2025.1.1
年頭所感:地球温暖化の仕組み

 ここ20数年来のライフワークである双対性だが、昨年の年頭所感は元気なタンパク質とそうでないタンパク質、であった。
タンパク質は20種類のアミノ酸が無数に鎖のように繋がったもので、その分子は振動していると述べた。
高校の物理では量子力学のさわりとして、ド・ブロイの物質波というものを習った。
これは、"万物は振動している" というもので、その仕組みは大学の理学部で学ぶ事が出来る。
筆者は量子力学の専門家ではないが、現在の人類の最重要課題と言える地球温暖化はどうやって起きたのか?、そこにド・ブロイの物質波が関わっているという確信が持てた。
今年は、それを述べて見たい。

 昨年、知識として知ったのは、CO2が温室効果ガスと呼ばれる仕組みであった。
近年、様々な分野で分子の挙動を解明する研究が進んでいる。
分子レベルのミクロな物質は振動しており、原子(元素)の結合構造によって振動の仕方が異なる。
この仮説が生まれたのは、1970年代後半にレーザー光線を使って分光スペクトル解析と呼ばれる、物質に含まれる分子の成分を分析する技術が実用化されてからである。
そこで得られた重要な事実は、炭素Cと酸素O2の結合であるCO2の分子が持つ振動エネルギが、太陽光の中に含まれる赤外線に共鳴して加勢されるという事である。
これは、電磁波を使って食品中に含まれる水分子を加勢させて加熱する電子レンジの原理と同じである。
つまり、CO2ガスは赤外線をエネルギ源として冷める事の無いカイロのような物質という事である。
仕組みはともかく実情を説明するものだったと言える。

 筆者がこの一年で解った事は以下である。

・CO2ガスの保温効果だが、大気中の全てのCO2分子が一様に赤外線に加勢される訳では無い。
・理由は、CO2の分子1個は振動=伸縮している。
・赤外線を含む光は空間の伸縮による電磁波である。
・お互いの伸び、縮みのタイミング=位相が全ての分子が揃っていれば100%加勢される。
・位相が逆であれば去勢される分子も出てくる。
・つまり、元気な分子とそうでない分子が混在する。
・これは、水ヨーヨーのコツは縮みのタイミングで振っているのと同じである。
・従って、CO2ガスの保温効果は確率の問題となり、その効率が結果として現れる。

 ここで保温効果の効率と呼んだが、重要なのはこの効率という視点である。
効率という概念は様々な分野で出てくるが、力学的には投入されたエネルギに対して変換されて成された仕事量=エネルギは必ずロスを伴うという意味である。
大気中のCO2ガス量は18世紀後半に起こった産業革命を機に加速度的に増加していると言われている。
人類は生命を維持し、より良い生活環境・水準を希求し、向上させてきた。
寒ければ暖を取る事から始まり、必要な物資を得るために陸・海・空と輸送手段を発明して来た。
振り返って見るとそこには投入した燃料に見合う成果という、効率の視点があっただろうか?
昨今、"コスパが良い" なる声を聞くが、こちらは金額と満足度の比であり、人によってスケールが異なる。
ここで言う効率とは人の感性に左右されない。

 例えば先端技術と言われるリニア中央新幹線であるが、効率、すなわち1本の列車が東京から大阪に移動する際の "エネルギ当たりの消費電力" は在来新幹線より改善されているのだろうか?
在来新幹線より速いのだから大きなエネルギが必要になる事は小学生でも判る。
エネルギ変換効率とは成果(出力)をその消費電力(入力)で除した比率である。
少し専門的になるが、分母も分子も単位は(Kwh)、または(J)だが、約分されて単位を持たない。
単位を持たないと言う事はどんな分野の人が見ても、小学生が見ても判断を誤らないという事である。
同じ出力を得るのに消費電力が少ない=ロスが少ない方が優れているのである。
この効率はJRのサイト を探しても出ていなかった。
自分で計算するにはリニア新幹線を構築している無数の装置、システムの効率データが必要だが、開発に携わっている担当者は答えられるだろうか?
把握はしているが非公開という事だろうか?

 1802年、英国のリチャード・トレビシックが世界で初めて蒸気機関車を作り上げた。
当初はそれがビジネスとして成功するかどうかは誰も判らなかった。
投資家達は賭けをしてビジネスの可能性を少しずつ実感して行ったようである。
運びたいニーズがあれば、それを望む時間で運ぶ為に必要なエネルギ量は試行錯誤を経て見えてきた。
すなわち、機関車に必要とされる出力=馬力と燃料費である。
こうした試算がルーチン化されるまでにはおよそ50年を要している。
1872年、明治5年に開通した陸蒸気はトレビシックの孫が技術支援に招かれているそうである。
世界中でニーズの増加に合わせて機関車の出力は右肩上がりで大きくなって行った。

 A社とB社の製品があるなら出力ではなく、効率が高い方の価格はいくらなのか?
それを何年使えば元が取れるのか?
筆者の経験では商談に訪れたドイツの企業に、"御社の製品のエネルギ変換効率を提示して欲しい" と言ったら、"それは商談成立後です" と言われた。
エネルギ変換効率とは企業機密であり、世間から隠ぺいされた情報と言う事である。
効率を改善する、すなわちロスを減らすには匠の技が必要でコストが掛かるものである。
効率が芳しくないという裏にはロスが大きいという事実が有り、褒められた事ではない。
この隠ぺいが続く限り、商談はいくらの出力をいくらで買うか?になってしまう。
今知りたいのは、同じ生活水準で電力使用量=CO2を減らすにはコストはいくら余計に掛かるのか?
官民のトップが何人変わっても答えは出てこないような気がする次第である。
ロスはいったいどのくらい出ているのか? それは現場の担当者のみぞ知る?
隠ぺいしておくのに気力は要らないが、公開するには気力が要る?
気力とはエネルギなり。


リチャード・トレビシック(1771-1833)

関連エッセイ:
オーラの可視化
年頭所感:ランダムとは何か?
柔らかい力士とは?
二人のこころ模様
年頭所感:ニュートンとフックはなぜ仲が悪かったのか?
山岳調3部作
相対性理論=双対性理論 愛とは何か?
年頭所感:思い描くことの大切さ
神様はこの世にまず音楽を作った?
「タンパク質の音楽」を読んで

エッセイ目次に戻る