舟木一夫 紅白で熱唱「高原のお嬢さん」
         私なりの実況中継 〜     (2010年2月14日         
       
      
熱唱の模様はYou Tubeで御覧になれます。 
      
                      

 昭和40年の大晦日の紅白歌合戦で、舟木一夫は白組トップバッターとして「高原のお嬢さん」を歌いました。
今、それをビデオで見てみると、あらためて、その歌声、歌う姿にたいへんな感動を覚えます。
若き21歳、さわやかで、清潔感にあふれ とてもカッコいいです。
そのあたりを実況中継風に述べさせていただきます。

 白組司会者の宮田輝が、舟木を 「トップバッターとしてホームランをかっ飛ばします」 と紹介すると、イントロが流れ、舟木が舞台中央の階段を軽やかに駆け下りてきて、マイクの前に立ち、深々と一礼して歌い出します。衣装は白っぽいブレザーに黒のスラックス、髪は短かめの舟木カットです。

  ♪あの人に逢いたい たまらなく逢いたい♪

当時はスタンドマイクなので、両手は軽く下に下ろし、マイクに顔を近づけて歌います。
舟木はものすごく緊張に満ちた真剣な表情です。トップバッターとしての責任と気負いがあるようにもみえます。

  ♪高原に風はわたりー 白樺はゆれていたー♪ 

歌も佳境に入ってきて、若いハリのある高音で思いっきり歌っています。
ちょっと首を左右にゆらして 高原のどこか寂しい情景を感情込めて歌っています。

  ♪ 夏がゆけば 恋も終わると あの人はいつも言ってたー ♪

サビの部分に入り、画面は顔がアップに映り、
舟木は、別れが来るせつなさを、寂しげに語りかけるように歌います。

  ♪ リーフ リーフ 君に僕の恋を語ろうー ♪


一番を歌い上げて ちょっと後ろに下がります。

間奏が流れ、その間、画面には、紅組司会者の林美智子が、振袖の着物で微笑んでる表情が映ります。

(2番)
  ♪ つぶらなる瞳よ つぶらなる瞳よ ♪

カメラは舟木の後ろにまわり、観客席の様子を映し出します。

今日は1年を締めくくる大晦日、会場のお客様も、今年1年をそれぞれの思いを抱きながらも、今は舞台の歌手の歌に聞き入っています。

舟木は舞台に慣れてきたせいか、一番の時より余裕のある歌声に聞こえます。

  ♪ 高原の夏は過ぎて 別れゆく夜は来たー ♪

別れ行くさびしさを 1番の時より更に哀感を込めて、思いっきり訴えるように歌います。素晴らしい歌唱です。舟木の聞かせ所です。生涯で一番 良い声を出した時ではないでしょうか。

  ♪ 一人よせる ♪ と声を差し出し、一呼吸おいて

  ♪ 夢は果てなく ♪ と軽く、歯切れよく返す歌い方が絶妙です。

  ♪ 残り火は赤く燃えてたー♪

”あかーく”と強調して、いかにも気負って迫力を出しています。

  ♪ リーフ リーフ 僕の恋は消えてしまったー ♪

”こいーは きえーて”と強調して 最後の訴えのように力が入ります。

十分に歌い切ったという安堵の気持ちも含めて、深々と一礼し、舞台右手の方ヘ走って消えていきます。

紅白出場3回目、最高の舞台で最高の さわやか熱唱でした。


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