【紹興酒工場・貿易商社・ラベルについて】

 紹興市に有る紹興酒の工場は、200工場程度あるとの事ですが、殆どの中小工場が大工場に統括されるなどして、例えば「樽買い」などという方法で、あちこちで生産された酒が大工場に集約されてくるというのが現状です。 ですから、酒造業者名が同じであっても同じ味のする酒が出来上がってくるかというと、必ずしもそうでは無い場合もあるように思います。

 以前は、中国という特殊な社会性から、海外への輸出窓口は、厳格に決まっていて日本の業者は限られた方法(や契約)でしか輸入出来なかったそうです。 しかし、抜け道は存在していたようで、中国華僑の貿易商社は中国国内のどの工場とも取引が出来、それらを介することで、 専売契約した会社以外でも同じ酒造会社から似たような名前を付けた(ボトル容量を変えたりした)紹興酒が日本に入ってくるということを可能にしていました。

 と、いうように紹興酒には、生産工場の複雑な構図、流通段階での困難な事情など、輸入するに至るまでにかなり複雑な事情があるため、いま現在の日本の紹興酒のラベルを見ただけでは、どこの工場(酒廠)の産なのか、 という事がすっきり判る形態には全くなっていません。

 さらに、日本の業者側で付けたであろうビンのラベルの表記を読み取ろうと思っても、それが生産者の名前なのか、貿易商社の名前なのか、ボトル表記からだけでは、よく判らないなど、判断材料に欠ける面もあって正しい識別はなかなか難しいというのが現状です。

 ですから、日本における紹興酒を語るとき、ブランド名だけでは、語り尽くせない難しさが、実はあると思います。