第一話 テストを兼ねたはじまり


「ま、マイケルッ!!!」

 くっ…まだか、まだなのか…
 もうすこしで、手が、とど……く…………

・・・・・・・・・・・・・

 がばっ!!
「はぁはぁ、夢か…」
 手のひらには薄く汗がにじんでいる。
 毎日見る夢。
 毎日見る朝。
 いつもとなんら変わりはない。
 …しかし、ここ数日、明らかに彼は「消耗」していた。

「…いつまで続くだろうな」
 コンクリートの壁に囲まれ、窓と呼べるものはなく、鉄格子からそそぐ太陽の光が
唯一の外との繋がりであることを強調させる。
 粗末な布団、粗末な食事。
 これが彼を唯一生き長らえさせているものであった。

 …すきもん暦23年。人類は滅亡の危機にあった。
 戦いは激化する一方、多くの奴隷が運び込まれ、そして…死んでいった。
 彼の仲間もすでに一人として残るものはなかった。

「ここに…要るほうが…安全と…言うわけか…」

 こうして、彼…焼肉くい蔵は今日も眠りに着くのだった…

            つづく

【次回予告】
 酒宴の準備が続く中、ついにくい蔵は獄からの脱出を図る!
 行け!走れ!金色に光るんだ!
 次回デジタルすきもん第2話『見切りをつけた若旦那』 に ときめきチェック・イン!!

















 
第2話 見切りをつけた若旦那


「キミには失望させられたよ……」
 冷徹な瞳で、若い男が目の前で恐縮しまくっている五十ぐらいの男に言った。
「私がワイン好きと知っておきながら、ビールを大量に購入した訳か?」
 若い男の名はスティール=ハート。通称「若」。この辺り一帯を治める領主である。
 五十ぐらいの男の名はボブ=ジョン。宴の一切を仕切る「宴会将軍」である。
「す、すいやせん。若……」
 ボブは心底悔いていた。
 え〜と、とりあえずビール。の勢いで発注したのが失敗だった。
 ビールなら皆飲むさ、とタカをくくっていたのも失敗だった。
 スティールがワイン好きであるのを忘れていたのも失敗だった。
 もっと言えばビール嫌いであることを知らなかったのも失敗だった。
 詰まるところ、ボブは完全に間違いを犯したのである。
「もういい、キミには消えてもらう……」
 言うが早いかスティールは銃を抜く。
 一発の銃声が宴の間に響いた。

 その一部始終を、くい蔵は宴の間の端で見ていた。
 奴隷たちは宴の準備に従事させられているのだ。
(ああやって用が済んだら殺していくのか……俺も、ほかの奴隷も……)
 スティールの横暴にグッと怒りが込み上げる。
(仲間も皆死んでいった。しかし……)
 しばし逡巡し、とある決意をする。
(こんな所でじっとしている訳にはいかない。俺も戦うんだ!)
 皆の視線はスティールと倒れているボブに集中していた。
(逃げるなら今だ!)
 そう決めたら、もう迷いはなかった。一足飛びに出入口へ駆け出す。
 誰も気付いていない。
(行ける!)
 と、思った瞬間。足元に何故かバナナの皮が!
 ツルッ!
 ズガドガッシャーン!
 勢いの付いていたくい蔵はその勢いのまま出入口に積み重ねてあったビールケースに頭から突っ込んだ。
 全身にビールをかぶった彼は、その時金色に輝いていたとゆう……

【次回予告】
 再び奴隷生活に戻ったくい蔵。しかし、思わぬ転機が訪れる。
 次回、デジタルすきもん第3話『一日一膳』 が、キミを待つ!

















 
第3話 一日一膳


「はらへったッスー」
 キマってしまったくい蔵は、体育会系のごとく呟いた。
 もう5日で5食、白いご飯しか食べていない。
「ほかのものが食べたいッスー」

「出ろ」
 扉の開く音と共に、にじみ出る太陽の光。
 疲労した彼にとって、それは悪害に他ならなかった。
「まぶしいッスー」

 …彼が連れてこられた場所は、妙に開(ひら)けていた。
 そして、中央に、意味も無く…いや、彼にとっては重大な意味がある物質が
不恰好なロープに吊られていたのだ!

「ば、バナナっす!!いただくっすーーーーーー!!…グボボァッ」
 バナナに向かって勢い良く飛び出したと思うと、首に急激な痛みが走り、
反動で反対がわに吹っ飛ばされた!
「な、なんすかコレは!?」

 首輪だ。
 犬用だ。

「ほれほれ〜ほしいかっ!?」
「ほしいッス〜」
「なら3回回ってワソと言え!」
「くるくるくる…ワン!」
「愚か者め!ワンではない!ワソだ!!」
「くぅぅ〜ん…」

 …次の日。
 もはや、茶碗1杯の米粒の数を数えなければやってられない気分だった。

【次回予告】
 こうして過酷な奴隷生活を続けている彼を、神は見放さなかった!
 想像を絶するブツとの出会いに、彼は一筋の涙を流した…
 次回、デジタルすきもん第4話『まちがいなく擬音』に、町人のナウい心をゲットだぜ!

















 
第4話 まちがいなく擬音


 その日俺はホゲーっとしていた。別にジャイ○ンじゃないぞ。
 単に何もすることがなくホゲーっとしていたのだ。

 部屋の中をジーっと眺めても何かある訳でもない。
 鉄格子をガンガン叩いても、看守にボッコボコにされるだけだ。
 ベラベラと喋る仲間もいない。
 腹はグーグー鳴ってるし、風はピューピュー冷たいし……

「んっ?」
 トロンとした目でゴロゴロしていると、床の一部が掘り返されたようになっているのを見つけた。

 近づいてジロジロ見てみると、確かにそれは誰かが掘った跡だった。
 きっと前にここに入ってた奴だな。
 そう目星を付け、とりあえずサクサクと掘ってみることにした。

 ザクザク、ガサガサ、ゴソゴソ、ゲシゲシ……

 数分後、箱と手紙が見つかった。
 手紙にはこう書かれていた、
「おそらく君は今、腹が減っているだろう、さあ食いなさい。私にはもう必要のない物だ……」
 胸に込み上げるモノがあった。おそらく彼はこれを書いてすぐ亡くなったのだろう。
 そう思うと俺の目にはキラリと光るモノが自然と浮かんでくる。

「ごっつぁんです」
 俺は先人に敬意を込め、箱の中身を頂戴することにした。

 パカ!
 おーぷん・ざ・ぼっくす

 プ〜ン
 腐ってやがる……

 当然と言えば当然の結果も予測できずに、迂闊にぬか喜びした自分を呪った。
 そして不甲斐ない俺の頬に一筋の涙が走った。

【次回予告】
 もはや存在意義を見失いかけた、くい蔵。
 そんな彼の前に新たな仲間が……
 次回、デジタルすきもん第5話『なにげに猫舌』に、はぶぁ・ないすでー

















 
第5話 なにげに猫舌


「入れ」

 目を閉じていたくい蔵に聞こえたその日の第一声がこれだった。
 施錠が解かれる音、そして、何者かが押し込まれる音。

「あいたーなにすんねん」
 不思議なアクセントで話すその男は、こちらを振り向くとニヤっとした顔をし
 こちらに近づいてきた。

「いやーあんさんもここの住人かい?」
「そうだ」
「わし、磯吉言います。どうぞよろしゅうな。」
「よろしく」
「ここ、苔むしてますなぁ」
「そうやな」
「いったい、わしらをどうするつもりなんやろ?」
「ホンマや」

 …伝染った。とくい蔵は思った。
 これは男として何かしら仕返しせねばなるまい。

 あれこれ雑談を繰り返しているうちに、食事が運ばれてきた。
 今日はボスの誕生日らしく、とても豪勢である。
「冷めないうちに食え」
 看守の言葉にもどこか優しさが感じられた。

「ほーうまそうやなー」
「ここんところ白い飯だけやったし、こりゃうれしいわ」
「じゃーいただきますか」
「そうしましょ」
「ほな…いただきます…あーん…アツッ!!ごっつう熱いやんけ!」

 そうでもないが…
 まさかこいつ…猫舌!?

 くい蔵は、ここから出たら300人くらいに言いふらそうと心に決めた。
 そのことを磯吉に言うと、次の日、別の部屋に移っていた。

【次回予告】
  「もうここから出られないのか?」
 くい蔵も読み手も書き手も思い始めているこの今、
 ついに組織の正体が明らかになろうとしていた…
 次回、デジタルすきもん第6話『ポパイの女遊び』に、したたる汗!汁!汗!

















第6話

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