98.5.23
よその国の民族楽器

 時々、自分の曲にその人の生まれた国以外の民族楽器を取り入れた作品を聴くことがある。最近、感心したのはJohn McEuen(Nitty,Gritty,Dirt Bandのオリジナルメンバー)が1996年にリリースしたAcoustic Traveller*1というアルバムで、その中に日本の箏を使った曲がある。彼が日本に来日したときにお土産にもらったものだそうだが、その使いこなしのうまさに感心してしまった。箏には「押し手」というギターで言うところのベンド奏法があるのだが、彼の押し手は箏を専門に演奏する人の押し手とは音色が全く違うのである。とにかく今までに聴いたことがなかった音色が箏から出てきたのでびっくりしたのである。彼が箏を弾くに当たって基本から練習して、日本の歴史、文化まで学んだかどうかは定かではないが、全く既成のルールや概念に捕われないで弾いたからこそ出てきた音色ではないだろうか? 彼は自分の舌で日本料理に舌鼓を打ったのである。いい音色だ。
旨いものを味わうのに知識はいらない。

*1:"Acoustic Traveller"

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