2001.10.28
中能島欣一とJohn McLaughlin

山田流箏曲家の中能島欣一のCD*を聴いた。初めて耳にしたのは今から25年くらい前になる。たまたまNHK FMの邦楽の時間に 耳にした「平調合奏曲」という曲だったが、どこか苦味の効いた節回しが印象的だった。その後、それっきりだったが、4年ほど前から相方が彼の「三つの断章」、「盤渉調」という曲を練習するので門前の小僧状態になってしまい、彼のことが気になりだした次第である。
彼は1904年生まれで既に他界しているのだが、もし彼が私と同世代だったら間違いなくギタリストで大成していただろう。それもロック・ジャズギタリストとして。箏でも三味線でも聴いている側は機関銃のごときに「発射」される音の暴風雨に巻き込まれて、ハラハラドキドキ、体中にアドレナリンが廻る。
自分をどこまで追い込んで行けるかというようなどこかストイックな面を感じてしまう。晩年、「新ざらし」という自編曲の再録音では多重録音で箏、三味線両パートを自分で弾いてしまったところもそうだ。そんなところにギタリストのスピリッツを感じてしまったわけである。
思わず彼のスピリッツを共有するようなギタリストを探してしまった。
いた、いた、John McLaughlin=ジョン・マクラフリンはロック・ジャズ界の中能島欣一かもしれない。

*Victor VICG-5083 箏曲 中能島欣一の至芸

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