− 設定魔の気まぐれ −
ニューロチップ有人格人工知能 | |
有機材料を使った成長型電脳チップによって、「創造性」「適応性」を持った「人格を持つ人工知能」。
その最大の特徴は、「自我」や「価値観」(*人格や感情とはまた別)を持つことである。
しかし、これは決して「故意の低性能化」ではない。
人間の脳は、たかだか0.4テラバイト程度の記憶容量と速くはない化学反応による情報処理能力しか持たないにもかかわらず、どんなシリコンコンピュータでもかなわないような「創造力」や「勘」といった高度な能力までをも身につけている。
−それは、人間の脳が「情報の取捨選択」や「連想記憶」によって成り立っていることと深い関連がある。
- 情報の取捨選択
たとえば視覚一つを取ってみても、視界すべての膨大な情報をビットマップで取り込めば、いかに高性能な電脳でもオーバーロードは免れない。人間が視覚の画像処理をこなせるのは「不要な情報をカットしている(見えない、見逃す)」からである。
このAIは人間と同様に「情報の取捨選択」を行うことで、人間と同等(以上)の情報処理能力を得ている。
「自我」や「価値観」は、この「情報の取捨選択」のために必要不可欠なものである。自らの自我を持ち、価値観にのっとって不必要な情報を切り捨て、整理するのである。
- 連想記憶
人間は「眼前の物体が何か」を判断する場合も、その物体のディテールをビットマップで詳細に把握しているのではない(おおまかに数100種類のパターンに分類して記憶していると言われる)。物体のさまざまな特徴を判別し、総合的に判断することで、わずかな基本情報で多種の物体を識別している。
また、人間は「ごろ合わせ」など「何かに関連づけて覚える」ことで膨大な情報を記憶することができる。人間の記憶の特質はここにあり、「連想して記憶する」ことによって、合理的に大量の情報を記憶しているのである。
このAIは、人間同様に神経回路が成長し連絡し合うことによって成長し、「連想記憶」によって高度な情報処理能力を得ている。
ただし、有機ネットワークの宿命として人間と同様に「忘れる」「思い出せない」といったマイナス面も持つ。
以上のように、「情報の取捨選択」「連想記憶」によって人間と同等の反応をもつAIが実現された。しかしそれは時に「気づかない」「忘れる」といったマイナス要因をも持つ。つまり「機械のような完全性」は期待できないということである。
とはいえ、それでも「電脳との親和性・接続性」「集中力の持続」「人権を考慮しなくてもよい(嫌な言葉だ)」などの点でこのAIの存在価値は高い。
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