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くけんよしだやのだん
吉田屋の画像(リンクなし)
み笠を深く被り紙子姿で吉田屋の前に現れたのは、流浪していた伊左衛門でした。

夕霧
藤屋伊左衛門

 「九軒」というのは吉田屋が店を構えている「新町遊郭の町名」です。店の前では吉例の餅つきが行われています。そこへ病でやつれた扇屋の「夕霧」がやってきます。

 吉田屋の主人「喜左衛門」は夕霧の病気のことが気になりつつも、ぜひ夕霧に近づきになりたいというお客のため扇屋から呼んだのです。
 夕霧は「私も生きているうちに伊左衛門様と会う気持ちでもう一度来たかった、座敷は気まま勝手に勤めますから」と言って座敷に入ります。
 かつては伊左衛門と一緒にこの目出たい餅つきに欠かさず来ていたのですが、伊左衛門は行方知れずだったのです。

 編笠を深く被り、紙子姿(紙で仕立てた着物)で「伊左衛門」が吉田屋の前に現れました。親に勘当され多額の借金を抱えた姿はみすぼらしく店の男衆は追い返そうとしますが主人の喜左衛門が気付き、かれこれ二年ぶりの伊左衛門を奥座敷に案内します。

 伊左衛門は座敷に夕霧が居ると聞いて胸踊らせます、しかし客は誰だろう? 以前、自分と張り合った大尽ではないのか? 喜左衛門が違うと言っても伊左衛門は子供のようにすねてしまうのでした。

 その夕霧が飛立つ思いで座敷を抜け出し、恋しい伊左衛門を抱き締めます。しかし伊左衛門は大人げなく「この万歳傾城」などとひどいことを言うのです。夕霧は泣きながら、あなたのことを案じているうちに病気になってしまったのに・・・と悲しみます。
 やっと気を取り直して謝る伊左衛門。二人の間にできた子供が七つになったと聞いて無事に育っているのかどうか気になります。そしてなんとか取り戻せないものかと考えます。
 夕霧は阿波の平岡左近という侍に、二人の子供だと嘘をついて渡していたのでした。

 そのとき・・・襖が開いて頭巾を被り刀を差した人物が入ってきました。頭巾を取るとなんと女性。その人は平岡左近の妻、「お雪」でした。自分たちが育てている子供の父親は夫だと信じていたのですが今の話を立ち聞きしてしまったのです。
 お雪は、「二人を刺して自分も死のうと思ったが、傾城に嫉妬して死んだと言われればますます夫の恥になる。」このうえは息子「源之介」をこのまま譲って欲しいと懇願します。
 同意した伊左衛門と夕霧ですが、生きているうちに我子に一目会いたいと夕霧が願います。心得たと言うお雪、はたして夕霧は息子に会えるのでしょうか?

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