2002.4.27
PM8時45分のテーマ

今日はジプシースイングのローゼンベルグトリオのCD*1を聴いていた。超絶技巧のリードギターに粋なコードのリズムギターが絡み付く彼等のサウンドは聴いていてとても気持ちが良い。
ギターの音色ならスチール弦の方が好きなのだが、ガット弦もなかなか良い。ガット弦と言っても3〜6弦の音が好きなのだが、これもブロンズの巻き弦だからやはり金属弦には目が無い。
ところで、彼等を聴いていていつも思うことがある。ジプシー音楽やラテン系のバラードによくあるどこかけだるい、後味のすっきりしないマイナー調の曲があるのだが、いつも連想してしまうのは青春時代に見た刑事ドラマである。刑事ドラマを見終わった後には大抵このけだるさ、やりきれなさが襲って来る。ドラマも大詰め、犯人が格闘の末、無事捕まる時分になると流れて来るのはガットギターかトランペットだったように記憶しているのだが。しまいにはそういう調子の音楽を聴いただけで、けだるさ、やりきれなさが襲って来るようになってしまった。
我が家ではこの手の音楽を称して「PM8時45分のテーマ」と呼んでいる。
スパイやバイオレンスものの映画にお決まりなのは都会の夜のシーンである。帽子を深く被りコートの襟を立てて主人公は足早に「約束」の場所に向かう。そこは大抵ビルの非常階段だったりして、ミュートを効かせたトランペットがバックに流れたりする。
我が家ではこうした映画にお似合いのAOR系や、ジャジーな音楽を称して「ビルの非常階段系音楽」と呼んでいる。

*1:"The Collection"

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