去年沖縄に遊びに行ってから、沖縄のファンになり沖縄に関する番組はたいてい見ている。

これもその一つ。

主人公は「慎吾」という青年。

小学校、中学校とも不登校。

二十歳のときにサトウキビ刈のアルバイトで西表島に来て、

人々の暖かさに触れ、そのまま住み着いている。

いま26歳。結婚して子供が一人居て、そして二人目が生まれる。

田んぼを借りて、島の古老たちに教わりながら稲を育てる。

島には高校が無い。

だから若者は高校に通うため島を出て、そのまま帰らない。

そのため過疎化が進み放置された田んぼがすごく多くなっている。

古老たちは、慎吾を叱りながら教えるが、それでも嬉しそうだ。

稲刈りのときに、古老が雑草が混じっていると文句を言う。

「こうして種をつけた雑草があると、30年は残る」と。

稲つくりは、毎日田んぼの世話が大切だと教える。

慎吾は「怒られて、怒られて・・・・・」と、

それでもいままで一生懸命世話をした稲が収穫できて嬉しそうだ。

 

旧暦で大晦日にあたる日には、家に住み着いた魔物を追い出す行事がある。

家の柱に魔よけのつる草を巻きつけ、サンゴのかけらを撒いていく。

神棚の前から始めて、家中に撒いて魔物を追い出していき、

庭にも撒いて追っていき、最後に門には一列に横にびっしりと撒いて結界を張り、

入ってこないようにする。

島の旧い家のオバアが、自分の家にそうした後、慎吾の家に現れる。

慎吾の家は赤ちゃんが生まれたばかりだから気をつけないと魔物が赤ちゃんに悪さをする、

と心配して来たのだ。

オバアが慎吾に、どういうふうにしたかと確かめて、慎吾を叱る。

慎吾は家の中にはサンゴを撒かず、庭と門のところしか撒いてなかった。

オバアに教わりながら、もう一度慎吾はやり直す。

慎吾の奥さんが言う。

「赤ちゃんのことをみんなが心配してくれる。ほんとに心強い」と。

 

別の番組で、宮古島が出生率が日本一だという話のときに、

子供のことを、どこの家の子供か島中の人が知っている。

大人は、誰の子供だろうと同じように大事にしている。

子供を島中の人が面倒みてくれるから、何も心配せずに子供を生める。

だから出生率が高いのだと。

 

番組のハイライトは、島中総出の新年の祭りの模様だ。

「ニライカナイ」から神がやって来るのを迎えるのだ。

豊作をもたらす神。

いまは大阪に住んでるが祭りには必ず帰郷する「マーちゃん」という若者が、

島に最近入ってきた若い人に踊りなど祭りの行事を教える。

慎吾は、今年は裏方で頑張っている。

祭りに参加できることが、慎吾はとても嬉しそうだ。

小学校からずっと不登校だった人間が、西表島に来て

人の温かさによって、生きる意味をかみ締めている。

 

いま沖縄の良さとして紹介される、村の暖かい暮らしぶりは

私が生まれた長野県の山村でも、私が子供のころは確かにあった。

部落の子供は、みんな一緒に外で遊んでた。

通りで遊んだり、誰かの家の庭で遊んだり。

それを大人が見守っていた。

私が子供のとき、その家には三人兄弟がいて、その家の庭で遊んでいたとき、

その三人兄弟と私で喧嘩がはじまった。

1対3で、かなわなくなった私は腹をたて、泣きながら庭にあったちょっと大きい石を

投げつけようと頭の上に振り上げた。

近くで見ていた大人に止められたが、そんなふうに「子供の喧嘩」だと

大人は介入せずに放っておくのだが、ちゃんと見守っては居たのだ。

 

私らが子供のころは、どこの家でも農作業の手伝いをさせられた。

だから皆で遊んだ思い出は、圧倒的に秋から冬が多い。

稲刈りの終わった田んぼで三角野球。

どうしても幅が狭いから、二塁を省略した三角形にベースを作る。

寒くなって、霜柱で田んぼがぬかるんで遊べなくなると凧揚げ。

畳くらいの大きな凧を、はがきくらいの大きさにしか見えなくなるまで

高く上げた。

雪が降ると、村の境で隣の子供たちと雪合戦がはじまる。

私の額には傷が残っているが、

いつからか、雪合戦の雪玉の中に石を入れるようになり、

向こう側で放ったのが見事に私の額に命中し、

私の額をザックリと割ってのけたのだ。

隣の家で飼っていた牛にソリを引かせ、最初は楽しく乗っていたが、

牛が興奮してコントロールできなくなり、二人とも放り出されて、

牛は勝手にすっ飛んで言ってしまい、その牛をつかまえるのに苦労したとか、

けっこう無茶な遊びもしていた(笑)

 

そういう子供がおおらかに遊べる環境は、

いまは望むべくもないのだろうか。






                           戻る

戻る

       「西表島 古老の島・祈りの島」と私の子供のころ      2008.2.11