
「そうじゃ。お前さん以外、誰がおる。さあ、あの桃を運ぶのを手伝っておくれ」
 でも、僕。筆者だし……。話に関わるようなコトしちゃあ、マズイんじゃないかなぁ、なんて思ったりするわけで、その……。
「ぶつぶつ言っとらんで、ほれ! はよう、運んだ運んだ!」
 ババァの筆者――言わば神をも恐れぬ態度に、しぶしぶ家までデカイ桃を運ぶ筆者だった……。


 おばあさんが家に着いた時には、すでにおじゐさんが家に帰っていました。
「おじゐさん、おじゐさん。大変なことがありましたよぉ」
 家に入るなり、おばあさんは慌てておじゐさんに駆け寄りました。
「なんじゃい、ばあさん。そんなに慌てて。大変なことなら儂の方にもあったわい。ほれっ」
 おじゐさんは、後頭部を見せました。そこにはさっき筆者が殴った時に出来たタンコブがありました。
「どうしたんですか!? そのコブ?」
 コブを見たおばあさんは、目を丸くしておじゐさんに訊きました。
「それが儂にも良くわからなくてのぉ。気がついたらこうなっとったんじゃ。その前に何か見たような気がするんじゃがのぉ〜〜」
 どうやら、さっきのコトは覚えてないらしい。
「そうそう、あれを見て下さいよぉ」
 おばあさんは、戸口に置いてあった――とゆうか筆者に置かせた桃を指差しました。
「おおー! なんと大きな桃じゃ。よし、早速切って食べるとしよう」
 そう言って、二人は桃を家の中に入れました。
 そして、おじゐさんは包丁(攻撃力20)を振り上げ、一気に桃へ
(はて? さっきも何か切ろうとしたような……)

 パッカーン!

 桃が二つに割れ、な、なんと中から男の赤ちゃんが!
「おお、中から赤ん坊が! (ちっ、食うとこが少なくなった)」
 ともあれ、二人はたいそう驚いたそうな。
 余談ではあるが、おじゐさんはこの時「寿命が縮んだわい」と、シャレにならん冗談を飛ばしたりもした。


 その後、赤ちゃんは「桃太郎」と名づけられ、すくすく成長し、やがて鬼を退治しに旅立つ。そして、犬・雉・猿を従えて見事鬼を退治する。
 まあ、ここまでが少々紆余曲折があったものの、よく知られている話である。
 が、実は……