7時に最寄の駅で電車に乗り、北鎌倉に着いたのが9時ちょっと過ぎ。
他の乗客は、みんなぞろぞろと明月院のほうに行く、鎌倉の紫陽花寺といえば、明月院が有名だから。
今日は友人が案内してくれることになっているが、移動が大変なので、会う前に北鎌倉に寄ると云ったら、
薦めてくれたのが、東慶寺。
寺といっても、境内は実にやさしい雰囲気で、落ち着いた気分で見て回れた。
ここは有名な駆け込み寺だ。
しかし、こんなに観光客が押し寄せては、せっかく出家した方には、大変申し訳ないような気持ちがした。 

     



紫陽花の種類も多いし、まだ人が少なく、落ち着いて見れた。
紫陽花の色変化はみごとだ。色づき始めた初々しい薄紅色もいい。深い憂いをたたえたブルーもいい。
しかし、いまの私が心惹かれるのは白。
純白の紫陽花に、魅入られていた。
天気は曇りだったので、まだ朝露が残っていて、爽やかなアジサイの花を堪能した。 





     



 



        



    

東慶寺の奥で、みんな急斜面を見上げたり、写真を撮っている。
近寄ってみると、ちいさな可愛らしい花が咲いている。紫色の星のような花弁が可愛い。
下の地面には散った花びらが、まるで星の欠片のように可憐に散らばっている。
名札があったので、見ると「イワタバコ」とあった。
そういえば友人が今日案内すると言っていた。「ああ、これか」と思って眺めた。
初めてお目にかかった。
可愛らしい花で、しかも急斜面に、びっしりと咲いている。なんだか、健気な花である。

   



イワタバコは友人がずいぶん気に入っているようだ。
今日は、紫陽花もさることながら、イワタバコがある場所を一日案内されたような気がする。
同じ関東でも、私が住んでいる埼玉では、全然お目にかからない。
鎌倉周辺の限られた地域にしか、育っていないのか。 

東慶寺の門前に、素敵な喫茶店があったので、ちょっと一服。
今日は、客が立てこんでいたが、落ち着いた、いいお店だった。
平日なら、かなり気持ち良く過ごせそうな感じ。 

北鎌倉で電車に乗る前に電話し、友人が鎌倉で出迎えてくれた。
大学の同級生。
去年、10年ぶりくらいの同級会で会って、八幡宮の前の桜並木を見たいという話をしたが、
桜の時には行けなくて、それでは紫陽花の時に、ということになった。
奥様も一緒に来てくれていて、案内してくださった。
いかにも湘南の風で洗練されたという感じの素敵な方だった。
頼朝神社を見てから、報国寺。
ここの竹林は、実に見事だった。
竹というのは、とても気持ちがいい。
富山の田舎の敷地にも竹林があるのでわかるが、報国寺のようにあんな綺麗な見事な竹林を維持するのは大変なことだ。 






  



報国寺の境内にも、いろいろな紫陽花が咲いていたが、これにはビックリ。
何という種類か知らないが、これも紫陽花なんだろう、きっと。

   



それから、このお寺で面白いものを発見。
山椒薔薇である。
このあいだ、向ヶ丘遊園に薔薇の写真を撮りにいったとき、向ヶ丘遊園のサイトで、山椒薔薇が珍しいものと説明があったのに、
向ヶ丘遊園では、何処にあるか分からなくて撮れなかった。こんなところで、撮れたとは(喜) 



そのあと、友人の家の近くで住宅地の山に突き当たったところ(谷戸)にあるイワタバコの群生地に案内してくれた。



そのときに、車を置かせていただいた家が、友人の幼稚園からの友だちで、陶芸家。
友人が、寄りましょうと云ってくれた。
二階のアトリエに案内されて、いろいろな作品を見せていただいた。
藍の陶画、藍の画が素敵な壷、青磁の抹茶椀とか壷とか。
三越で個展をなさるというので、名の通った方なのだろうが、とても気さくな方で、話がとても楽しかった。 

鎌倉は、やはり芸術豊かなところだ。
友人の幼馴染の陶芸家のお宅にお邪魔できたのは、願ってもない僥倖だったが、
ほかにも、友人が入っているテニスクラブをのぞいた帰りに、
彫刻家のお宅だろうか、ザトウクジラの馬鹿でかい彫刻を庭に置いてあったお宅には、度肝を抜かれた。
生垣もフェンスもない開放的な庭に、いろいろな彫刻が置いてあった。
近くの子供たちは、大喜びに違いない。
民家の紫陽花の垣に見とれていたら、そこに龍の焼き物が置かれていて驚いたり、
道行く人に、紫陽花の花の名前を説明してあるお宅があったが、その名札に素敵な絵が描いてあったり。
やはり鎌倉は、文化のポテンシャルが高い。 

            


   


シモツケ草の紅白お揃いで咲かせているお庭もあった。
 

友人が車で案内してくれたが、地元の人間なので、裏道というか、住宅街を走ることが多かったが、
看板が少なく、実に閑静なたたずまいだ。
鎌倉という文化の地という自覚が景観を大事にしてるのではないか。とても気持ちよかった。 

それから、友人の家に案内された。
初めて訪問したが、山の斜面一帯が友人の土地で、車を置いたところから、階段を上っていく、
その脇に、みごとに紫陽花が咲き誇っていた。
山のかなり上の方に、家があるので、眺望が素晴らしく、周りには家が無い、という贅沢なもの。
山は、自然のままにしてあり、いろんな樹がありとても楽しそうだ。
奥様が、桜が咲いたり、藤が咲いたり・・・・ととても、ここの自然を楽しんでいる感じだった。
それで、鎌倉の駅から自転車で15分位なのだから、なんともうらやましい・・・・・・
友人のリビングは、開放感いっぱいで、洗練されているが、暖かくアットホームな感じ。
とても楽しく時間を過ごせた。
そのお宅を辞して、階段を下りかかったときに、横の樹の枝に、リスが遊んでいるのを発見。
そういえば、友人のお宅でもリスを飼っていて、それは、赤ちゃんリスが樹から落ちたのを世話して
そのまま飼っているのだとか。
とても、贅沢な空間を確保している、うらやましい友人だった。


   
       友人宅の紫陽花                                          友人宅の玄関前のブライダルベール

今日は、地元の人でなければ行けない、落ち着いた、鎌倉の自然を満喫できた。
とても素晴らしい一日だった。






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お気に入りの場所
東慶寺:JR北鎌倉駅 徒歩3分

報国寺:JRけ江ノ電鎌倉駅よりバス金沢八景・太刀洗・ハイランド行き12分浄明寺下車 徒歩2分

訪問:2001.6.10


東慶寺:かつては尼寺として栄え、寺内に駆け込んだ女性は3年間修行すれば夫と離縁することができた。 そのため縁切り寺″駆け込み寺″の名でも知られている。

報国寺:足利、上杉両氏の菩提寺として栄えた臨済宗寺院。今は有名な竹の庭の寺となっている。裏山には足利一族の墓とされる大きなやぐらが建つ。

鎌倉
(紫陽花、イワタバコの頃)

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