A BROKEN WORLD.
−−鼻、もとい 華 募集−−
夢路 −−− be in dreamland −−− ピンクのランクル。 もう俺の家のご近所で かなり有名になってしまった。 只でさえガタイがデカク目立つ存在なのに、 俺の家の前にデーンと路駐するもんだから・・・・ 「皆さん 見てみてぇ〜♪」って位に目立ってしまう。 さすがに始めのうちは人目を気にしてあゆみに言ったことも有ったが、 「いいやん、皆止めてるのだし。 それに RAIの家の前なんだから大丈夫。」 これの繰り返しになってしまい、結局俺のほうも気にしなくなった。 まぁ・・・・諦めたと言うほうが正直な気持ちなんだが。 ここに来るまでの間、色々と話し合った。 俺やあゆみの自宅には近づかないで何処かに雲隠れしようかとも言ったが、 昼間の出来事が有った直後、レストランに早速のお出ましだった事からも 何処に行こうと大して変わりが無いという結論であった。 まぁ どうせ行くなら俺ん家のほうがいいと言うことでここに決まった。 それに・・・ 俺の大切なものNo.2であるヴェットちゃんは、 未だジャングルレストランの駐車場で取り残されたままなので、 自宅駐車場には空きも有った。 地下駐車場に車を滑りこませ、取りあえず一息ついた。 「さぁて どうしたもんかな。」 部屋に入るなり窓を全開にし、冷房を全開にした。 体にまとわりつく 生ぬるい空気を一気に吐き出したかった。 起きてそのまんまとはいえ、 それなりに部屋が整っている事にほっとしながら ソファーに座りこむ。 「何か飲むぅ?」 キッチンからあゆみがキイロい声が聞こえてくる。 エリちゃんが居場所が見つからなくってオドオドしている様だ。 "なんだか 新鮮な雰囲気だなぁ。" 等と ふんわりした気持ちを楽しむ。 「取りあえず BEER!!」 ちょけた声を出しながらエリちゃんに笑いかける。 エリちゃんは笑って良いものかどうか迷ったような表情を返してきた。 「そだねぇー、今日はもうお出かけ無いだろうから飲んじゃおう。」 うれしそうな返事が帰ってきた。 「おろろ、今日はアルコール公認してくれるの?」 ちょと意外な返答だったので、思わず聞き返してしまった。 あゆみが缶BEERと、ダイエットコークを持って現れた。 「半分こネ! それからエリちゃんはこれね。」 コークを渡しながらエリちゃんをカウンター側の椅子に座らせた。 二人してカウンター側の椅子に座る様子だ。 「半分ね。 リョーカイ♪」 "あゆみだけでも 俺の横に座ってくれたらいいのに・・・" と、ちょっと悲しい気持ちになりながら タバコに火をつけた。 プルトップを引く随分美味しそうな音が響く。 「かんぱーい!」 缶同士をこすり合せている。 「乾杯―♪」 仲間外れになるのは寂しいので、俺もタバコを掲げた。 「おいしぃ〜♪」 随分経ってから 目の前のテーブル上に缶が置かれた。 テーブル前の床にペタリとあゆみが座り、 俺の吸いさしを横取りした。 「お!いただきぃ。」 独占されては困るので、早速缶を手にする。 話を一杯した後のBEERは "うまい"。 大して掛からないで飲み干してしまった。 「うー、楽しみはスグに終わっちゃうな。」 「だから楽しみなのよ。」 「ん・・ じゃ 楽しみじゃ無いことにしようか。」 「残念でした。 また今度ね。」 灰皿でタバコをもみ消すと、空き缶を持って立ち上がった。 その向うに エリちゃんがチョコンと座っている。 「さて・・・・。 お楽しみは終了したことだから、もう寝ちゃう?」 「RAI寝れるなら 寝ちゃってもいいよ。」 ごみ箱に空き缶を投げ入れた。 大した距離でもないのに ごみ箱を逸れて部屋に転がった。 「確かに、眠れないだろうなぁ。 んじゃ 何して遊ぶ?」 「あは、珍しいわね。 RAIが遊ぼうなんて。」 あゆみは俺に向いてニコニコしている。 ほんと、チビッコと同じだな・・・・。 「ん、だって暇だしさ。 まぁ 遊ぶたってトランプくらいしか無いけどね。」 「大富豪。 大富豪しよう♪」 「いいよ。 エリちゃん ルール知ってる?」 見ると、エリちゃんが空き缶を手に取りごみ箱に入れていた。 「知らないです。」 「そか、だけど簡単だから覚えながらやろう。」 ソファーから立ち上がると、全開にしてた窓を閉めた。 もうすっかり淀んだ空気は吐き出されたようだ。 「私が教えてあげる。」 元気なあゆみがそう言った。 ゲーム事ではピカイチのあゆみに教わるなら、気が抜けない。 ・・・・お金を掛けると弱いが。 二回ほどエリちゃんの為にカードを広げながらやった後、 本番に突入した。 結果は無残なものだった。 三人での大富豪の場合、大富豪・平民・大貧民の三つのポジションしかない。 4回ほどやったけれど・・・・俺は大貧民ばかりだった。 女王様二人に交互に良いカードを取り上げられ、 結局一度も這いあがれなかった。 「う・・・何でこうなるねん。」 リベンジを誓って再度カードを配っていると、 ニコニコしていたエリちゃんが突然硬い表情になった。 「・・・・きっと、お父さん・・・・・だとおもう。」 「お父さん って。」 そこまで言って しまったと思った "世の中 聞いていいことと そうじゃないことがあるものな。" 等と考えてると、間髪入れずあゆみが質問する。 「それにしては 物々しかったけれど。 どういう人?」 あゆみは何時も あゆみであった。 聞きたいことは聞き、話したいことは話す。 だが、聞き流したりはしない。 そう言う性格だとは承知でも、 内容が内容だけに思わずあゆみを睨んでしまう。 「もお、いいじゃない。 聞いたって。」 「"この世の中に駄目な事なんて無いのよ。" だろ。」 あゆみの決めゼリフを先に言ってやった。 まったくもって彼女は彼女だな・・・・ 「だけどさ、あのカラス軍団の隊長が親父さんってことは無いよな。」 「きっと お父さんが使っている人だと思います。」 「それって凄くない?」 俺は彼女と出逢った再初の状況を思いだした。 逃げているって言っても、 あの状態になるまでにはかなりの時間が経っていた。 こんな幼い女の子が一人で、 とてもじゃないけれど何週間も いや、一週間ですら過せないと思う。 「そかぁ、お父さんから逃げているのかぁ。」 なんだか あゆみが淋しそうに呟いた。 「相手がお父さんなんだったら、カラス軍団も無茶しないでしょ。」 出来るだけ明るい声で言った。 「ねねね、それよりさぁ どれくらい逃げきっているの?」 「もう、3週間位になると思います。」 「お、やるじゃん!」 二人して声を揃えて相槌を打っていた。 ただ、俺は "お、やるやん!"と言ったが、 あゆみの声にかき消されてしまったのだが・・・・。 エリちゃんの体が萎んでいってしまいそうな雰囲気を漂わせつつ、 消え入りそうな声で囁いた。 「・・・・先生が助けてくださったの。」 「先生?」 俺とあゆみは同時に質問した。 「逃げている時、何度か一人で寝ていたの。 そうしたらそこの主のような人に出逢って。」 「一人で何度か寝たって・・・・ 公園とかの事?」 「ビルの階段で座り込んでたの。 そうしたら先生と出逢って・・・・」 「・・・ビルとビルの谷間に先生の寝場所が有って、 そこに泊めてもらってました。」 いわゆる"自由人"って人達なようだ。 彼女に出逢った時の格好も まさしくそれであった。 「それから昨日までそこで泊めてもらってました。」 「でも、今朝 あの黒服達が現れて・・・・見つかってしまったの。」 「ん・・・ 状況は分かったけれど、 その・・・先生っていう人のことは分からないな。」 「ルンペンなんでしょ、先生は。 分かったじゃない。」 「ちょ、ちょっと・・・そんな事じゃなくってどういう人かって意味だよ。」 「そんなのその人に聞かないと判らないわよ。」 「・・・・・だから 判んないって言ってるやん・・・・。」 ちょっと不信と疑問に包まれた状態で頭を捻っていると、 エリちゃんが話を続けた。 「不思議なんですけれど、先生は私の事を知っている様子でした。」 「えぇー なんでエリちゃんの事知ってたの?」 あゆみがホントに"何でぇー"って声を上げた。 「んー 訳が分からないな。」 「明日一番に先生って人 探しに行かない?」 「そだな、その先生って人がエリちゃんの事を知っていたというなら、 ・・・・・何か解るかもな。」 その先生って人の所で、エリちゃんはカラス軍団に見つかっている。 会いに行くことでカラス軍団にも逢うかもしれない。 「何処に居ても同じだもんね〜♪ お出かけ お出かけ。」 まったくお気軽姉さんな あゆみだが彼女の言うことはもっともだ。 「決まりだな。 じゃ、明日は早起きだからサックッと寝てしまおう。」 「おう! 寝ようぜ〜」 「威勢いが良いねぇ姉御。 で、部屋割りは?」 「RAIはそのままソファー決定。 ベッドは私達ね。」 「だよな、ラジャー。」 お姫様達はベッドルームに向かった。 「おやすみなさい RAIさん。」 「おう、おやすみ。 ちゃんと寝ろよ。」 「バイバイ〜♪」 「おいおい、バイバイって何だよ。 お、ここの電気消してくれぇ〜。」 「自分でケ・シ・ナ 大貧民くん。」 「・・・・・イジワル。」 立ち上ろうとすると、いきなり部屋の電気が消えた。 「おやすみ、 あゆみ。」 小さな笑い声の後に、静かにドアの閉まる音がした。 −−−To be continued.−−−NEXT
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”挿し絵”なんてあればいいかなぁ〜って・・・・ 何方か”作っちゃる!!”って御方いませんか? ぜひMAILにて ”作っちゃる!!”と。 (^-^
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