思い出。
それは、人が生きていく為の重要な糧となる。

すばらしい思い出も、消しゴムで消したいような思い出も。


人には、「忘れる」というすばらしい機能が備わっている。
時間が経つと、人は、あらゆる過去のことを、「覚えている」のではなく、「思い出す」ようになる。
日常を送る上では、過去の数々の物事を忘れている。

哀しいことなんかじゃない。
寂しいことなんかじゃない。
ステキなことだ。

ふとした瞬間、何かの拍子に思い出す。

それは、風景だったり、音だったり、においだったり。
その日の空気の感じとか、何気ない日常の1コマをきっかけに、訳もわからず胸が痛み、次の瞬間、怒涛のようにいろんな思い出が心の中に押し寄せてくることがある。

私はこの瞬間が好き。

日々忘れてしまってはいるけれど、何かの拍子に思い出す数々の思い出。
そこに、その時の私と私を取り巻く人たちが存在した証。
確かに同じ時を過ごし関わりあった。
それは、永遠に変わらない。

だから。
あの時の、あの瞬間の幼い自分が、あの場所にいてくれたらそれでいいと思う。

私は、前に進まなきゃならない。
そこにとどまっているわけにはいかない。
前に進む為には、どんどん忘れていかなければならない。

これから先、どんどん記憶は薄れて行くでしょう。


忘れてしまったことをどうか恨まないで。
あなたの隣には、あの時の私がいる。
一緒にいた二人の笑顔は、変わらずそこにずっとある。

それは、誰にも消せない。





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