TRONWAREで見るBTRONの歴史

■1984〜1990
 1990年から21世紀の新しい応用のための、理想的なコンピュータ体系を構築することを目的とするTRONプロジェクト。90年代までに、BTRON仕様マシンのさまざまなモデルが作られた。1990年に創刊した『TRONWARE』は、Vol.5のSpecial FeatureでBTRONマシンの歴代プロトタイプを紹介している。

■1991〜1995
 1990年代前半は、BTRON1仕様OSを搭載したパソコンの商品化に始まり、拡大するBTRONの姿を見ることができる。BTRON仕様OSは、BTRON1仕様、BTRON2仕様、BTRON3仕様とシリーズ化されることになる。

■1996−1998
 90年代後半に入り、PDA向けのμBTRON仕様が発表された。また、ネットワーク社会の到来からコンピュータの漢字コード問題が広く知られることとなり、BTRONが多国語環境の面からも注目されるようになった。



■BTRONマシン プロトタイプ(モックアップ)


●エグゼクティブ用BTRON
(Vol.5,p.13上) エクゼクティブ用BTRONのモックアップ。TRONではBTRONを「電子文房具」と位置づけ、使用シーンによってデザインが異なるのを当然と考えた。全体は人造大理石、キートップは那智石、ディスプレイ裏のフラップは本皮、と、オブジェ的な造形美がある。










●BTRON各種デザインモデル
(Vol.5,p.17上) 協力各社が制作したBTRONの各種デザインモデル。いずれも、「ノートパソコン」として現在でも通用するデザインになっている。



●透明素材モデル
(Vol.5,p.20) 透明素材で作られた、TRONの電脳デザインの考え方を表すオブジェ。それ自体が電子回路である透明の可塑性素材で作られた未来のコンピュータという設定。





■BTRONマシン プロトタイプ(ワークモデル)


●BTRONプロトタイプ1
(Vol.5,p.11) 非常に初期のBTRONプロトタイプ(完全ワークモデル)。マウスに代わるポインティングデバイスとして、電子ペンが装備されている。ユニットの大きさは、ジャストA4サイズを実現していた。



●BTRONプロトタイプ2
(Vol.5,p.12上) キー配置が扇形になっているBTRONプロトタイプ。左右のキークラスタ間に立体角はなく、中央にはテンキーを兼ねたファンクションキーが見える。実験の結果、キー配列の改良が中途半端で入力の負担を減らすには至らないことがわかった。


●プラズマディスプレイモデル
(Vol.5,p.16上) プラズマディスプレイを使った第2世代のワークモデル。キー配置も最終仕様に近い。各社の協力により、コードレスの電子ペン(電磁授受方式)が実用化された。これより以前の電子ペンには、電池内蔵の赤外線方式などが使われている。


●初期のBTRON
(Vol.5,p.16下) 16色カラーの高解像度ディスプレイを採用した試作機。すでにBTRON仕様OSが動作している。



●BTRONワークモデル
(Vol.5,p.17下) 液晶ディスプレイ、ほぼ最終仕様のキーボードなどを組み合わせた第3世代のワークモデル。この時点で、キーボード下にカレット操作用の4方向キーが加えられた。



●TRONチップ版の試作機
(Vol.5,p.19) TRON仕様チップを使った試作モデル。TRON仕様チップは、大手半導体メーカー6社が製作した。



●2Bシステム
(Vol.8,表紙) BTRON1仕様OSに続いて開発された、BTRON2仕様OS「2B」のデモシステム。TRONチップ上で動作している。


●MCUBE
(Vol.34,表紙) BTRON3仕様が動作する、TRONチップとTRON仕様キーボードを使ったピュアBTRONワークステーション「MCUBE」。





■BTRONマシン及びOS (市販版)
●1B/note
(Vol.11,表紙など) BTRON仕様ノート型パソコン「1B/note」。一般販売としては、初のBTRON製品となる。



●1B/desktop
(Vol.18,表紙) BTRON1仕様OS「1B」を搭載したデスクトップパソコン、「1B/desktop」シリーズ。TRON仕様キーボードを利用することができた。



●1B/V1体験版
(Vol.28,p.4左上) DOS/V機で動作するBTRON1仕様OSが開発され、「1B/V1」として販売される。写真は「体験版」のフロッピー。マルチタスク・リアルタイムのOSが1枚のフロッピーに納められている。



●1B/V2
(Vol.38,p.2左) 「1B/V1」がバージョンアップし「1B/V2」となった。従来のOSでは使えなかった約6000字の日本の難字(JIS補助漢字)を搭載したOSとして注目される。



●1B/noteシリーズ
(Vol.39,p.3/Vol.40,p.3) 高性能なOSがコンパクトにまとまったBTRONの特長は、携帯性に優れたノートパソコンで特に発揮された。写真は「1B/note-PT110」。



●Tipo
(Vol.42,p.4右/Vol.45,p.2) μBTRON仕様OSを搭載した携帯端末「TiPO」。デスクトップコンピュータOSの機能と電子手帳の携帯性を兼ね持つ情報機器として注目をあびる。



●1BV3
(Vol.43,裏表紙) BTRON1仕様OS「1B」の最新版「1B/V3」。PCカード対応やビジュアル開発言語のバージョンアップなど、他OSや「TiPO」との連携機能が強化された。また、中国語と韓国語も扱えるようになり、多国語OSとしても注目された。



●3B/V-VAIOnote
(Vol.51,p.3) BTRON3仕様OSを搭載したノートパソコン。無限個の文字コードを扱えるというBTRONの特長を活かし、JISに含まれない漢字や変体かなを表示している。