− 設定魔の気まぐれ −
「DOLL」 −社会に出るアンドロイドたち
| (※改訂版) |
Last Modified:2003/03/08
DOLLとは「出生率低下によって不足した労働人口を補うために開発された人型機械」の総称である。
当初は「労働力の頭数補充」に過ぎなかったそれは、技術の進歩にしたがってより人に近づき、人間を精神面からも支える存在としても重要な役目を果たすようになる。
・・・こうして、さまざまな要因からDOLLは急速に発展し、人に近い外見と、擬似的ながら人格や感情までをも持つに至った。
DOLLには、AIの種別や性能によってA級〜C級までが存在する。
- C級(Class-C)
無人格で無感情、小規模な自己判断のみの機械人形。
外見的にも人間に酷似したものはなく、機械そのままの外見のものがほとんどである。このため、「Tin-Toy(ブリキ玩具)」と呼ばれることもある。
C級DOLLのAIは、シリコンベースのノイマン/非ノイマン式コンピューターシステムである。512ビット級のメインCPUと、多重分割処理系による外部認識機能を組み合わせ、簡単な受け答えと自己判断・単純作業を行えるが、常識や価値観を持たないため推論能力に限界があり、アバウトな命令に対応(理解)できないという致命的な問題を有している。
それでも、安価かつ安定した運用が可能なことから、単純作業などに広く採用されている。
- B級(Class-B)
疑似人格・感情を有するが、「自我」と呼べるものは存在しない。そのため「死を恐れない」など人間とは決定的に異なる価値観を持つ。
外見はさまざまだが、モデルによっては人間に酷似した外見をもつものも存在する。
B級DOLLのAIは、非ノイマン式ニューロナイズ人工知能が採用されている。さまざまな構成が実用化されているが、その基本的な構造は同一(連想処理ネットワーク)である。
このAIによって、それまで無感情な「ロボット」にすぎなかったDOLLは飛躍的な発展を遂げた。
自己学習能力を持ち、人格(常識と価値観)を身につけたことによって、使用者のアバウトな命令に対応できる高度な自己判断能力や、ものによっては擬似的な感情までを有するまでに至ったのである。
通常、B級DOLLは「自我(エゴ)」を有しないため、「自分のために行動する欲望」を持たない。このため基本的に使用者の命令に従うが、命令への盲従ではなく、ある程度常識や価値観・みずからの判断基準を元に行動する。
つまり、使用者の命令に従わないこともあるということであるが、このことが逆にDOLLの「悪用」を防ぎ、DOLLへの信頼感の醸成に役立っているのはいささか皮肉な話ではある。
なお、B級DOLL用AIは、自己学習によって変革する能力を持ったAIであり、自我に目覚める可能性を秘めている。
B級DOLLも所有者のケアによって成長するうち、人間同様の自我が芽生える可能性は少なからず存在する。
(※実際にこうして自我が芽生えたB級DOLLが存在する・・・と言われるが、定かではない。)
- A級(Class-A)
A級(有人格)DOLLは、「自我」を持ち人間とほとんどかわらない精神活動を有する。
基本的にはB級と同じく、連想処理ネットワークをベースとした非ノイマン式AIである。B級と同じ構造のAIであるが、その中でごくまれに発生する「オーバースペック品」であり、その希少性から市販レベルのものは存在せず、研究所やメーカーの「試作品」レベルの機体がほとんどである。
※自我の存在は、あるチューリングテストによって測定が可能である。
DOLLのAIについて補足する。
- B級やA級DOLLの「人工知能」は、単なるプログラムではない。
連想ネットワークの絡み合いによる大規模な"物理回路"であり、むしろ「ハードウエア」に近い。
- 「CPU」や「メモリ」と呼ばれるパーツは存在するが、それ自体は人格や感情そのものを司るものではない。
CPU:AI全体のベースクロックを統括し、AIとボディをつなぐゲートウエイ。
CPUの性能次第で運動/行動能力(運動神経)、「頭の回転」が決まる。
メモリ:連想ネットワークの末端に繋がり、記憶能力や洞察力に影響を及ぼす。
- 連想処理ネットワーク人工知能は、その構造上
・記憶の整理と圧縮格納(デフラグ)のため、定期的な"睡眠"を必要とする
・「忘れる」、「見落とす」など、人間同様のミスを起こす
・・・など、人間同様の非効率性も有している。
DOLLの外見はさまざまである。金属やセラミック製の、いかにもメカニック的な外見を有するものから、人工皮膚による人間に近い外見を持つものまでが存在する。
有機材料による生体に近い感触を持つ人工皮膚が開発されて以来、親近感や安心感をもたらすために、人間に類似した外見(特に顔など)を持つ機体が増えている。
しかし、完全に人間そのままの機体はなく、なんらかの外見的な特徴(メカパーツや点検パネルの継ぎ目など)を持つ機体がほとんどである。とはいえ、これは故意に人間との差別化を図ったということではなく、そのDOLLの用途やメンテナンスの関係でたまたまついたに過ぎないものである。無理に人間に酷似させなければならない理由はないのだ。
なお、この人工皮膚は、「若い女性の張りのある肌」がもっとも製造コストが低い。市販DOLLに少女型が圧倒的に多い理由がここにある。#ほんとだってば(ぉ)
また、放熱やセンサー、衝撃吸収の目的で「頭髪」を持つ機体も多い。
DOLLは、そのクラスによって下記のような社会的立場にある。
- C級(Class-C)
C級は人格や感情を持たず、「道具」であり「オーナーの所有物」である。
- A級(Class-A)/B級(Class-B)
- A級/B級DOLLは自らの製造コストを「借金」として生まれ、働くことで一定額を「返済」する。
- A級には職業選択の自由もあるが、基本的に生まれた時点で「用途」が決まっており(そのための特殊装備がある場合もある)、またその仕事に「プロ意識」を持つよう方向付けがされているため転職はめったにない。
- その製造コストを「買い上げる」ことで「身請け」されることもある。「本人」の意思は尊重されるが、B級DOLLの場合は通常「自我」を持たないため、身請けされることに対しても抵抗は少ない。
- 平均耐用年数の8割程度で「完済=定年」となる。その後は「死亡」まで自由の身となるが、そのプロ意識からかボランティア活動につく機体が多い。
- 「愛玩用」のDOLLも存在する。−愛玩用というと聞こえが怪しいが、ペットが「コンパニオンアニマル」になったように、人間の心の支え、パートナーとして不可欠な存在となっている。
- DOLLの愛護団体(いわゆる圧力団体)も存在する。
- DOLLは「DR検査」と呼ばれる「車検」にあたる診断が義務づけられている。価格に含まれているため費用は無料。無検査運用は違反となる。
- DOLLを破壊・損傷した場合は、その級や損傷の度合い(修理の可・不可)によって異なるものの「傷械罪」や「殺械罪」となる(旧名:特別器物損壊罪)。
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