「日乃出堂通信Vol.49」
2001年最初の「日乃出堂通信」です。
今回も短いですが、新年記念号と言うことで許してください。
*** いもほり日記 ***
「はじめてのインド哲学」
立川武蔵著
講談社現代新書|講談社
やっと、立川武蔵さんの本を読みました。立川さんは、国立民族学博物館の教授です。専攻はインド学、チベット学だそうです。しかし、この人の名前はペンネームなのでしょうか?いかにも過ぎる名前だと思ってしまった(立川教授申しわけありません)。
本の中身はブラフマンとかアートマンと言う単語がたくさん出てきます。(と言うわけで「孔子暗黒伝」とか「暗黒神話」を読み返すわけですな)
インド哲学とは、「自己と宇宙の合一を目指し」「聖なるもの」を追い求めることらしいです。
この後、老荘思想の本も読みかけたのですが、私には合わずに途中でやめてしまいました。日本人にはインド哲学の方が合っているような気がします。え?私だけ?
やはり、養老さんの「唯脳論」が頭をよぎります。
「スリーピーホロー」
SLEEPY HOLLOW
ティム・バートン監督作品
マンダレイピクチャー
おもしろいですねえ。かなり悩んだのですが、ある人が「サスペンスではなく、アクションだった」と言うのを聞いて買ってみました。
確かにアクションです。時代設定は良いかも。
なんと言ってもあの俳優が出ているのが良いです。とても良いです。
個人的にあの俳優が好きだからそれだけで満足な映画でした。
現実にはあり得ない話と言う意味でファンタジーです。
「渚にて」
ON THE BEACH
スタンリー・クレイマー監督作品
MGM
ご存じNevil Shute原作「ON THE BEACH」の映画化作品です。
お話の内容が原作とどの程度違うか私にはもうわかりません。なにせ、原作を読んだのがもう20年くらい前の話ですから。
舞台は1964年でした。映画自体は確か1960年位です(覚えてない)
え?1959年?ほほう、「ゴジラ」と同じ年ですか。つまり、第5福竜丸事件と同じ年。核戦争3分前(5秒前?)ですか。
フレッド・アステアが出ているとは知りませんでした。
ちょっと、音楽の使い方が良くないですね。特に無人のサンフランシスコを合衆国海軍潜水艦「ソードフィッシュ」の潜望鏡から望んだシーンは良くなかったです。
しかし、全体に流れる「ワルティング・マチルダ」は良いかも。
それにしても、全面核戦争って日本では隔日の感がありますが、実はあの頃と危険性はなんら変わっていないと言うことはこの「日乃出堂通信」の読者はわかっておられると信じています。
とりあえず、古い映画だと言うことで。
そういえばリメイクがあるようですね。
「パーフェクト・ストーム」
THE PERFECT STORM
ウォルフガング・ペーターゼン監督作品
WB
沿岸警備隊の皆さんありがとう!海軍の皆さんありがとう!
以上
「ダルマの民俗学」−陰陽五行から解く−
吉野裕子著
岩波新書|岩波書店
“またか”と思われる方もおられると思いますが(なんか、このセンテンスが日乃出堂通信には多いな)。
この人はなんでもかんでも陰陽五行に結びつけます。
確かに、日本の祭祀や呪物には陰陽五行が深く関係しているとは思うので、それはそれで良いのです。
しかし、問題なのは、この人の本の一般向けの本のほとんどすべて(ってそこまで読んでいないので断言はできないのですが)で、内容の半分以上が“陰陽五行”の解説に当てられているのですよね。これはむつかしい話なのですけどねえ。何も無いとわからないし。
でも読む度だとあれだし。解説部分は飛ばして読めば良いわけですけど、実際には解説部分も本文なのですよね。
で、結果だけ書くと「ダルマの属性は“火”」だそうです。
ここで書かれるダルマとは、選挙の時にめんたまを書き込むダルマです。
達磨はもちろん似て非なるものとして扱われます。もちろん、アビダルマとも違いますね。アビダルマってのは、昔の「日乃出堂通信」で連載されていた「簡易入門 日本の仏教思想」を参照してください(って、んなもんねえよ)
陰陽五行と日本の祭祀に興味ある人は一度この人の本を読むと良いと思います。と書いたけど興味ある人は既に読んでいますよね。
基本は最近復刊した「陰陽五行思想からみた日本の祭り−伊勢神宮祭祀・大嘗祭を中心として−」(吉野裕子著|人文書院)でしょうね。
「日本の遊園地」
橋爪紳也著
講談社現代新書|講談社
遊園地の起源から始まり日本の遊園地の歴史そして、海外の最新の流れと日本の遊園地の向かう方向までがてんこ盛りと言う本です。
で、最初の遊園地らしいものとして各地で催された博覧会に併設されたものが紹介されるわけですが、その末裔としての「エキスポランド」や横浜のあれとかが出てないのですよね。
最近、大阪の新世界には再び遊園地ができたようですね。うーん、情報が古い(私のね)。
ところで、この本の中には何カ所か“○○パラダイス”と名付けられたアミューズメントが出てきます(正確には市岡パラダイスと京都パラダイス)が。
あたしゃ、“パラダイス”と聞くと「須崎パラダイス」くらいしか思い浮かばないので、困ってしまいます。
編集後記
ついに、2001年になってしまいました。
「日乃出堂通信」も10年くらいやっているのですが、実質は4年なのですよねえ。困ったものです。
有人木星探査もAIも実現してません。絶対起こらないはずの臨界事故などはありましたけど。それでも、21世紀なのですよね。
でも、NHKの「行く年来る年」を見ていて比叡山延暦寺で、“新世紀を云々”言っていたのを聞いた時には笑ってしまいました。いや、これはNHKでなくて比叡山延暦寺が悪いのですけどね。暦は西洋暦に変わったので2001年になったと言うのは良いのですが...