『おもしろいダジャレの作り方を教えてください』

(小1・林屋ペーくん)          



私はガメラを許さない!



ハカセ  「ダジャレにするテーマはこれでいこう。『私はガメラを許さない!』じゃ」

なんで君「えへへ。ハカセ、若者向けの映画ちゃんとチェックしてるんですね」

ハカセ  「ああ。歌舞伎町の映画館の裏でな、ゴミ袋をあさっていたとき、かすかに開いた扉から見えた銀幕。
      そこに映っていた前田愛ちゃんのずぶぬれ姿…。かわいかった…」

なんで君「そんな話はいいよ!! ダジャレだよ!!」

ハカセ  「まずはダジャレの基本パターン、『コア変換』じゃ!」

なんで君「コア変換?」

ハカセ  「元の文章の核となる単語を変換するのじゃ。
      例文で見ると、核となる単語は『ガメラ』じゃな。これをダジャレにするのじゃ」

なんで君「う〜ん、なるほど」

ハカセ  「ただし、どんな言葉を持ってきてもいいというわけではない。
      これはダジャレにおける肝なのじゃが、
      "変換後の文章が、聞き手の想像心をくすぐるおもしろい文章になっていなければならない"」

なんで君「難しいですねえ」

ハカセ  「それでは、コア変換の例文を見せよう。これじゃ!」





なんで君「???」

ハカセ  「この文を耳にしたとき、聞き手は『あいたー! おせんべいをかじって、歯が欠けちゃったのかなあ』と思うわけじゃ」

なんで君「あ! ギャハハハハ!!

ハカセ  「フフフ、ダジャレの基本理念わかったかな? しかし、コア変換は基本中の基本。
      いわば、そこらへんの一般人レベルじゃ。人と同じことをしていては笑いは取れぬ。
      そこで次は応用の『サブ変換』じゃ!」

なんで君「サブ変換ですか?」

ハカセ  「これは基本である核の単語をあえてはずし、その前後の言葉をダジャレにするものじゃ。
      これにより、聞き手に意外性を与えることができる。予期せぬフレーズ、これが笑いを増幅するのじゃな」

なんで君「これもまた難しいですねえ」

ハカセ  「それでは、サブ変換の例文を見せよう。これじゃっ!!」





なんで君「????

ハカセ  「どうじゃ、ガメラを先導して土俵に行進する前田愛ちゃんの姿が見えてこんかな?」

なんで君「あ! ギャハハハハハ!!

ハカセ  「フフフ。それでは、もうひとつ例文を見せよう。これじゃっ!!」





なんで君「?????

ハカセ  「ええっ、朝潮は一体ガメラにどんなひどい事されたんじゃ!?」

なんで君「あ! ギャハハハハハハ!!」

ハカセ  「サブ変換ができれば、どんな文章が来てもダジャレにすることができるじゃろうて。
      それでは最後に超難度の『全変換』じゃ!」

なんで君「ぜ、全変換?」

ハカセ  「文字通り、全文をダジャレにする必殺の大技じゃ! しかし、これは非常に危険な技…。
      知恵と勇気と体力、すべてがそろわなければ成功はありえない。一歩まちがえれば……死じゃ。
      凍え死にが待っておる!!

なんで君「ハカセ! な、なんでそんな危険な思いをしてまでダジャレを追求するのですか!?
      いいじゃないですか、普通のダジャレで!『馬を食べたらうまかった』でいいじゃないですか!!」

ハカセ 「男の夢……かな」

なんで君「夢?」

ハカセ 「イヤなんだよ、飲み屋で酔っ払いどもが口にするオヤジギャグなんてものは。
     笑いとは、そんな低いものじゃないんだ。知力をふりしぼり、感覚を研ぎ澄まして、身を削って生まれてくる純粋な結晶。
     それが本当の笑いというものだ。真の笑いとは、個人のアイデンティティーだ。誰にも似ていない。
     それが他人を笑わせたとき、自己のアイデンティティーは高次元に昇華するのだ。自己存在を確認するのだ。
     それが""なんだよ…。だがそれには危険も伴う。笑いとはガソリンみたいなものだ。点火すれば消費する。
     個人のガソリンの量は決まっている。使い果たせば、もぬけの殻じゃ。だが、それでもいいじゃないか。
     線香花火のように生きるよりは、激しい光を放ち稲妻のように一瞬の生を燃焼する方が!」

なんで君「滅びの美学!!

ハカセ  「くだらん話をしてしまったな」

なんで君「感動しましたよハカセ。それじゃ見せてください。ハカセの輝きを!」

ハカセ  「うむ。わしも全変換に挑戦するのは、ひさびさじゃ! 命、賭けよう!! 
      私はガメラを許さない.....ガメラをゆるさない.........ガメラを.................うむ、できたっ!! これじゃっ!!








なんで君「????? は、ハカセ…、これ最後の『い』しか合ってないような…」

ハカセ「全変換の命は"いきおい"じゃ!!」

なんで君「いきおいって…、さっき知力をふりしぼるとかなんとか…」

ハカセ「いきおいで、もうひとつできたっ!! どりゃああああ!!







なんで君「????? ハカセ、なんですか、これは…。おもしろいフレーズコンテストですか?」

ハカセ「まだまだー!! もうひとついくぞーー!!







なんで君「もうなにひとつ合ってねーよ!! 
      知恵もクソもあるか!!  なんだよ、さっきのウンチクはよ!!


ハカセ「う〜ん、ダジャレは難しいですねえ」


入口に戻る。