2001.10.14
ちゃぶ台

ちゃぶ台を買った。畳の部屋に折り畳みのテーブルが欲しいと思って、そういえば子供の頃にお絵描きをするのに散々世話になったことを思い出し、物置きかどこかにしまってあるかと思って探したのだが、どうやら処分してしまったらしい。
しようがないので新しく買った次第である。蘇る子供の頃の記憶に暫く浸っていた。
子供の頃にはそれをちゃぶ台と呼ぶとは知らず、お膳と呼んでいた。ちゃぶ台と呼ぶことを知ったのはアニメ「巨人の星」である。そう、あの星飛雄馬の父、一徹にひっくり返されるちゃぶ台のことである。あのシーンは同世代なら誰でも覚えているのではないだろうか?
昭和30年代はまだ何処の家にもあったようだが、あの時代、ちゃぶ台をひっくり返すのは夫と父親の特権だったのであろうか?今でこそそんなことをしでかしたらドメスティックバイオレンスなる適切な呼び方で御婦人や子供達から罵られること間違いない。
しかしながらそういう酷使に耐えられるちゃぶ台でないと本格派とは言えないのだろう。買う前にちゃぶ台の裏を覗いて、作りの確かさを確かめてしまった。うん、これなら丈夫そうだ。
しかし、自分のようにひっくり返す勇気のない殿方の為にはやはりなんらかの仕掛けが必要ではないか?
手許のボタンを押すと自動的に派手にひっくり返ってくれる「一徹ボタン」とか転覆回数100万回保証の「一徹銘入りちゃぶ台」とか、きっとウケルに違いない。しまいにはボタンを押すと「ばかやろう!こんな温いお茶なんか飲めるか!!」とか、その場の状況に相応しい罵声を発してくれるボタンも付けてしまおう。
「警告!!このボタンは必ず1人で御使用の際にのみ押して下さい。」という注意書きを付けて。

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