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『新版歌祭文』


◆ 作品について ◆

 

初演 安永9年(1780年) 竹本座
作者 近松半二(1725〜85年)
原作 世話物・上下2巻
原作 上の巻 「座摩社の段」
原作 上の巻 「野崎村の段」
原作 下の巻 「長町の段」
原作 下の巻 「油屋の段」
原作 下の巻 「蔵場の段」

先行作品に宝永7年(1710)4月『お染久松袂の白しぼり』(紀海音・作) 明和4年(1767)12月『染模様妹背門松』(菅専助・作)などがあるので「新版」と呼び、また「歌祭文」の縁語にもなっています。
先行作品には「野崎村の段」にあたる部分は無く、近松半二の独創です
 



◆ 現在の上演 ◆


通しで上演されることもありますが(近年では平成5年1月 国立文楽劇場)、文楽のスタンダード版といえる存在の「野崎村の段」のみが単独で繰り返し上演されています。  
単独の場合には構成上、手を入れます。
今回は、冒頭の祭文売りをカットしてお染の母の出もカットするいわゆる「婆抜き」にして、時間内で楽しくみられる構成になっています。
 
地方公演の前の9月国立劇場でも「野崎村の段」が単独で上演されましたが、お染が祝言の準備にかかる前までのかなりの部分をカットして、その後は触らず元の浄瑠璃を大事にする形での上演でした。  



◆ 元になった事件 ◆


二つの記録があるらしいのです、これらは先行作品も含め題材に共通したところがあります。  
延宝7年(1679)9月29日 油屋の丁稚「久松」(13才)が奉公先の娘のお守りをしていたところお染(2才)が川に落ち溺死した。久松は怒った主人に土蔵に押し込められ、中で首をくくった。(「蔵場の段」の蔵を連想します)  
そしてもう一つ、宝永7年(1710)1月6日油屋の丁稚「久松」と奉公先の娘のソメが店の油細工所にて刃で心中した。(心中であること) ちなみに情死として戯曲化されたのが、後記の事件と同じ年の歌舞伎「心中鬼門角」と人形浄瑠璃「袂の白しぼり」(紀海音・作)です。
 
  *この項(参考文献・平成2年12月国立劇場文楽鑑賞教室パンフレット)  
     
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