A BROKEN WORLD.
−−鼻、もとい 華 募集−−
−−− 謎の少女 −−− 快調そのものだった。 道行く人々がこの車を見ているようで 非常に気持ちのいいものだ。 そして、それらの中で”ギャル”達がこちらに向かって手を振って いるではないか! 別段 意識しているわけじゃないが、こういう時には 女の子しか 私の視界に入らないようだな。 そうこうしていると、目の片隅に小さな物が横切った。 いきなりの出来事でびっくりしたが、危険を感じた俺は反射的に ハンドルを切った。 激しいスキ−ル音と共に、愛車は停まった。 「あ”あぶねぇ〜〜。 も.少しで当たっていたぞ!!」 そうぼやくと同時に愛車から飛び降り、さっき飛び出して来た物 を探した。 車外に出ると 焦げたゴムの匂いが鼻をついた。 路面にはくっきりとブレ−キ後が残っており、 大きなブレ−キ音のせいで、周りに居た人達がどんどん集まり出していた。 二本の黒い帯を目で追って行くと、 ”黒い物体”を中心にして奇麗な半円を描いていた。 どうやら、その黒い物体をぎりぎりかわすことが出来たみたいだ。 それは こちらを向いて立っていた。 黒い物体の正体は、身なりの汚い ”人間(ヒト)”だった。 しかも、小さく子供のようだった。 集まった やじうま連中もそれに気づいたらしく、 目に現われてる感情が、”同情”から ”蔑んだ”視線に変っていった。 「こんな子供が 一体どうしてあんなに汚い格好をしてるのだろう・・・」 等と考えていると、その子は こちらに向かって走ってきた。 びっくりしたのと同時に、何をするのか分からないまま立っていると、 ”子供”は すばやく助手席側のドアを開け、飛び込むように車に乗り込んだ。 その突然の行動を ただ、呆然と眺めていると、 遠くの方から見るからに”悪党”って顔をした男達数人が ”ぐわっと” やって来て、何事か叫んでいる様子だった。 「まてぇ〜〜! その子を捕まえてくれ!!」とか 「そのまま 動くんじゃない!」 なんて叫び声が遠くの方から交じり合って聞こえてきた。 とにかく、勝手にオイラの大切な物 No.2である”コルヴェット”に 無断乗車されたので、文句を言おうと思い 助手席側に回り込んだ。 そんな私の気持ちを無視するかのように助手席に座り、 ミラ−越しに追手の様子を見ている”少女”がいた。 「おい。おまえ 女なのか ?」 その声に反応して、今まで視線をミラーに向けていたのを、私の顔へ と向けた瞬間、オイラの目が釘付けとなった... 「な...なんて きれいな 目を しているんだ。」 不覚にも おれは 思わず声に出して 言ってしまった。 すると その 少女は恥ずかしげに、視線を元のミラーに戻した。 ただ その時に、 小さく”笑み”をこぼすのを見逃しはしなかった。 「か・かわいい...」 また 声に出していってしまった。 別に ロリコンってわけじゃないし、まして オイラには 子供なんて 居ないはずだ... だからというわけじゃないが、 子供に対して”かわいい”なんて 今まで一度も思った事が無かった。 むしろ、子供なんて ”悪魔の様な存在”ってことに 相場が決まっていた。 だが、それを超える何かが この子には有るようで、 ”素敵だぁ〜〜”、”かっわいい〜〜” 等という 感情を出さずには要られなくなってしまうのだ。 もう これで取るべき行動は決まってしまった。 ”かわいい子” と、”悪人面 数名・・・”。 何の迷いも無かった。 急いで運転席の方に乗り込み、すばやく車を出した。 新たな2本の黒い帯を残して その場から掻き消えるように離れ去った。 しばらく走りながら ちらちらと彼女を見ていたが、不思議な感じがあった。 見た目は”少女”そのものなのに、ふと”大人”に見える瞬間がある。 ”身なりで判断するなら、間違いなく PASS なんだがなぁ。” しかし、オイラの心はウキウキしていた。 嬉しくなるような相手(年齢)でも無いはずなのに...。 ”やっぱり 今日は いい日なんだろう〜なぁ。 朝から ヴェットちゃん 一発始動しただけの事は有るな。” ”そ そうだ。このまま この子と DRIVE 行っちゃおうか。 彼女から乗り込んできたんだから。うんうん そうするべ。” なんて感じで 心の中の思考回路はオ−バ−ヒ−トで、ハシャギまくっていた。 だが、いきなり 何かの記憶が警告を発していた。 「う・・・ まてよ。 なんか 約束有ったような... あ”ああぁ〜〜 あゆみチャン。」 時間を慌てて確認しようとして、 運転しながら 腕時計を見ようとしたもんだから 前を見ていなかった。 その時、今まで黙って助手席に座っていた彼女がいきなり小さな声で、 だが はっきりと 心に響く声で!! 「危ない!!」と 伝えてきた。 びっくりして慌てて前方に視線を戻すと、 カーブの切れようとする先に、大きなトレ−ラ−が見えた。 それは、何かの工事の関係で路肩に止めていた様子で、道を塞ぐように ”路上駐車”されていた。 ”こういうのにぶち当たった場合 オイラが悪者になるのかなぁ〜” 等と 頭の一部で考えながらも、体が反応した。 ブレーキを床一杯まで踏みつけながらも タイヤをロックさせることなく うまい具合にコントロール出来た。 だが、どうも知らず知らずの間にスピードを出しすぎていたみたいで、 もう目の前一杯に”トレーラー”が迫っていた。 だが、パニックにはならず冷静に 対抗車線の様子や、 後続車の様子などを目まぐるしく確認し 同時に逃げ場所をも考えていた。 そして、運の良いことに左側にバス停留所の小さな駐車スペースがあった。 本来なら 一瞬の出来事のはずなのに、今までのこと全てが頭の中で めまぐるしく走り回った。 やはり 人間は脳を全部使い切っていないのだろうな。 勿体無いことだ・・・・ 今度も自然に体が反応して、そのトレ−ラ−をなんとか躱すことが 出来たようだった。 「今日は 体調もいいみたいだな。 しかし今のは危なかったな。」 と独り言を言いつつ 助手席に視線を向けると、 少女は「 ん?何か有ったの?」 ってな感じの視線を向けて、 ”ニコッ”と微笑んだ。 慌てた所を見られちゃたのを 後悔しつつも、 ”やはり ちょっと変っているな・・・。”と思った。 ”ほっと”一息吐いてから、改めて腕時計を確認すると・・ 「げ! やべ−−− もう 1:30だ!!こりゃ酷いことになるぞ・・・」 等と またもや焦ってしまった。 だが、マジで ヤバイ!! ”あの 嵐のような責め苦を このあと 2時間は 食らうだろうな。” などと 考えると、今までの楽しかった気持ちが夢から覚めていくように ス−ッと引いていった。 ”まるで 今朝の ようだな。” 泣きたい気持ちなるのを堪えて、楽しいことを探していると、 フト もう一つ大きな問題が あるのに 気づいた。 そう 彼女 である・・・ 助手席の。 すると 心の中を 見ていたように少女は、 「おじさん 今日 デ−トなんでしょ。」と 言った。 「おじさん!? な.なんて事を言うのだ。お兄ぃ〜さん と 言いなさい。 お兄ぃ〜さんと。 」 俺は 大人げ無く(オジサンなら当然!)上ずった声でそう説得を試みると、 少女が、 「協力するわよ おじさま」だって・・・・・・ ”可愛いのに...性格は誰かさんのようだな...。 残念無念。” 「叔父様」発言に 何ともまぁ〜 悲しくなったが、 この様な可愛いらしい女の子に、 ”おじさま”なんて言わたりするのも まんざら悪い気分じゃなく、 不覚にも、ちょっとうれしくなってしまった。 (悪魔の素質たっぷりだな。) それにもう少しで、「もう一度言って!」 等と馬鹿な言葉が飛び出す 所だったし...。 喉元まで出かけていたのを ”はっ”となって、すんでの所で止めたのだ。 今回はなんとか止められたが...この次 成功する確率は低そうだった。 そして ”おじさま”御一行は、口裏合せの”貧弱”な作戦を練りながら、 強敵であろう 「あゆみちゃん」の元に向かったのであった。 今から思えばドタバタ劇は すでにSTARTしていたのだな・・・。 −−−To be continued.−−−NEXT
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”挿し絵”なんてあればいいかなぁ〜って・・・・ 何方か”作っちゃる!!”って御方いませんか? ぜひMAILにて ”作っちゃる!!”と。 (^-^
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