第16話 カミさんは大蔵大臣


「アニキぃ〜じゃあ、このゴボウには一体どんな意味があるんですか?」
 ガリが霜に助けを求めたのは、ゴボウの意味を考え出してから4.2秒後のことだった。
 ふぅ、霜は一つため息を吐きヒントを出してやった。
「ゴボウを使った代表的料理といえば何だ?」
「……金平牛蒡……ですかね?」
 それは「代表的」と言うよりはガリの好きな食べ物である。
「そうだ。『金平』の語源は知っているか?」
「いや、わからないです……」
 続けてヒントを出すも、ガリには難しかったようだ。
「では教えよう。『金平』は『金毘羅』からきている!」
「!!」
「そして金毘羅とは航海を守る神なのだ」
「ってことは!」
「そう、奴は海に面している東側の建物に居るはずだ!」
 そして二人は走り出す。推理が当たってる外れてるはこの際関係なかった。


 その頃くい蔵とミナミの二人は、四階上の食堂に来ていた。
 もっともくい蔵がここに来るのは始めてである。
 来たところでカネを持ってないので食えないからだ。
「まずは体力つけるためにも何かおごってやろう」
 ミナミがそう言って連れてきたのだ。
「おお、ありがとう。なら遠慮なく、焼き肉定食を」
「850sukimonoか…僕の小遣いじゃちょっと無理」

「なら、サンマ定食」
「700sukimono……悪い、もう少し安いのに…」

「じゃあ、A定食にしよう」
「500か……もう一声…」

「……どれなら大丈夫なんだ?」
「そうだな〜〜あれだな」
 ミナミが指差したモノは……「野菜炒め(200sukimono)」だった
 くい蔵は思った「ああ、コイツ奥さんに財布握られてるなぁ」と……

【次回予告】
 海側の建物に着いた、霜とガリ。しかし当然そこには何もない。
 と思われた矢先……
 そして始まるミナミとくい蔵の脱獄劇!?
 次回、デジタルすきもん第17話『あるハレた日の午後』にピット・イン!

















 
第17話 あるハレた日の午後


 …その頃。
 食堂から見える海辺の方向に、2つの物体が移動していた。
 全身が草に覆われている珍妙な物体は、明らかに浮いていた。

「よくもまぁ、こんなので見つからないものですね…」
「ゲリラ戦法の一種だからな、さらにこの『国』では一般の人間も訓練を受けている。
その生半可な訓練が逆に効を奏してるというわけだ。」
 そう、この『国』の人間は、確かにこの2人に気づかなかった。
 もうすでに何人もの人間とすれ違っている。
 当然食堂にいる2人も、彼ら…霜とガリには気づいていなかった。
 というより、気づいてもしらんふりするのがこの『国』のならわしなのだが。

 そんな事実を知らない2人をよそに、くい蔵とミナミは腹ごしらえをした後、
脱走計画を企てた。
 実行は明朝。それまでそれぞれ別の場所で待機することになった。

「『明日は早い、早めに寝ておけ。』と言われてもなぁ…。」
 くい蔵は看守に見つからないよう、『根性穴』の名残に一人静かに居た。
「いきなり、『寝ろ』言われても寝れねぇよ…。」
 彼はすでに、おとといから昨日まで寝つづけるというナイス眠りっぷりを見せていたので、
目が冴えまくっていた。
 それに加え、さっき練る為に使った脳はなかなか「休む」と言ってくれない。
まだ午後3時。
「ふーーーーっ…」

 そしてついに、いややっと、約束の時間になる。
「まさか、『虎の穴』の部屋の下にこんなものを…」
「ふっ…俺に任せろと言っただろ?」
「ミナミ…目が赤いぞ」
「お前こそ」
 2人とも、目が腫れていた。

 その頃、霜とガリは…
 草のまま寝ているところを、看守がやさしく、起こさないように牢に戻してあげていた。

【次回予告】
 ついに始まる脱獄劇、自分の未来のために彼らは卑劣な手段を使いつづける!
 果たして『虎の穴』の下にあるものとは!?そして霜とくい蔵は出会うのか!?
 次回デジタルすきもん第18話『この旨み成分が料理を美味しくします』に
キューピーちゃん大脱走!

















 
第18話 この旨み成分が料理を美味しくします


「でもミナミ、こんな物使って大丈夫か?」
「まかせろ、全く問題無い」
「しかし……」
 くい蔵は部屋の下に埋まっていた物を見る。

 それは、何というか…正確なトコは分からなかったが、あくまで「おそらくは」のレベルで、
とゆうのも実物を間近で見た事など、くい蔵は無かったわけで、映像や写真で見た感じでの話だが
それに形も色々あるだろうが、いわゆる「ミサイル」とゆうやつにしか見えなかった。

「……これ、ミサイルだろ?」
 そんな事あるのだろうか?と思いつつ、それを指さしながらミナミに訊いておく。
「ん? いや形は似てるけど違うぞ」
 ほっと胸をなで下ろすくい蔵。なら使っても「全く問題無い」わけだ。
「な〜んだ。じゃあ、なんだこれ?」
「核だ」
 …………。
「は?」
「だから核ミサイルだ」
「え〜と……」
「コイツでドカーンとやれば、鉄格子だろうが壁だろうが……」
「オレらも消えてなくなるわッ!」
 スパーン!
 小気味良いスリッパの音が部屋に響いた……。

 結局、脱出計画はミナミが考えていたB案を採用することとなった。
 それは、やる気と根気と陰気が必要不可欠な計画だった。
 看守の靴に画鋲を入れたり、不幸の手紙を送ったり……部屋の前に生ごみ放置もやった。
「なあミナミ、こんなんで脱出できるのか?」
「ふっ、まずは内部撹乱だ」
 くい蔵がどう言っても、ミナミはこの一点張りだ。
 だから、わら人形を壁に打ち付けもしたし、空缶専用ごみ箱に紙屑を捨てもした。

「最近、なにやら騒がしいようだ。犯人を見つけ出し何とかしろ」
 事態を見かねた、ここの責任者でもあるスティール=ハートは、部下の一人を呼んだ。
「分かりました。お任せ下さい」
 命令を受けた部下は、そう言って不敵な笑みを浮かべる。
「このウマミ=ナリワケが上手く『料理』してみせます」

【次回予告】
 犯人割り出しを急ぐウマミ。そんな事とは露知らぬ、くい蔵とミナミ。
 だが、マークされたのは霜とガリだった……
 三つ巴の戦いが今始まる。
 次回、デジタルすきもん第19話『サンサン三組』で、寝ぼけなまこ!

















 
第19話 サンサン三組


「なぜだ!なぜ俺達が看守から狙われなければならないんだ!
 1話前では全く出番が無かったというのに!」
「説明口調だな、ガリ。」

 鉄格子の上にイバラ鉄線が張り巡らされ、太陽の光は一筋も通らず、
便所が無いため出した汚物は部屋の隅に固められているという、文章にするのもイヤな部屋に
閉じ込められた霜とガリであった。
 目の前ではウマミが得意げに水虫に薬を塗っていた。

 …その頃。
 寝ている看守の背中に「うんちマン」と貼っているくい蔵を、ミナミが呼んだ。
「なんだ?」
「あれから一月が経ったが…どうやら上は動くつもりが無いようだな。」
「この作戦は失敗か…。」

 実は多いに効いていた。
 社長「窪田 みりんのみ次郎」は、灰皿が無くなっていることに気づき社員16名を処刑、
その社長も、カツラを無くして発狂した副社長「ソバージュ太郎」によって服毒、死亡。
さらにその副社長も、しかけられたバナナの皮を踏んで滑ったことによって昇天していた。
 今社長は…おっと、これ以上は先の「デジスキ」を読んでくれ。

「おっと、看守が起きそうだぞ、一端牢屋に入っているフリをするんだ。」
 すでに『虎』のメンバーでは当たり前になっている鍵鋳造技術を使い作った鍵で、
くい蔵とミナミは牢屋にもどった。
(ちなみにミナミはくい蔵の牢屋に隠れ住んでいる)

「…くーぁ、良く寝た…ふー…」
「………」
「んー、くい蔵の牢は異常なし…と…」
「………」
「今日もちょっくら飯のしたくでもすっかなー」

 ふんふんふんふふふふふんふふーーーーん、ふんふんふんふふふふふんふふーーーーん♪

(くい蔵牢)
「くっそう、陽気に鼻歌なんか歌っていやがる」
「…ミナミ待て!これは…」
「ど、どうしたくい蔵?」

 ふんふんふんふふふふふんふふーーーーん、ふんふんふんふふふふふんふふーーーーん♪
「ふんふんふ…お、どうした茂吉?」
「ああ、今日もカミさんが弁当を作ってくれて…おまえ、背中になに貼ってるんだ?」
「んあ?」
「…うんこマン!?ギャハハハハ!!だっせーーーーー、おーいうんこマン!」
「…殺す」
 背中に紙をつけた看守は、茂吉めがけてバズーカ発射!!
 茂吉のクビは胴体をおさらばし、その看守も爆風に巻き込まれて絶命した。

「…動いた!」
 このスキを、くい蔵とミナミは見逃さなかった。
「…まってくれ、ミナミ、まってくれ!!」
「なんなんだくい蔵、さっきから!!!」
「さっき看守が歌ってた鼻歌…」
「そんなこと言ってる場合か!!逃げるぞ!!」

 しかし、くい蔵は頭のなかでその鼻歌をループさせていた。
 ふんふんふんふふふんふんふふーーーーん…
 …さわやか三組!!
「プーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」
 くい蔵の高らかな笑い声は、ウマミの耳にも届くのだった。

 …その頃。
 霜とガリの牢屋は、謎の爆音で運良く鉄格子が壊れていた。

【次回予告】  上層部が混乱しまくっているとは知らず、目の前に起きた事件のみで行動に移したくい蔵とミナミ。
 そこに思わぬ裏切りが…。
 ミナミは、そして、くい蔵は!?
 次回デジタルすきもん第20話 『ボラは出世魚』 に、大橋巨泉3人送るぞコラァ!

















 
第20話 ボラは出世魚


「お! やった、ツいてるぞ」
 壊れた鉄格子を見て霜が喝采の声を上げる。
「出るぞ、ガリ!」
 こんな所もう一秒たりともいたくない霜は、ガリに叫んでさっさと出てゆく。
「待って下さいよ、アニキぃ〜」
 慌ててガリが霜の背中を追う。
 霜はキョロキョロしながら走っていた。
「何、探してんすか?」
 横に並んだガリが不思議に思い、依然キョロキョロしてる霜に訊いた。
「ん? あの水虫野郎だ」
 拳を握って、忌々しモノでも思い出すかのように霜が答える。
「あの野郎、一発…いや、五、六発ぶん殴って、慰謝料ふんだくんないと
気が収まらない」
 怒りに燃え上がる霜をガリに止めることは出来なかった……

「見つけたぞ! 怪人水虫男!」
 ウマミを見つけた霜が、声高らかに指を突きつける。
「……だ、誰が水虫男かッ!!」
「問答無用! 骨の一、二本折った後に、慰謝料払ってもらう」
 なにか少し過激になっている。
「なーに、心配するな。人体には沢山の骨があるんだ、一本や二本どうってことない」
 目が据わっている。
「ぬ、くそ。誰か、誰かいないか! こいつを捕らえた者は昇進させてやるぞ!」
 さすがに「焔の料理人」と恐れられるウマミも、目の据わった霜に恐怖をなしたか、
辺りに向かって看守を招集する。

 と、その時

「アニキ! すいません!」
 ガリが後ろから、霜を羽交い締めにした。
「な、なにするんだ、ガリ!?」
「アニキに付いていけば、ビッグになれると思ってここまで来たっス。でも、ビッグどころか
あんな牢にブチ込まれる始末。もうアニキに付いていけないっス」
「離すんだガリ!」
「アニキを渡して、出世するっす。そう、出世魚のスズキのように!」
「どうしてだ、ガリ…」
「わかって下さいアニキ」
「なんでなんだ、ガリ…」
「今までの恩は忘れません!」
 自責の念と、将来の為の板挟みにされ、ガリは涙を流しながらも霜を離さない。
「そうじゃない!」
「へ?」
「なんでそこを『出世魚のボラのように』にしなかった。そうすりゃ八方丸く収まったのに」
「え? 何がっスか? 題名っスか?」
「そーだよ。うわ〜もう最悪や。なんやこれ、寒ッ! こらもう、最大の裏切りやで!」
 本当に寒いかのように身震い一つする霜。
「あの〜もしもし…」
 完全に無視される形になったウマミの声が、所在なさげで辺りに霧散した。
「あぁッ! 本当に悪いことしたっス〜。もういいっス、離すっス」
 なにかもう心底後悔したガリは、霜を開放した。
「もーえぇッ! ワシ知らんわッ!」
「すいませんアニキ、これから気を付けます。許して下さい」
「知らん、知らん」

 平謝りするガリ、拗ねきった霜。自分、オイシない…と思うウマミ。
 やっと集まった看守たちは「誰が一番ツいてないか」その話題で一時騒然としたとゆう…

【次回予告】
 動き出したくい蔵とミナミに対し、ウマミは結局対応してる暇がなかった
 そこへ新たな刺客が!?
 次回、デジタルすきもん第21話『クリソツな栗毛』に、報・連・相!

















第21話

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