慎ちゃんの猫


悲しい話ですが、今日あった話です。
今朝、私が7歳まで一緒の家で過ごした従兄の慎ちゃんが事故で亡くなりました。
その慎ちゃんの猫の話です。
慎ちゃんは4年前一匹の捨て猫を拾いました。まだ、目も開かず、立つ事もできない、ほんとの生まれたての子猫でした。
慎ちゃんは、その子を哺乳瓶でミルクをあげ、あらゆる手をかけて、立派な猫に育て上げました。
その子は、慎ちゃんに愛情をたっぷり注がれて育ったので、やさしい、利口な猫に育ちました。
慎ちゃんは社会人なので、毎日平日は会社に行きます。休みの日も彼女や友達と遊びに出かけます。
慎ちゃんがいなくても、その子は、いつもは元気に遊んでました。
今朝、慎ちゃんは朝まで帰って来ませんでした。それは、よくあることでしたし、男の子なので親も特に気にとめてませんでした。
だけど、何故か、猫の様子がおかしかったのです。
部屋の隅の家具の間に入ったまま、呼んでも、ごはんをあげようとしても、出てこようとはしませんでした。
おばさんは、その子の具合が悪いのかと思って、心配していたそうです。
そこに、警察から電話があったのです。
猫には慎ちゃんのことが分かったのでしょうか?
きっと、分かったのでしょう。どこかで、慎ちゃんとつながっていたのでしょう。
私は、慎ちゃんともう5年くらい会ってませんでした。でも、少し前、電話で慎ちゃんと話したとき、慎ちゃんに甘えて鳴いていた声を電話ごしに聞いて、かわいいねと話した事をまだ鮮明に覚えてました。
今日、おばさんは、その子を慎ちゃんに会わせてあげようとしました。でも、どんなに引きずり出そうとしても、部屋の隅から出てこようとしませんでした。かたくなに、爪を畳にたてて、ふんばって、大声で鳴いていました。
私には泣いているように見えました。
そんな慎ちゃんの猫を見ていたら、涙が止まりませんでした。
慎ちゃんが死んだこと認めたくなかったのでしょうか?これは私の勝手な都合のいい解釈なのでしょうか?
でも、私はそう解釈したいと思っています。
慎ちゃん。たくさんの楽しい想い出と愛をありがとう。
慎ちゃんのご冥福をお祈りいたします。

1998年05月23日

My Lovely Dogsに戻る