第6話 ポパイの女遊び
今日も今日とて、くい蔵は強制労働に従事させられていた。
「く、なんてことだ!」
黙々と、単調だが苛烈な戦いをこなしてゆく。
「またか!」
くい蔵の他にも何人か同じ戦いを演じている。
「こっちも出やがった!」
どこからか、そんな声が聞こえる。
「こんな消耗戦じゃ、こちらの被害が増えるだけだ!」
くい蔵が悔しそうに叫ぶ。しかし投げ出す訳にはいかなかった。
敵は強大で、しかも巧妙に隠れている。
敵の名は「バグ」。
くい蔵らは、それを発見する任務を負っていた。彼らの事を、人は「デバッガー」と呼ぶ。
くい蔵が奴隷として連れてこられたこの組織は、今、ゲームソフトを作っていたのだ。
表では戦いが激化の一途をたどっているが、こんな時人々は娯楽を求める。とゆうのが上の狙いだった。
「あぁ、このゲームつまらん……」
くい蔵の隣の奴が呟いた。
確かにつまらなかったし、下らなかった。しかもそれのデバッグとなると、まさに地獄と呼ぶのが相応しい。
クソゲーも度が過ぎると殺人未遂だ。などとくい蔵は胸中で毒ついた。
とゆうか、すでに何人かの奴隷が死んでいるので「殺人罪」が適用されまいか。やはり胸中で訂正する。
それから、三人の尊い(?)犠牲を払い、ついにソフトが発売されることとなった。
恋愛シミュレーション「ポパイの女遊び<18禁>」が……
【次回予告】
いつまでも続くかのような奴隷生活。
しかし、くい蔵は虎視耽々と次の脱獄の機会を伺っていた。
次回、デジタルすきもん第7話『もやしの憂鬱』に、王手飛車取り!
第7話 もやしの憂鬱
ソフト「ポパイの女遊び(18禁)」の発売から二十日後。
売れに売れのこったこのソフトを、何を思ったか上層部は
デバッガーチームの責任にし、さらに過酷な奴隷生活を強いた。
すでに食事は、1杯のコーンフレークになっていた。
「我々に16回目の失敗は許されない」
デバッグチーム『虎』の面々は、今回の事に加え、
次回作が『続・ポパイの女遊び』になりそうだったことで脱獄を決意した。
が、すでに数多くの失敗をおかし、尊い命の数も徐々に減っていった。
「次の作戦はどういったもので行こうか」
『虎』のリーダー格、平助が言うと、
「地中に穴を掘っていくやり方はどうですかね?」
と、提案したのはチーフの「裏技探しのジョン」。
「それでは、各自、自分の部屋の床下を少しずつスプーンで穴をあけて
いく方向でいきましょうか」
といったのは、まとめ役の「落としのデニー」。
「では、解散!」
平助の一喝で、全員がデバッグ小屋から消えた。
なお、くい蔵の地位は主人公のくせに床下である。
そして、数日がたち、ついに脱出する日が来た。
スプーンで掘った穴、通称「根性穴」は、さまざまな部屋の床から
ひとつに繋がり、そして地上まであと一歩のところまで来ていた。
「よし、後一歩だっ…」
スプーンをいっせいに構えて上へ向けて振りかぶった瞬間…!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
「なにっ、地震!?こ、このままでは…」
「落盤だ!逃げろっ!!!!」
一斉にその場から離れるチーム『虎』・・・しかし!
「ぐあっ!!!」
「平助隊長ーーーーッ!」
一人、もっとも前面で掘っていた平助の頭上から、大きな岩が落ちてきた!
かろうじて受け止めたものの、その手はすでに感覚を失っていた。
ちょうどそのとき、平助の近くにたまたまくい蔵が居た。
助かった…!平助の顔に安堵の色が見えた。
「くい蔵!助けてくれ!」
「無理っす。」
彼は自他認めるもやしッ子だった。
【次回予告】
床下の穴をどうにか隠そうと必死になる『虎』の面々に対して、
冷たい眼差しで見つめる男が一人…
彼は敵かな?味方かな?
次回デジタルすきもん第8話『脈動 生きる男と血と汗と』で、
鉄人か、それとも、フレンチの勇者かッ!!?
第8話 脈動 生きる男と血と汗と
落盤のせいで「根性穴」は、すっかり使えなくなっていた。
復旧の目途は全く立たず、かといって皆の血と汗と涙で作り上げた
努力の証をむざむざ埋めてしまうのも勿体ない。
結局そのまま放置されることになったが、モノがモノであるため、
看守連中には何がなんでも見つかる訳にはいかなかった。
そんな訳で『虎』の面々は緊急対策会議を招集していた。
「まあ、平助隊長が助かったのは不幸中の幸いだったけどな」
口火を切ったのは、『虎』のブレーン「やりこみのアキラ」だ。
あの後平助は、なんとか自力で大岩をどかし脱出していた。
結果、ますますくい蔵の立場は下になっている。
「しかし、やはり問題はあの穴だ。容易に隠せるもんでもないし…
なにか、いい考えはないだろうか?」
チーフ「裏技探しのジョン」が一同を見渡しながら訊く。
「そうだな…核シェルターってことにするのは?」
「却下」
「モグラの気持ちが知りたくて…ってのは?」
「真面目に考えろ」
「じゃあ、紫外線がキツイから」
「日の光すら満足に入ってこない牢屋だぞ」
「穴があったら入りたい」
「お前は二度と出てくるな」
「土地の有効活用をしてみました、ってのは?」
「ん〜駄目だろ」
一同から様々な意見が飛び交うが、どれもジョンは否定する。
そんなこんなで、有効打も出ずに二時間ばかり会議は続いた。
「だめだ…一向にいい考えが浮かばない」
「しょうがない、みんな対策案が出るまでなんとかごまかしてくれ」
ジョンがそう締めた、その時、
「フッフッフ……待ちな!」
一同の後ろから、声が聞こえた。
「だれだ!」
アキラが何のひねりもないリアクションをする。
「そんなことはどうでもいい。それより、穴の件だが、俺にいい考え
があるぜ」
謎の男の言葉に、『虎』一同の視線は否応にも男に集中した。
【次回予告】
男が言う、いい考えとは!? くい蔵の出番は!?
そして題名の真の意味とは!?
全ての謎が次回明らかにされる。
次回、デジタルすきもん第9話『脈動 生きる男と血と汗と(後編)』で、
い〜かがっすか〜
第9話 脈動 生きる男と血と汗と (後編)
(前略)
「そんなことはどうでもいい。それより、穴の件だが、俺にいい考えがあるぜ」
謎の男の言葉に、『虎』一同の視線は否応にも男に集中した。
「アリが掘ったんだってことにすればいいのさ」
「却下」
男の意見は即座に消えた。彼の存在理由も消えた。
「うーん、どーすっぺかなー」
「だめっすねぇー」
「やっぱ、うめちゃおっか」
「うめちゃおっか」
「そうしよっか」
こうして、根性穴は一夜にして埋められることとなった。
埋め役は、くい蔵だった。
彼は最後にこう言ったという…。
「あー、手が血だらけ、額は汗だらけ、俺って生きてるなぁ、脈動だなぁ」
【次回予告】
「みじけぇぇぇーーーーー!!」と平田からの突っ込みをうけて
なんと次回は10話達成特別ヴァージョン!
なにが特別かって?それは秘密、ひ、み、つ。
次回デジタルすきもん第10話『実はこんなひとが「デジスキ」書いてます』で
ディカプリオもびっくり!
第10話 実はこんなひとが「デジスキ」書いてます
くい蔵のいる所から少し離れた所……
次元の狭間では、二人の人物による密談が交わされていた。
「人間は、そのエゴでこの地球を食い潰していく! そうは思わんか平狸クン」
霜が目の前の人物に問い掛けた。
「う〜みゅ、霜クンの言う事よ〜わからんのね〜」
気の抜けた返事を返す平狸。
「人がエゴを持つ事は仕方の無い事とは思う。しかし、それを地球に押し付けて良いものか!」
「そうとう恩着せがましいってことかぁ〜?」
「しかも、一部の人間達は、そのツケを大衆に払わせようとする」
「踏み倒し伝説っすね?」
「一握りの者たちに真実など歪められ、大衆はそれを真実と認識する。いや、せざるを得ない!」
さらに力説する霜。
「ふ〜腹減ったにょ〜」
「その通りだ。つまりこの世はしょせんフェイクと言うことさ」
「眠い時は寝るのが一番ってことかぴょ〜ん?」
「ふっ、君も鋭い。平狸の名は伊達では無いようだな……」
「政宗が怖くて平狸はやってらないのねん」
「しかし、それ故に惜しいものだ。そのチカラがあれば……」
「寒さもダイジョウV」
「小さな世界しか知らぬ一部の人間達が、多くの世界を統べることに矛盾を感じないのか!?」
「喉も渇いてきたのよぉ〜」
「責任の所在しか求めぬクセに、その責任を明らかにしない。そんなやり方に憤りは感じないのか!」
「冷蔵庫が空っぽだぁ〜プンプン!」
「そうか、キミも辛いのだな……」
「ふわ〜あ、う〜みゅねむねむ……」
「どうだ? 共に乗り越えて行こうではないか!」
「どうして夜中にラーメンが食べたくなるにょ!?」
「おお、私と一緒に戦ってくれると言うのか?」
「善は急げ、急がば回れって昔の偉い人は言ってたよん」
「みなまで言うな……しかし、その犠牲を払っても成さねばならんのだ!」
「ふえ〜っぶしょい! はう〜鼻がムズムズする〜」
「それが奴等の狙いなのだ。腐敗しきった者たちに、裁きの鉄槌を下す!」
「こたつみかんは最高!」
「その意気だ!」
なんか知らんが、二人の会話は噛み合っていたようだ。
そんな密談が交わされていようとは、くい蔵には知るよしも無かった。
ってゆーか、知る必要も無かった……
※物語中の人物と実際の人物は、異なる場合がチカラいっぱいあります。
【次回予告】
物語はついに新展開を迎える。
でもやっぱり、奴隷のままなのか!?
次回、デジタルすきもん第11話『魔王の後継』に、|)%&@$¥*+””’’!!
第11話
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