念願の弾き語り♪


弾き語りができるようになることが、夢だった。でも、ピアノだとどうしても、神経がピアノに集中してしまってできなかった。もちろん、ただの練習不足なだけだったんだけど。
ギターを弾けるようになりたいと思ったのは、高校1年生のとき。
家にあった親父のクラッシックギターで練習をしようと思い立った。まずは楽器屋さんに行って、教則本を買ってきた。
でも、コードがうまく押さえられなくて、きれいな音がでない。
そこで、一緒にバンドを組んでいたギターの男の子に教えてもらうことにした。
しかし、うまくならない。彼はさじを投げた(笑)「だめ。才能無いわ。おまえ」と言われてしまった。
悔しかったけど、それほどギター熱は上がってなかったので、それ以来興味を失ってしまった(笑)
それから、大学に入るまで一度もギターを触らなかった。
大学に入って、そこでまた、他のバンドを組んだ。そのバンドには、バイオリンのところに書いた私の好きな人がいた。
そのバンドで何の曲をやろうか話し合っていたとき、みんなで一致したのは「Hello Again」のコピー。何故かこの曲をみんな気に入っていて、この曲はどうしてもやりたいということになった。
そのバンドのメンバーは4人。ボーカルとギターとベースとドラム。
「Hello Again」はギターが2本。アコギとエレキ。一本足りないのをどうするか。誰かその曲のときだけ助っ人を入れようか?と言う話も出た。
しかし、またまたその彼に、「お前練習して弾きながら歌えよ」と言われてしまった。
不安だったけれど、勢いで「よーしやっちゃるっ」と思った。そして、また怒涛のような練習の日々が始まった。
左手の指先は、ものすごく堅いまめができて、ストッキングなんかはこうとしたら、すぐに破ける始末(笑) ギターを弾こうと思ったら、それくらい練習するのが当たり前なのだけれど、なにせスイッチが入るまでは何にもしないのが私の性格。
こんなに一生懸命に練習するのは、ライブ前の楽器と歌、そして、水泳部時代の水泳くらいだ。
「Hello Again」のアコギのパートはコードだけだし、コード進行も難しくない。だから、結構早くきちんと弾けるようになった。
口ずさみながら練習していたので、弾き語りもできそうだな。と思った。
ピアノと違ってギターは神経がギターにばかり集中しないですむ。もちろん、むずかしいフレーズを弾いているのなら、また話は別なのだけれど、ふつうにコード弾きで歌うぶんには全然問題無い。
ピアノだと、鍵盤のミスタッチが気になってしまう。(下手だから)そっちに集中してしまって、音をはずしてしまったり、うまく歌えない。
ギターだと、コードだけ気にしていれば、大丈夫。カッティングの練習をたくさんして、何も考えなくても、カッティングできるまで練習しておけば、コードの確認だけ気をつけていれば、歌に集中することができる。
その練習の甲斐あって、念願の弾き語りの夢がかなったのでした。(笑)
その頃、うちのサークルはしんこう食堂というところを大学祭でライブハウスにして使っていた。私たちのその日のラストの演奏は、3時から4時までの一時間。しかも11月3日祝日。お客さんが一番多いとき。いい時間がとれたから、気合も入っていたし、緊張もしていた。
歌を歌うことは何よりも好きだったから、ライブ自体に緊張していたわけではなくて、ギターをたぶん大勢の人の前で弾くことになるだろうことにすごく不安を感じていた。でも、「前の2日間はうまく行ったじゃん!」と自分を奮い立たせた。
3時になった。ステージに出た。げげーん!!!お客さんがいっぱいなのはうれしいけれど・・・・
最前列にうちの両親が座っていた。。。ひょーーーーびっくり。なんてこったい。今まで一度も見に来たことのない人たちが、何故よりにもよってこんなときに?だいたい、どうして教えてないのに、この場所が分かったんだろう?頭の中は「?」の嵐。そんな中で、ライブは始まった。
頭の中がパニックになっていたにもかかわらず、演奏が始まったら結構落ち着いてきた。
自分がギターを弾くのはラストの「Hello Again」一曲のみ。どうにかなるさと開き直った。
何度か歌詞を間違えたけれど、声の調子はよかったので、他はうまくいった。MCで笑いもとれた。ギターもなんとかうまく弾けた。よかった。体中の力がぬけた。
ライブが終わった後、両親が楽屋に来て言った。「間違えたときに舌をペロッと出すんじゃない。出さなきゃばれなかったのに。でも、良い演奏だった。歌もよかった。お疲れさま。」
驚いた。びっくりした。誉められるなんて・・・?
他のバンドで一緒にやってたギターの子にも「ギターうまかったよ。弾きながら歌えるのすごいな。たった半年だろー?」と誉められて、結構有頂天になってしまった(笑)
テーブルの上にらくがきノートを置いておいたのだけれど、身内ではなく、全く知らない高校生や中学生などのお客さんのうちのバンドに対する評価がすごく良くて、うれしくて泣いてしまった。「また見に来ます。他でライブをやるときは知らせて下さい。」と連絡先のあるものもいくつかあった。
これがバンドにとりつかれる理由なんだろうな。と今でも思う。やっぱりあの感覚、感動は忘れられない。麻薬みたい。
この時、練習したおかげで、今でも普通よりちょっと下手くらいには弾ける(全く自慢にもなりゃしないが) 例のごとく、たまに弾いたりもする。そして、やっぱりうまく弾けなくてイライラする(笑) そして、例のごとくギター熱が上がる。納得がいったら冷める。そのくり返し。
だから、私は人並み以上にうまくならない(笑)
でも、他の楽器とちがうところ。それは、バンドをやりたいなぁと、痛切に、ギターが私に思わせるところかな?