2001.11.24
曲がる音 捩じれる音

今日はFMラジオから流れて来るブルースを聴き流していた。マウスハープやスライドギターの渋いプレイにちょっと耳が立ち止まった。
音程をぐいっと半音ほど下げる様を称して「フェイクする」とか「ベンドダウンする」という演奏スラングがあるが、今日はしみじみ「音が曲がる」のを感じたのである。
ぐいっと曲げるだけでどうしてこんなにブルージーな味わいが出て来るのだろうか?
下げる=滅入る=落ち込む=ブルーという連想だろうか?いや、そんな連想をしている暇はない。脳は無意識にぐいっと下がった状況にブルーを感じてしまうのだと思う。
話は飛ぶが、時代劇の殺陣のシーンの効果音で良く聞こえる尺八のむら息という「しゅびょうえ〜〜〜〜」という奏法は音が捩じれるがごときだ。つられて脳が180度も捩じれてしまう感覚を覚える。
音が曲がる、捩じれるというのは単純にピッチの変化だけの現象ではない、音色も変化しなくてはいけない。この変化の具合が絶妙でなくてはいけない。
やはり曲がる音、捩じれる音は料理のスパイスに匹敵するほどの、人類(脳)の生み出した得難い発明のひとつではないだろうか?

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