Under the blue sky


機動戦士ガンダムよもやま話

まずは基礎知識からいってみよう。まあ、こんなとこ読んでる人間には今更説明の必要もないとは思うんだけど。

・宇宙世紀に関係のあるガンダム作品は?

「機動戦士ガンダム」はUC0079。
一年戦争の話。今更説明の必要はないかも。玩具メーカーと制作者サイドの葛藤から生まれたリアルロボットをメインにした戦争アニメ。
数多くの名言、名シーンを残し、その後のロボットアニメに絶大な影響力を残した。でもTVシリーズは実は打ち切りだった。

「機動戦士ガンダム第08MS小隊」はUC0079。
一年戦争の最中、地球のアジア戦線を扱ったもの。
陸戦用先行量産型ガンダムがわらわら出るのは結構衝撃的。全作品中、最も泥臭い戦争ものかも。
途中で監督が死去したための交代劇によって紆余曲折があった。
第一話の最後にガルマの国葬で演説するギレン閣下が拝めるのがたまらん。

「機動戦士ガンダム外伝」はUC0079。
バンダイのサターン版ゲームソフト。一年戦争の最中、一般兵にニュータイプと同等の力を与えるEXAMシステムを搭載した蒼いGMを巡っての話。

「機動戦士ガンダム SIDE STORY0079」はUC0079。
ドリームキャスト版ゲームソフト。1年戦争末期のオーストラリア大陸、ホワイト・ディンゴ隊の話。何せキャラデザが小林源文なので「オレのケツをなめろ」状態である。ストーリーは秀逸。

「機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の戦争〜」はUC0080。
ルビコン計画、つまり連邦軍のNT用(アムロ用)モビルスーツ、アレックスをジオンの特殊部隊サイクロプスが奪取しようとする話。
ズゴックE、ケンプファー、GMなどのデザインが秀逸。

「機動戦士ガンダム0083」は文字通りUC0083。
ジオン公国の残党であるデラーズ・フリートが地球にもう一度コロニーを落とすというもの。
この事件を契機にスペースノイドの粛清を目的としたティターンズが発足する。
ちょこっとだけジャミトフとバスク、ハマーンが出る。

「機動戦士Zガンダム」はUC0087。
グリプス戦役と呼ばれる連邦内の組織ティターンズとエゥーゴの内部抗争を発端に木星船団ジュピトリスとアクシズ・ネオ・ジオンが乱入したためにストーリーが難解になってしまった。

「ガンダム・センチネル」はUC0087。
グリプス戦役直後の連邦内においてMS戦術教導団が反乱を起こした話。
大日本絵画の主導で書籍のみの展開が行われたためか、いまいちオフィシャル扱いされない。
男臭い軍隊モノを主軸にSガンダムの人工頭脳ALICEを巡る観念論的な話。

「機動戦士ZZガンダム」はUC0088。
グリプス戦役終結後、弱体化した連邦のスキを突く形で、アクシズのハマーン・カーン率いるネオ・ジオン軍が本格的に地球連邦政府と戦闘に入ることになる。
Zガンダムからの路線変更からか、うってかわってギャグ満載の明るいストーリー。終盤の軌道修正は成功していたとは言いがたい。遂にガンダムも合体変形、おまけにハイ・メガ粒子砲を装備。

「機動戦士ガンダム〜逆襲のシャア〜」はUC0093。
地球連邦の外郭新興部隊(実体は対MSテロ集団)ロンド・ベル隊がシャア・アズナブルのネオ・ジオン軍が起したアクシズ落としを阻止しようと戦う話。
アムロは28歳、シャアに至っては33歳、ブライトは二児の父という、なんとも恐ろしい設定。最後の決着をああいう形で(場の雰囲気で押し切った)展開には賛否が分かれると思う。

「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」はUC0105。
反地球連邦組織マフティーの反乱を扱った話。マフティー・ナビーユ・エリンとはブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアであった。乗機Ξ(クスシー、クスィ)ガンダムはνガンダムの後継としてアナハイムが建造した化け物MSである。
実はこの翌年、クロスボーン・バンガードが設立される。

「機動戦士ガンダムF91」はUC0123。
暗礁宙域に建造されたフロンティアサイドに貴族主義を掲げたクロスボーン・バンガードを名乗る軍隊が独立戦争を仕掛ける話。劇場用の話として、やや構成力に欠けるところもある。
主人公メカであるガンダムF91は、最初デザインが悪いな、と思うが、カタログスペック上は恐ろしい限りの高性能機。

「機動戦士Vガンダム」はUC0153。
サイド2の新興国家ザンスカール帝国と反抗組織リガ・ミリティアとの戦いを描いた話。求心力を高めるためにVガンダムはリガ・ミリティア(実情はただのゲリラ)が製造。
そしてガンダムの上半身、下半身を特攻兵器として使うという、地球圏一ゼイタクな戦い方でも有名。

あと関係があるといえば、ジオンのエースパイロット2人に付帯する話。
「ソロモンの白狼」シン・マツナガ、「赤い稲妻」ジョニー・ライデンはバンダイのプラモデル、MSV(モビルスーツ・ヴァリエーション)に登場。
シン・マツナガ専用ザク高機動型、ジョニー・ライデン専用ザク高機動型、ジョニー・ライデン専用ゲルググ高機動型などがプラモデルで販売された。
なんと10年以上顔が描かれなかった、という不幸なエースパイロット。黒い三連星専用ザク高機動型というメジャーな名前はあったのに。

ジョニー・ライデンはキシリア配下。ルウム戦役で戦艦3隻を撃沈して名を上げる。後にキシリアの精鋭部隊「キマイラ」に所属。ア・バオア・クー戦で行方不明となる。キシリアに対しては非常に忠実で、彼女に個人的敬愛を抱いていたとする説もあり。

シン・マツナガはサイド3の名家、マツナガ家の嫡男。(他に有名なのはミライのヤシマ家。日系は金持ちか?)ドズルの個人的な引きで親衛隊に所属。ソロモン戦の時は別件で不在。珍しく終戦まで生き残った。ドズルと親友だったとする文献もある。

そうそう、MSVといえば、ザクタンク、ザクキャノン、GMスナイパー・カスタムなどもここから誕生。あと局地戦ドムとグフ飛行試験型とゲルググ・キャノンと……ああ、きりがない。

・キャラクター

当然のごとく、ガンダムを彩るのはその魅力的なキャラクター達。
しかし、何を考えているのか分からん主人公(ヒ○ロ・ユイ)や、イッちゃった女性キャラ(カ○ジナ・ルース)を無視し、ここでは生粋の「軍人」をピックアップ。

ブライト・ノア
「機動戦士ガンダム」に登場した若き連邦の士官候補生。サイド7でのRXシリーズ開発を察知したシャアのMS隊の追撃を振り切ってルナ2に逃げ込み、戦死したパオロ・カシアスの後を継いでホワイトベースの艦長となる。その後「第13独立戦隊」として多くの陽動作戦を指揮。「何やってんの!」と課員を叱咤するのが口グセになった?
戦後、ミライ・ヤシマと結婚。

次に「機動戦士Zガンダム」で登場した時には、シャトル「テンプテーション」の艇長になっていた。ホワイトベース組はアムロを見るまでもなく、ティターンズの下で不遇を囲ったというわけで。ヘンケンの後を継いでアーガマの艦長となり、ジャブロー降下作戦、メイルシュトローム作戦に従軍。一年戦争で培った指揮能力を発揮した。

「機動戦士ZZガンダム」では損傷したアーガマの艦長として登場。アナハイム社の所有するドッグ艦、ラビアンローズの艦長代理エマリー・オンスにモーションをかけられ続ける。女にモテるってことは、人間的にも丸くなっていたか。この頃、ハサウェイ・ノア、チューミン・ノアの2児がいることが発覚。最後はジュドーにぶん殴られるという不幸な役回りではあったが。

「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」ではロンド・ベル隊の指揮官として登場。この頃には階級も中佐。シャアのアクシズ落としを阻止するため、MS隊の運用、核ミサイルの活用法などで素晴らしい才覚を発揮。ダミーミサイル12発の中に1発だけ核ミサイルを紛れ込ませておくという手でシャアに「やるな、ブライト!」と言わしめた。最後は捨て身でアクシズの爆破に成功。結果的にアムロを失ったが、シャアの計画は失敗している。

「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」では遂に大佐。地球連邦に反乱を起した息子、ハサウェイ・ノアの銃殺刑をそうとは気づかず執行してしまう。優秀な軍人は家庭的には恵まれないというジンクスを地でいってしまった。

と、まあ各シリーズを通して登場する彼は、ある意味シャアと並んで宇宙世紀の主人公なのかもしれない。

アナベル・ガトー
アナベル・ガトー。ジオン軍MSパイロット、最終階級は少佐。「機動戦士ガンダム0083」に登場。詳しい経歴は不明だが、ソロモン要塞戦で登場。ソロモン要塞戦では、追撃してくる連邦軍相手に専用の青いゲルググを駆って獅子奮迅の活躍を見せ、「ソロモンの悪夢」の異名を取る。
ア・バオア・クー陥落後は、忠誠を誓ったエギーユ・デラーズと共にジオン公国の再建を目指す。デラーズらが「茨の園」を構築中は月面に潜伏。その期間は3年近くにも及んだ。

宇宙世紀0083年。オーストラリア、トリントン基地に搬入されたガンダム開発計画によって製造されたMS、GP02を強奪。追撃を振り切ってアフリカからデラーズ・フリートへと合流。
やがて実行された「星の屑作戦」では、4年ぶりに挙行されたコンペイトウ(ソロモン)での観艦式に陽動部隊の要として参戦。奪取したガンダムGP02の核バズーカによって連邦艦隊を攻撃。発射されたMk-82弾頭は連邦艦隊の2/3を消滅させた。
GP02はコウ・ウラキとの戦いによって失われたが、アクシズ製MAのノイエ・ジールを受領して、本当の目的であるコロニー落し戦ではコウのGP03と死闘を繰り広げた。この戦いは、終始ガトーが押していたが、バスクの放ったソーラーシステムによって中断され、ガトーは決着を着けないまま去っていく。
その後コロニー、アイランド・イーズの落着を見届けた後、連邦軍の降伏勧告を無視して連邦艦隊に特攻。サラミス級巡洋艦を道連れに壮絶な戦死を遂げた。
月潜伏時代にアナハイムのシステムエンジニア、ニナ・パープルトンと恋人の関係であったといわれる。

考え方が古臭く、激しやすくて直情的でだまされやすく、女を見る目も運にも恵まれなかったが、モビルスーツパイロットとしての腕は超一流で、核攻撃用のMS、GP02で高機動型MSであるGP01と戦ってみたり、ノイエ・ジールで暴れたりとその技量は「もはや語るまい」。
他には「鎧袖一触」「捲土重来」「轡を並べる」などなど死語に関して豊富なボキャブラリーを誇る”たまらん”軍人である。ある意味、シャアなどよりよほど熱い。大塚明夫の演技にホレたのもこいつからかもしれん。

ノリス・パッカード
「機動戦士ガンダム第08MS小隊」に登場する。主人公シロー・アマダのライバル的存在。
没落したジオンの名門サハリン家に古くから仕えていたらしく、ギニアス、アイナの兄妹が幼い頃から献身的に尽くしてきたようだ。

最初は陸戦型ザクでシローと戦い、んでもって次はドップでジェット・コアブースターを撃墜。腕はかなり確か。
髪型はちょっとファンキーだが性格はむしろ重厚なほう。んでもって階級は大佐、しかも最後の愛機はグフ(!) ランバ・ラルといい、ノリスといい、かっこいいライバルのオヤジはやはりグフか。
個人的に忠誠を誓っていたサハリン家の令嬢、アイナから「親代わりの存在だった」と言われたことで決心がつき、自ら犠牲になってザンジバルの退路を確保するためグフで出撃。08小隊とガンタンク3機を向こうに回して、いとも簡単に手玉に取ってしまう。
そしてガンタンク2台を撃破、Ez-8を小破させ、最後のガンタンクは命と引き換えに撃破した。
「アイナさま、合流できそうにありません。自分は、死に場所を見つけました。」
実に晴々とした表情で宣言し、彼は戦場に散っていった。

しかし、あれだな。どうも連邦よりもジオンの方が立派というか、優秀な指揮官が多いなぁ。08小隊の中に出てきたユーリ・ケラーネ少将も傲慢な奴かと思ったら、兵士の命を第一に考えるいい将軍だったし。

シュラク隊完全名簿
「機動戦士Vガンダム」に登場する女性で編成されたパイロット部隊「SHRIKES」その隊員名簿。
実は、シュラク隊は6人に後任3人の9人ではなかった!?

ジュンコ・ジェンコ:
初代シュラク隊の隊長、じゃなくてリーダー的存在の人で、隊の者から「姉さん」と呼ばれていた。戦場では何故か死に場所を求めるような戦いをしていたとは上官オリファーの弁。敵首都攻撃において、カイラスギリーに仕掛けられた爆弾を解除に失敗、爆死。合掌。
上官であったオリファーに対して信頼以上の感情があったかは、不明。

ケイト・ブッシュ:
ザンスカール首都、アメリア出身のパイロット。初期シュラク隊6人の中では唯一、ルージュを引いていない女性。マスドライバーを守ろうとして、クワン・リーの乗るメッメドーザのビームサーベルで焼死。合掌。

ヘレン・ジャクソン:
ジュンコ曰く、もっともシュラク隊の名に相応しいパイロット。
ウッソとオデロのケンカでオデロに賭けて、ジュンコからピアスをせしめている。しかし、登場した次の回で、早くもルペ・シノ隊のトムリアットと相討ち。圧死する。合掌。

マヘリア・メリル:
家族を戦争で失ったのを機会に、シュラク隊に参加したパイロット。
隊一の巨乳を誇る(得意技は乳枕)先の戦いで戦死したヘレンの敵を討とうと奮戦するも、撃破したトムリアットの逆襲にあい、焼死。合掌。

ペギー・リー:
無口なブロンド美人パイロット。シュラク隊内でも一二を争う操作技量の持ち主。どこで死期を悟ったのか、登場終了話近くなったとたんに饒舌になった。
危機に陥ったウッソを救うため、負傷した体でクロノクル・アシャー乗機コンティオに戦いを挑むが、敵わず戦死。合掌。

コニー・フランシス:
隊内では地味な感じだった黒髪のパイロット。そばかすがチャームポイント。
初代シュラク隊では最後まで生き残り、ウッソを庇って戦ってきた。後半では、ユカとの掛け合いがあるなどいぶし銀の活躍を見せるが、最終決戦時において、カテジナの駆るゴドラタンにめった撃ちされ戦死。合掌。シュラク隊最後の戦死者となった。合掌。

ユカ・マイラス:
リガ・ミリティアと共闘していたバクレ隊に所属していたパイロットで連邦軍少尉。
カイラスギリー艦隊との戦闘で、壊滅したバクレ隊からシュラク隊へ編入された。(彼女だけノーマルスーツのヘルメットが地球連邦のデザインなのはそのため。)
仲間の戦死が相次ぐ中、自分に「死神」の名のジンクスが付くのを恐れていたが、結果としてそれは現実となってしまった。エンジェル・ハイロゥへの突破口を開くため特攻、カテジナのゴドラタンに背中から狙撃され、戦死する。合掌。

フランチェスカ・オハラ:
新たに編入された増援パイロットの一人、通称フラニー。綺麗なお姉さんその1。
登場は、31話の宇宙戦からなのだが、なぜか再び宇宙に上がった際「宇宙の戦いは初めて」とコメントする。
ちなみに編入された部隊は地上戦で第一シュラク隊へ。それ以前は、不明。
エンジェル・ハイロゥ戦において、カテジナの無差別攻撃を投降と勘違い、接近した際、ゴドラタンのキャノンで横殴りされ爆死。合掌。

ミリエラ・カタン:
新たに編入された増援パイロットの一人。綺麗なお姉さんその2。
フランチェスカ同様、技量においてはやや不安なところがあった。(影も薄かった)
登場は地上編から(ウッソの母の死のときすでにいた)第二宇宙戦編において、第一シュラク隊所属を確認。
撃墜されたフラニー機を見て、カテジナに挑みかかるも、ゴドラタンのビームカッターにより秒殺される。合掌。

メリクリン:
34話において、マーベットの台詞にのみ名前が出てくるパイロット。第二シュラク隊所属。
モトラッド艦隊の射線に飛び込み特攻まがいの戦死をした。性別は不明。

オデロ・ヘンリーク:
新たに、オリファーによって訓練、編入された新米パイロット。初陣は無所属による後方支援を月にて行った。その後、宇宙のモトラッド艦隊追撃戦で、第一シュラク隊に配属、以後、地球でホワイトアーク部隊へ編入された。
最終決戦において、ウッソの為に身を張って戦うが、カテジナのゴドラタンにより撃墜された。死に際、ニュータイプとして覚醒し、自分を嫌っていると思っていた両親との和解を見るものの、炎に巻かれ苦悶の表情で戦死した。合掌。

トマーシュ・マサリク:
オデロ同様、月の後方支援から、最終決戦までを共にしたガンブラスターの新人パイロット。
所属部隊、作戦任務はほぼ、オデロと同じ経歴で、第一シュラク隊からホワイトアーク部隊へと移った。
最終決戦後のエピソードが描かれていないが、どうやら弟達と一緒にカサレリアで暮らしているらしい。

オリファー・イノエ:
イノエは井上の変形らしく日系の血を引くシュラク隊隊長。
パイロットとしてはまだまだ未熟なウッソやオデロなどにとっては、操縦技量と精神を鍛えるよき兄のような存在だった。
月から地球へ向かうモトラッド艦隊を阻止しようとして、コア・ファイターV2で特攻。マーベットのお腹に自分の子を残したまま戦死した。合掌。
後任の隊長はマーベットが引き継いだ。

マーベット・フィンガーハット:
Vガンダムの正規パイロットだったが、その地位をウッソに譲り、ゾロアットなんかで戦っていた。強く優しい女性で、ウッソたちを精神的に支えつづけ、”母性”の象徴として描かれている。(実は一番好きなタイプなのだ。)
所属がはっきりせず、シュラク隊々長のオリファーの副官をしている時や、シュラク隊に編入されて出撃する例もあった。オリファー亡き後は、第一シュラク隊の隊長になる。
その後、ホワイトアーク隊に移った際の後任は、ユカ・マイラスが取っていた模様。

ウッソ・エヴィン:
ご存知、主人公。シュラク隊の全員から弟のように好意を持たれていたという恐るべき少年。実は宇宙へ戦闘が移った時から、シュラク隊に編入扱いとなっており、その後、第一シュラク隊、ホワイトアーク部隊へと移った。(初期地上編ではカミオン部隊所属マークを機体にマーキングしていた)

初代シュラク隊
隊長オリファー・イノエ(Vガンダム・ヘキサ)
ジュンコ・ジェンコ、ヘレン・ジャクソン、マヘリア・メリル、コニー・フランシス、ペギー・リー、ケイト・ブッシュ。(ガンイージ)
宇宙に戦線が移行してからは、ウッソ・エヴィン、(Vガンダム)マーベット・フィンガーハット(ゾロアット)も参戦。

前期第一シュラク隊
第32話において新たに編成。
隊長マーベット・フィンガーハット(Vガンダム/Vガンダム・ヘキサ)
ユカ・マイラス、コニー・フランシス(Vガンダム)、ウッソ・エヴィン(V2ガンダム)、オデロ・ヘンリーク、トマーシュ・マサリク(ガンブラスター)の6機編成。

後期第一シュラク隊
隊長マーベットかユカかコニーのいずれか。
フランチェスカ・オハラ、ミリエラ・カタン。(全員Vガンダム)

第二シュラク隊
第32話において名前は出ないものの先行する部隊として台詞に上る。
部隊名が分かるのは第34話。メリクリンのみ名前が判明。

第32話でリーンホースJr.から出撃したMSのテールノズルの数は6×3で18機を確認。第一シュラク隊の編成数から、第三シュラク隊まで構成されていたと推測される。

以上、実はシュラク隊に所属していたのは、名前の分かっている人で計14名にも上るというか、リガ・ミリティアのパイロットは全員入っている。拍子抜けだ。

・艦船に関して

ガンダム・ワールドでは避けて通れないのはMSと艦船。ここではそんなお話を。

アルビオン
ペガサス級強襲揚陸艦の7番艦。1番艦はホワイトベースとして、残りの6艦が調べきれない。どこにも資料がないのだ。名前が挙がっているのは、ペガサスJr.、グレイファントム(トロイホース)、サラブレッドなどだが、どれが何番艦なのかは不明。ただ、「V作戦」によって開発されたペガサス級は一年戦争の期間中に3隻しか就航しなかったという資料アリ。ということは、アルビオンが就航するUC0083までには4隻が就航することになる。
さてエイパー・シナプス大佐を艦長とするアルビオンだが、乗っているのは全員正規の軍人。MS整備班もいる。CDドラマによると砲術長などもきちんとおり、民間人とMS3機、コアブースター(Gアーマー)2機で運用していたホワイトベースとはえらい違いである。

艦自体は、ミノフスキークラフトによる大気圏内航行、最新鋭のレーザー推進システムなどを塔載。最大の特徴はそのMS発進カタパルトでギミックがきちんとしている。このカタパルトシステムがアーガマ、ラー・カイラムなど連邦のMS搭載艦の設計に大きな影響を与えたのだろう。(アニメの製作のほうが後だったので、アルビオンがアーガマとか参考にした、っていうのはナシ)
星の屑作戦の最後、被弾をしてボロボロになったあとの消息は不明。多分ガンダムと同じく登録抹消だろう。普通、軍艦の耐用年数なんて結構長いはずなのに、ガンダムの世界ではどれもこれも短い。
考えてみれば、この艦にはガンダムフルバーニアン、ジムカスタム3機、ジムキャノンU2機の合計6機、MS2小隊が乗っていたことになるのだが、これは結構すごい戦力だ。ジムカスタムは曲がりなりにもエースパイロット専用機なのだ。近接戦闘機2機に対して中距離支援機1機という地球連邦のMS小隊の構成を守っているあたりも面白い。

「機動戦士ガンダム0083」は、破損したガンダムの回収シーンや、コロンブス級の補給シーンなどとにかくマニアックなシーンが多いので軍事マニアは必見。連邦宇宙軍の組織は海軍を参考に編成された、っていうのも映像で見ることができる。

グワジン
ジオン軍の大型戦艦。一年戦争の両軍を通じて最も優美な船体デザインを誇り、大きさ、火力ともに他の戦闘艦艇を凌駕している。MSを20数機搭載でき、その巨大な8基のプロペラント・タンクにより、木星まで無補給で航行が可能。
一年戦争の時には合計8隻が稼動していたようだが、こいつもペガサス級と同じで後付けの設定が多く、今一つはっきりしない。一応調べてはみたが、調べきれないのもまた事実。

番号艦名詳細出典
1番艦グレート・デギンデギン公王の艦。ソーラーレイで消滅。「機動戦士ガンダム」
2番艦グワメル大気圏突入実験中で分解、消滅。「GUNDAM CENTURY」
?番艦グワジンネームシップ。当然のことながらギレンの艦。「機動戦士ガンダム」
?番艦ガンドワ詳細は不明。「機動戦士ガンダム 小説版」
5番艦アサルムシャアはこれでアクシズに行った。「機動戦士Zガンダム」?
6番艦グワデン言わずと知れたデラーズ・フリートの旗艦。「機動戦士ガンダム0083」
?番艦グワラン「星一号作戦」にて轟沈。ドズルの艦か?「機動戦士ガンダム」
?番艦グワリブおそらくキシリアの艦。「GUNDAM CENTURY」
?番艦グワバングレート・デギンの艦という説アリ。「機動戦士ガンダム 小説版」?
?番艦グワダンハマーン・カーンの艦。正確にはグワジン級ではない。「機動戦士Zガンダム」
?番艦グワンバン今一つ登場した箇所が不明。「機動戦士ZZガンダム」
?番艦グワレイアクシズ・ネオジオンの艦。艦長はトワニング。「ガンダム・センチネル」

アウドムラ
「機動戦士Zガンダム」に登場したガルダ級巨大輸送機。艦長はあのハヤト・コバヤシ。グリプス戦役の際にティターンズとエゥーゴの両方に分かれて(奪取合戦の末)しまい、アウドムラはカラバのものになった。

インド神話? の四方を守護する神になぞらえてガルダ、アウドムラ、スードリ、メロゥドの4機が製造された。その巨大な質量ゆえに一度離陸してしまうと後は空中給油を行ないながら、地球をぐるぐると飛びまわるというとんでもない飛行機である。一応、無補給でも地球を2周できる。全幅254m、搭載MSは40機以上。
「機動戦士ZZガンダム」と「ガンダム・センチネル」にも登場した。

・地名その他

世界設定にも「リアル」さが漂っていたことで人気を博したガンダム。ここではそんな話を。

ジャブロー
機動戦士ガンダムの世界ではオデッサと並んで有名な連邦軍の総司令部。南米のジャングルの地下に広がる天然の地下洞窟を改造して作られている。軍事工廠、研究所、宇宙用軍艦の停泊所などがあり、総面積は4万2千平方メートル。また、軍事関係者など45万人が居住する巨大都市でもあった。

その正確な所在は一年戦争終戦まで極秘とされていたが、ジオン公国の強襲を一度ならず受けている。

後のグリプス戦役でティターンズが地上に降下してきたエゥーゴを殲滅する目的で自爆用の核を使い、壊滅的な打撃を受ける。総司令部としての機能を失ったため、地球連邦はUC0092に司令部をチベットのラサに移すことになる。そのことに関して、ロンド・ベル隊司令官のブライト・ノアは、「天に一番近い場所を選んだんだろ」と述懐している。

UC0093にシャアの反乱が発生し、その前哨戦として5thルナが地球に落とされた。落着した小惑星によってラサは壊滅し、またもや地球連邦の総司令部は大打撃を被るのである。

ジオン公国
宇宙世紀0058年、地球より最も離れた位置にあるサイド3において、思想家ジオン・ズム・ダイクンは地球連邦政府よりの独立を宣言、ここにジオン共和国が誕生した。無論、地球連邦政府も黙っているはずもなく、各種の経済制裁等を実行したが、逆にそれがアースノイドとスペースノイドとの軋轢を深いものにする結果となっていった。
宇宙世紀0068年、志半ばでジオン・ズム・ダイクンが病死し、右腕であったデギン・ソド・ザビが第2代首相となった。ダイクンの病死にはデギンの毒殺説が流れたが、真相は定かではない。翌0069年、デギンは自らを公王としてジオン公国を宣言。ここにザビ家による一党独裁が始まるのである。

さて、かつてジオン公国は英語で「Zion Dukedom」と表示されていたが、こいつはマズいんだそうな。なぜなら、シオニズム(Zionism)と綴りが同じだからだそうである。シオニズムは確か、「シオンの丘へ帰れ」を合い言葉に行われたユダヤ人の祖国回帰運動だった。それが結果的にイスラエルの建国につながっていくのだが……中東は恐いからねぇ。滅多なことは言えんよ。
そのあたりの配慮からか、バンダイの資料(無論後付け)によると、ジオン公国は「Zeon Dukedom」になり、やがて「Principality of Zeon」になっている。

アナハイム・エレクトロニクス
月面企業と思われがちだが、実は地球にその本社を持つ、巨大複合企業。家電製品から工業用機械、そして兵器までをも製造する。
表向きの社長はコウエル・J・ガバナンであるが、その実権はメラニー・ヒュー・カーバインが握っているとされている。メラニーは連邦最大のロビイストであり、地球圏の政治・経済の親玉である。
そのあまりの影響力にジオン軍ですら接収を控えたとされる企業は、一年戦争の集結後、ジオンのジオニック社を吸収してMS開発のトップに踊り出る。
また、グリプス戦役の勃発に手を貸したのも、メラニー/アナハイムであるとされ、これは戦後低調する宇宙経済の再度の活性化を狙ったものであるらしい。(そりゃそうだ、戦争は一番儲かる)そのため、エゥーゴに資金、武器を供給してその結成に大きく貢献したが、イデオロギーに賛同していたわけではなく、ティターンズが勝利した場合のことも考え、マラサイなどのMSを供給している。
この弊害は大きく、グリプス戦役勝利後のエゥーゴがアナハイム系月面からの干渉を受けて急速に腐敗し、解体していったことなどは「ZZガンダム」を見れば明白である。

しかし、一連の技術開発によってもたらされた影響は大きく、アナハイム・ガンダムの開発や、それらをベースにした量産機ジェガンの開発などによってその地位は揺るぎのないものとなっていく。しかし、巨大産業ならではの日和見主義は随所に現れ、「第一次ネオ・ジオン抗争」の際にはMSを供給、さらに「シャアの反乱」の際にもギラ・ドーガなどを供給していたのは間違いなくアナハイムであった。

こうして「影の戦争仕掛け人」としての地位を確立したアナハイムは、やがて来るU.C.120年代の小型MSの開発競争にサナリィに敗れるまで、歴史の裏表に出没することになる。

・MSに関して

さあ、いよいよ本命。ミノフスキー粒子の登場によって歴史の表舞台に立った、宇宙世紀戦の花形、モビルスーツに関して。

νガンダムはなぜギリシャ・アルファベットなのか?
月面都市フォン・ブラウンにあるアナハイム・エレクトロニクス社では、UC0083あたりから本格的にガンダムの開発を行いはじめたようだ。
まず試作ガンダムGP-01Fb(ゼフィランサス)、GP-02(サイサリス)、GP-03(デンドロビウム)が登場。実戦に参加するも、3機とも大破、喪失。
そしてティターンズ発足の引き金となる「星の屑作戦」終結後、ジョン・コーウェン中将の失脚と同時に開発計画自体が抹消、すべての技術は葬り去られた。

その後、「アナハイム・ガンダム」と呼ばれる、アナハイム・エレクトロニクス社において開発されたガンダムが登場。
これらの機体は開発コード名にギリシャ・アルファベットを冠していて、これはγガンダム(リックディアスのこと、命名者はあのシャア)がガンダリウムγを使用していたことに由来する。
なおUC0093までに開発されたアナハイム・ガンダムは以下の通り。

開発コード名通称型式番号備考
γ(ガンマ)ガンダムリックディアスMSA-99(RMS-099)量産機。エゥーゴの主戦力。
δ(デルタ)ガンダム百式MSN-00100初めてのウイング・バインダー装備機。
ε(イプシロン)ガンダムエプシィなし核パルス推進器のテストベッド。
ζ(ゼータ)ガンダムゼータ(Zガンダム)MSZ-006大気圏突入能力を有した本格的可変MS。
η(エータ)ガンダムレイピアIMSZ-007型番では量産型Zのはずなんだが……。
θ(シータ)ガンダムダブルゼータ(ZZガンダム)MSZ-010コア・ブロックシステムを採用した化け物MS。
ι(イオタ)ガンダムスペリオル(Sガンダム)MSA-0011恐竜的進化の果て。ジェネレータ4基を搭載する。
κ(カッパ)ガンダムシグマMSA-014変形し、2機に分離するMS。
λ(ラムダ)ガンダムラムダMSA-0012サイコミュ実験機、上半身の設計はネロに活かされている。
μ(ミュー)ガンダムミューRX-90サイコ・フレームのテストベッド。
ν(ニュー)ガンダムニュー(νガンダム)RX-93フィン・ファンネル搭載。最強のアナハイム・ガンダム。

ちなみに、「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」と「機動戦士ガンダムF91」に登場するジェガンもアナハイムの汎用量産機。
GMのコンセプトを受け継いだ結果、性能、コストともに高い水準のMSで、宇宙世紀後半の「やられ役」代表。
(待てよ、ジェガンの前にジェダって機体が設定だけあったな。)

陸戦型ガンダム
「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」ですっかりおなじみの機体。正式には「陸戦用先行量産型ガンダム」という長い名前がある。型番はRX-79(G)。
作中でオデッサ陥落のシーンがあるところから、その少し以前にアジア戦線の密林地帯に配備されたようだ。
主人公の第08 MS小隊は当然ガンダム。アジア方面軍機械化混成大隊(通称、コジマ大隊)は全8小隊のうち01、04、06、08の各小隊がガンダム、他は陸戦用先行量産型ジムRGM-79(G)を使用している。OVA2巻の第04小隊のガンダム起動シーンは結構カッコイイ。
主人公、シロー・アマダ少尉の機体は大破した後、改修されガンダムEz-8(イージーエイト)となった。これは(Extra Zero-8)という意味合いなのだが、第二次大戦で連合軍が使用した「M4シャーマン」という戦車のバリエーション「M4A3E8」通称「イージーエイト」からとったものに違いない。「機動戦士ガンダム0083」の時と同じでスタッフの中にマニアがいたのだろう。

さて、作品が発表された頃は、RXシリーズ開発計画によって発生した余剰パーツを流用して製造された量産型ガンダムという触れ込みだったが、後付け設定のために矛盾が生じたのか、徐々に設定が変わっていった。(追記:後の調査でこの機体は宇宙軍ではなく、陸軍省の主導で製作されたMSらしいということが判明。どうりで……)
RX-78ガンダムは開発部がその求められる要求の全てを満たすように開発した万能型の高性能試作機であるため、その度外視されたコスト(ジム20機分といわれる)のため直系の量産機は存在しない。そのため陸戦型ガンダムは性能よりも生産性を重視した、ジム系列の機体と推測される。よって開発経路としてRX-78シリーズを経由していないタイプだということになる。
言われてみれば型番が連邦MS唯一のRX-79番台であることからも別物と考えて良いようだ。

一年戦争末期にはMS部隊の規格の是正が進み、全てジムに統一されていくという動きがあった。Ez-8の改修も狙って行なったものではなく、陸戦型ガンダムのパーツが製造中止になったため、ジムのパーツを流用した結果だという。CDドラマで言っていたのだが、ガンダムとジムは全く規格が異なり、ヒューズ1本流用できないのだ。
きっと陸戦型ガンダムも局地展開用に開発され、規格外の設計や動作不良などによって短期間で姿を消していった兵器と同じ末路が待っているのだろう。

MSの変遷
宇宙世紀のMSは大きく分けてその特徴が4段階に分類できるようだ。

70年代後半〜MSの登場。ミノフスキー粒子下での機動歩兵。
80年代後半〜変形機構、大型化、火力の増加による恐竜的な進化。やがて進化の袋小路へ。
90年代前半〜再び汎用の機動歩兵としての見直しが行われる。量産機への着目。
120年代〜MSの小型、軽量化。新機軸の技術の導入。
150年代〜ミノフスキードライブ、コントロールによって全領域行動が可能に。

今までの兵器に代わる存在として登場したMSは、ジオン、ネオ・ジオンとの戦いの激化によって次々と要求されるスペックを詰めこんだ結果、兵器としては特異な存在となった。戦後はよりコストパフォーマンスの良い量産機の見直しが行われ、汎用機動歩兵としての地位を取り戻した。
やがて、サナリィの開発した小型、軽量で火力、機動力の両者を満たしたMSが正式採用されるに至って、連邦議会における最大のロビイストであったアナハイムはその地位を失っていく。
地球連邦軍がMSの小型化に踏み切った背景には、艦船への搭載数の増加と、軍事費削減がその最大の目的だったようだ。地球連邦軍の宇宙軍が「シャアの反乱」以降、コロニーで発生する暴動の鎮圧程度にしかその存在意義がなくなった結果、といえばそれまでである。(その油断がクロスボーン・バンガードなどに付け込まれるわけなのだが)
という感じでMSの歴史が流れていくわけだが、様々な映像作品、プラモデル等を見ていると、その変遷のポイントが分かって面白い。

MSの新技術
「機動戦士ガンダム」から数えて幾星霜。宇宙世紀のMSにもいろんな兵器が付加されていった。

変形機構:
「Zガンダム」で登場した様々なMSは、特徴的なものとして変形機構を備えているものが多い。
もともとは、MSの運用における欠点−重力下における行動半径の拡大と、稼動時間の少なさ−を補うために編み出された苦肉の策とでもいうべきものだった。MSの形態が、空力特性とは無縁の存在であったために、あえて飛行機のような形状に変形させたのだ。
しかしこれは、戦術的にはあまり意味もなく、可変機構の製造の複雑さと脆弱さ、メンテナンス等を考えるとデメリットも多かった。
この技術は、U.C.80年代後半の技術の集大成とも言うべきもので、一時期はアナハイム・エレクトロニクスのヴァモーズ、(VMSAWRS、Variable Mobile Suit And Wave-Rider System)はお家芸となるほどだった。しかしU.C.90年代以降は、MSの小型化と汎用機動歩兵としての運用法に着目したため、急速に廃れていった。
再び可変機構を持ったMSが登場するのは、リガ・ミリティアの製造した「Vガンダム」などまで待たねばならないのである。

ファンネル:
ニュータイプと呼ばれる人間の脳波によってコントロールされる誘導兵器、それがファンネルである。
最初に実用化に成功したのは、ジオン公国のエルメスが搭載していた”ビット”であるが、より兵器としての幅を持たせたのはアクシズである。
一機のMSに8〜24基搭載され、操縦者の脳波によって敵の死角を衝く、あるいは遠距離からの攻撃を可能にするのである。
一基あたりのビーム攻撃の威力は低いものの、数を当てることでそれを補っている。一般のパイロットで回避することは不可能に近く、戦術的に革新的な兵器であったが、対応したニュータイプのパイロットの数が少なかったため、U.C.100年代には姿を消した。
ファンネルにはそもそも「じょうご」「煙突」などの意味がある。キュベレイのファンネルなどはまさにその形だ。

インコム:
上記のファンネルがニュータイプに限定された兵器であったのに対し、インコムは一般兵士に似た機能を使用させることを目的とした兵器である。
飛行ビームユニットを有線で制御するもので、誘導関係はMS搭載のコンピュータによって半自動で行われる。
ジオング、ハンマ・ハンマなどのオールレンジ攻撃を可能にする類似の兵器は、ジオン公国、アクシズでも見られたが、インコムの開発元は北米オーガスタにあるNT研究所であると言われる。ただし、インコムはワイヤーが常に張った状態でしか使用されないので、結果的に二次元の動きしかできない。
純然たるインコム・システムを搭載したMSはドーベンウルフ、Sガンダムなどで、極めて少ない。これは、コスト、運用の面から成功した兵器ではないことを物語っているのではないか?

メガ粒子砲:
RX-78-2ガンダム最大の武器は「艦砲に匹敵するビーム兵器」、つまりビームライフルだった。
ジェネレータのエネルギーを機体の稼動に回すことで精一杯だったこの時代において、エネルギーCAPを搭載し、艦船サイズにしか搭載できないメガ粒子加速器を装備したMSは画期的なものだった。
しかし、「グリプス戦役」以降ビーム兵器のインフレ化が進んだ結果、本来はジェネレータの余剰エネルギーを利用したオマケであったに過ぎないものが、メガ・コンデンサーを搭載したZZガンダムを皮切りに、拡散、収束、大型の各種メガ粒子砲がMSに搭載されていく。
「第一次ネオ・ジオン抗争」の際にはそれが頂点に達し、機動兵器としては末端肥大化してしまった感があった。
戦艦を凌駕する火力をMSに搭載することは、必然的にMSの大型化を招き、運用の面ではデメリットが多かった。その結果、戦後は大型のMAなどにのみ装備されていくことになる。

ビームシールド:
U.C.100年代に海軍戦略研究所、通称サナリィ(S・N・R・I=Strategic Naval Research Instruments)において行われたフォーミュラ・シリーズと呼ばれる次世代MSの試作過程で登場。最初の搭載はガンダムF90からと思われる。
(余談だがアナハイムはこの頃、このテの技術開発が上手くいかず、サナリィにスパイを放って技術をパクったらしい)
ビームライフルなどと同じメガ粒子をIフィールドによって偏向させ、シールドとして使用するもので、ビーム兵器はもちろん、実体弾やビームサーベルも防御可能。通常の武器に加えて、さらにビーム兵器を稼動させることになるため、ジェネレータの高出力化が実現できてはじめて実用レベルに達した兵器である。
携行兵器としてシールドを持つ必要がなく、使いようによっては兵器ともなる(ザンスカール帝国のゾロアットはビームシールドがサーベルと兼用だった)ため、U.C.150年代には一般量産機全てと艦船が装備するようになる。

ヴェスバー:
上のビームシールドと同じ経緯で開発された新機軸のビーム兵器。高速で貫通力の高いビームか、低速で破壊力の大きいビームかを任意に撃ち分けることが可能な兵器。
本体のジェネレータに直結されているため、機体の最大出力がビーム出力となる。極めて大型の熱量兵器のため、ヴェスバー搭載のMSは機体の各所に放熱フィンなどが設けられているのが特徴である。
U.C.120年代に登場したこの兵器はその実用性が認められ、U.C.150年代にも使用されるのである。
ちなみに、ヴェスバー(V.S.B.R)とは"Variable Speed Beam Rifle"の略で、可変速ビームライフルの略称である。

ショットランサー:
クロスボーン・バンガードが使用する基幹MSに装備されている槍。
U.C.120年代に登場してから、U.C.150年代には連邦軍の量産MSジャベリンに標準装備された。
早い話が金属製の尖ったものを高速で飛ばす武器なのだが、発射原理はレール・ガンと同じ電磁誘導による加速を使っているため、速度があり、チタニウム装甲を易々と貫通するほどである。
これは、そのイデオロギー上、コロニー内の戦闘で決着を着けることに終始するクロスボーンが、MSの核融合炉を誘爆させずに倒すことを突き詰めていった結果らしい。まさか連邦軍もMSを槍で突き刺してくるとは思わなかっただろう。
そのままで格闘用の武器としても使える他、槍の部分を発射した後、デッドウェイトとなるトリガーの部分にはマシンガンが組み込まれていて、意外と兵器としての完成度は高い。

アポジモーター:
本来は人工衛星を36000kmの静止衛星軌道に投入するために使用する固体ロケットのこと。
モーターとは固体燃料を使用するロケット推進機関を指し、アポジとは遠地点−楕円軌道の最も離れたポイントのことを指す。つまり軌道上でのみ使用される言葉である。それがなぜかMSの姿勢制御ブースターの名称になってしまったかは謎である。
余談はさておき、小型化と高速化によって、最大の特徴である能動的質量運動(AMBAC=Active Mass Barance Auto Control、作用反作用運動を応用したMSの機動運動。ジオニック社が実用化した。早い話が、手足を動かすことで運動方向に変化を与えること)ですら追随できなくなったMSの運動性能を補うためにアポジモーター、スラスターなどは増加した。過度期にはバインダーと呼ばれるスタビレーターとスラスターを一体化したユニットを背部に装備することで補っていたが、後にシェルフ・ノズルやフィン・ノズルに取って代わられた。なお、この技術を実用にこぎつけたのはクロスボーンの前身であるブッホ・コンツェルンであった。

余談:MSの総重量に関して
モビルスーツ。その総重量はRX78-2ガンダムが60t。ドムにいたっては81.6tもある。それなのに、ガンダムシリーズも後半に進めばすすむほど、重量が軽くなっていくのである。
「新機動戦記ガンダムW」のガンダムWが8.2t。「機動新世紀ガンダムX」に登場したガンダムDXは、あれだけの重装備ながら8.6tしかない。
どうも軽量化は「機動戦士ガンダムF91」かららしいのだが、この不思議は構造材の違いか? それとも重量をちょろまかせる技術を開発したのか? ということになるのだが……少し考察してみよう。

まず、RX78-2ガンダムの装甲材は「ルナチタニウム合金」、以降のシリーズから「ガンダリウム合金」、「新機動戦記ガンダムW」では「ガンダニュウム合金」になっている。ものの本によると「ガンダニュウム合金」は1立方センチメートルあたりの重量が、同体積のパルプより軽いというのである。すると新しいガンダムの装甲材はまるでFRPだ。

その昔、「重戦機エルガイム」のヘビーメタルはFRPでできていたが、MSもそういう風になってしまったのか……軽いひょろひょろのメインフレームに、紙のような重量の装甲を固定したロボット。それがビームの直撃でもめったに破壊されないっていうんだからすごい。

これじゃまるでスーパー・ロボットだ。まあ、中にはそうとしか思えんMSもあるが……いくらなんでもちと軽すぎはせんか?

MSの鬼子たち
連綿と続くMS開発の途中には開発コンセプトが誤っていたり、開発しても使いものにならなかった存在というものが確かにある。ここではそんな、ある意味嫌われ者(?)の連中を紹介。

GMキャノン(RGC-80):
GMの本体に240mmキャノンを追加、支援機としての能力を持たせたもの。
連邦は一年戦争時に、攻撃型MS2機に支援型(早い話がボール)1機という組み合わせて1個小隊を編成し、これらによる集団戦法というドクトリンを確立した。
その影響かどうかは不明だが、開発されたのがGMキャノンで、ごく少数が製造されたらしい。
シールドとビームサーベルを除外したために低下した防御力を補うため、本体に装甲を追加しており、総重量がノーマルのGMより10tほど増えている。主武装のビームライフルはGMII(RGM-179)と同じもの。ちなみにガンキャノン重装型(RX-77-3)も同じライフルを使っている。
それはともかく、大量に生産されたGMのパーツの60%を互換しているとはいえ、どうにもバランスの悪い機体だったらしく、ベテランパイロットからも嫌がられたそうな。
連邦の量産型に惜しみの無い愛を注いでいる人でも時々こいつの存在を忘れて(目を背けて)いることがある。

ガッシャ(MS-13):
ジオンの「ペズン計画」に沿って開発されたMS。
連装ミサイルを固定武装に、手にはなんとハンマーガン(!)を持つ。このハンマーガン、ガンダムのガンダムハンマーのような鉄球を打ち出すもので、実用性が極めてアヤシイ代物である。
ガンダムのビームライフルに衝撃を受けたジオン軍はゲルググに至ってようやく実用化にこぎつけたが、この機体はガンダムハンマーにショックを受けたジオンの技術者が開発した……なんてことはないだろうな、多分。

ガンダム・ピクシー(RX-78XX):
スーパーファミコンのゲームソフト、「機動戦士ガンダムCROSS DIMENSION 0079」の外伝パートに登場したガンダム。
白兵戦を主眼に試作されたもので、武器はダブルビームダガー(!)。つまりは両腰から2本のビームナイフを取り出して戦う機体。
ゲルググにビームライフルを装備させようと、ジオンの技術者たちが血道を上げている中で、何を考えてこんなものを開発したのか、いやはや、である。
開発経路からいくと陸戦型ガンダム(RX-79[G])を経由するはずなのだが、なぜかナンバーは78番台。
地上における機動力を得るために、各所を軽量化。その上、ビームダガーの他に軽量のマシンガンしか武器が無く、よってどんなゲームに登場しようとも評価が低かった。
ある意味この手の変り種は「ブルーディスティニー」で収斂したような気がする。

お気に入りのMS
最後にお気に入りのモビルスーツについて独断と偏見でピックアップ。

νガンダム(RX-93):
登場は「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」。搭乗者はアムロ=レイ。
アナハイム・ガンダムの11番目の機体。「ZZガンダム」以降、巨大化とメガ粒子砲、サイコミュに特化していたモビルスーツが久々に戦術機動歩兵としての意味合いを持って登場したという、個人的には非常に嬉しいものであった。
マテリアルも無理がなく、デザイン的にも格好良いと思う。フィン・ファンネルを装備した姿も、見慣れれば「あれは良いものだ」。企画段階での名称が「Hi-Sガンダム」であった、というのは秘密のお話。
一年戦争から13年もたっているとMSの技術も進歩しているのか、メインジェネレーターの出力もRX-78-2ガンダムに比べて2倍強もある。それにも増して、シールドの裏にビームキャノンとミサイルを装備しているあたりが集団戦用に兵装を充実させた結果という感じがする。ビームサーベルも、背部のものは日本刀のようなビーム、左腕の予備はノーマルの直線、となっていてマニアック。実は歴代主人公ガンダムの中で一番大型(頭頂高は22m)なのだ。
圧倒的な出力(でもサザビーの方が上)とサイコフレーム、6枚のフィン・ファンネルを装備し、縦横の活躍を見せたが、まさかあんな形で終わるとはなぁ……。

百式(MSN-100):
登場は「機動戦士Zガンダム」。搭乗者はクワトロ=バジーナ。つまりはシャア。
最初にリック・ディアスから乗り換えたとき、その全身金色を見て「なんちゅう機体じゃ」と思ったが、デザインが長野護と聞いてなぜか納得。もともとはアナハイムで可変機構を持ったMSとして設計されていたが、構造上の欠陥から急遽非変形型に改造されたという過去を持つ。
攻撃型MSの試作品としてメガランチャーを最初に使った機体でもあり、最後にシロッコのジ・Oとハマーンのキュベレイを向こうにまわしての戦いは、さすがシャアの面目躍如といった格好よさがあった。
なお、「機動戦士ZZガンダム」では、2号機がガンダムチームの1機となり、ビーチャ=オーレグ、モンド=アガケが搭乗し活躍した。
これ見よがしの脚部のムーバブル・フレームとMSらしからぬバックパックのバインダーがチャームポイントか。

トールギスIII(OZ-00MS2B):
登場は「新機動戦士ガンダムW エンドレス・ワルツ」。搭乗者はゼクス=マーキス。
お約束の、「あらやっぱり生きてたのね」で登場した。トールギスIIと同時にあのトレーズ=クシュリナーダが製作していたらしい。ヒートロッドと、ウィングガンダムゼロのツインバスターライフルに匹敵するメガキャノンを装備。そいつで小惑星MOIIIを吹き飛ばしている。シールドの形状が変わっただけでも充分格好良い。個人的には、円盤飛ばして実体弾からビームまで防御する、あのプラネイトディフェンサーがついていると思ったんだけどなぁ。
メガキャノンとシールドはムーバブルフレームもどきに接合されているところが良い。カラーリングも青と白を基調にしたシンプルさで、すっかりプリベンターの「白い奴」である。
ガンダムWのMSは基本的に星座の名前がついているのだが、ガンダムシリーズと、こいつだけはどうやら別格。トールギスは、確かどこかの言葉で「霊媒士」を意味する「トールギスト」からだったと記憶している。

G3ガンダム(RX-78-3):
登場は「機動戦士ガンダム 小説版」。搭乗者はアムロ=レイ。
設定上は7機あったRX-78ガンダムの3番目の機体。
一年戦争の神話的兵器ガンダムに、ふんだんにマグネット・コーティングを施したもの。ホワイトベースに配備され、マグネット・コーティングのテストベッドとなった後、アムロの二台目の機体となる。パイロットの能力とあいまって、驚異的な戦果を上げるものの、最後は同じニュータイプのルロイ=ギリアムの乗るリック・ドムによって撃墜されてしまった。(当然、アムロは戦死。)
グレーのカラーリングが精悍な印象を与える機体。ガンダムのくせにあのトリコロールではないところが兵器らしいのだ。もっとも、それ以外では外見上の差異は全くないのだが。
余談だが、アムロは正確に狙いをつけなければならないビーム・ライフルよりもバズーカのほうがお気に入りだったようで、このG3ガンダムもバズーカが主体の武装であったと思われる。

陸戦用先行量産型ジム(RGM-79[G]):
登場は「機動戦士ガンダム第08MS小隊」。搭乗者は07小隊の面々、他。
陸戦用先行量産型ガンダムとのハイ&ローミックスによってアジア戦線に配備されたらしい。後のジムと異なり、装甲材には一部ルナ・チタニウムを使用し、ジェネレータの出力も大きい。このことが生産性を下げたため、大量生産は行われなかった。
シールドの先端が爪状になっていて格闘戦(あるいはドーザーブレード)に対応。膝のスパイクは片膝をついて射撃を行うための滑り止めである。
OVAの後半で、アプサラスIIIに大量にやられたが、その爆発シーンの中にガンダムハンマーらしき武器をもっていた機体が1機あった。
おそらくスタッフのお遊びだろうが、長く語り継がれるであろう。

ガンダムアレックス(RX-78-NT1):
登場は「機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争」。搭乗者はクリスチーナ=マッケンジー(クリス)。
一年戦争の末期に、驚異的な戦果を上げるパイロット、アムロ=レイの専用機として開発されたニュータイプ専用のガンダム。
ニュータイプ用といってもサイコミュなどの武装は持たず、リニアシート&全周囲モニターとマグネット・コーティングによって機体の運動性を高め、ニュータイプの反応速度に追従できるようにしたもの。結果的にはガンダムの4番目の機体である。
だが、多大な期待を持たれたこのガンダムもサイクロプス隊の潜入工作、それに続くザク改との交戦により破壊され、アムロの元には届けられなかった。
うーん、実に惜しい。専用に調節されたガンダムに乗ったアムロがどうなるか、というのは「逆襲のシャア」を見れば明らかである。
最大の特徴は腕部の90mmガトリングガンであるが、アムロ=レイがMSの固定武装の貧弱さを指摘していたことから装備されたものの、デッドウェイト化が避けられるはずもなく、アムロが受領する際には取り外されていたであろう、という意見が根強い。
ちなみにテストパイロットのクリスは決して腕が劣っていたわけではなく、アムロの反応速度に合わせて調整されたピーキーな機体を、あそこまで動かせただけでも大したものだったのだ。

ケンプファー(MS-18E):
登場は「機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争」。搭乗者はミハイル=カミンスキー(ミーシャ)。
ナンバーにEが付いていることからも、こいつは試験機。名前はドイツ語で「闘士」という意味を持つ。大推力のスラスターを備え、ジャイアント・バズ2本、シュツルム・ファウスト2本、ショットガンを構えたまま滑空までしてしまう。各部は高度にブロック化されていて、分解、組み立てが容易になっている。コロニー潜入の際には貨物としてバラバラに輸送され、サイクロプス隊4人の手で組み立てられた。
ガンダムアレックスの破壊を目的としてコロニー内で大暴れ。ジムスナパーU、ガンキャノン量産型を破壊するが、アレックスに出会ったらガトリングガンで蜂の巣にされ、あっという間に破壊された。(もっとも、ミーシャがアレックスの追加装甲を破壊した時点で本体を破壊したと勘違いしたため、油断が生まれたのだろう。)
カタログスペックではあのアムロのガンダムRX-78-2の3倍のスラスター推力を誇り、実は性能は上かもしれないという、実に惜しいMSである。

ガンダム試作3号機(RX-78GP03):
登場は「新機動戦士ガンダム0083」。搭乗者はコウ・ウラキ。
愛称はデンドロビウム。ラン科の一種らしい。この頃アナハイムの試作機には花のコードネームをつけていた。
モビルスーツの汎用性とモビルアーマーの機動性をミックスしたらこうなっちゃった、というもので、ガンダムであるところのステイメンと機動ユニット兼アームドベースのオーキスが合体してあの形状となる。もともとは拠点防衛用の機動兵器でその戦力はMS中隊数個分とか。
メガビーム砲の砲身を入れた全長は140m、ジェネレータの出力は38900KW(!)でなんとサザビーの10倍。Iフィールド発生器とメガビーム砲、ウエポンコンテナは左右16個で中にはコンテナミサイル、爆導索、ビームライフル、フォールディングバズーカなどなど。
ガトーのノイエ・ジールと死闘を演じたり、シーマ様のガーベラ・テトラをメガビーム砲で串刺しにしてぶっ放すなど見せ場も多かった。
その印象は作中にモーラの言った「これがモビルスーツだって言うのかい!?」というセリフに集約されていると思う。

Ex-Sガンダム(MSA-0011Ex):
登場は「ガンダム・センチネル」。搭乗者はリョウ=ルーツ。
アナハイムの7番目のガンダム。恐竜的進化を続けていた「第一次ネオ・ジオン抗争」の時期のモビルスーツらしい機体。
もともとはZZガンダムを再設計し、さらに機能を強化したSガンダムに、追加パーツを装備したもの。おかげで全装備重量はなんと162.5tでドムの2倍。そして重さにふさわしい重兵装。ディスク・レドーム付きのビーム・スマートガン、背部ビームカノン×4、大腿部ビームカノン×2、リフレクター・インコム×2、インコム×1、ビームサーベル×2、んでコクピット周りにはIフィールド、とまあ、なんでもかんでもくっつけたもんだ。
リフレクター・インコムは有線でIフィールド・ジェネレーターを飛ばし、そこに向けてビームを撃つと反射して相手の死角から攻撃するという武器。反射衛星砲か。
しかしこの機体の最大の特徴は、女性の人格を有するコンピュータ、ALICEを搭載しているということ。これが良くも悪くも「ガンダム・センチネル」のストーリーのメインになっている。設定上無理は少ないがオーバーテクノロジー、という感じの機体である。

ZプラスC型(MSZ-006C1):
登場は「ガンダム・センチネル」。搭乗者はシグマン=シェイド、テックス=ウェスト、チュン=ユンなど。
アナハイムの可変機構MSであるゼータ系は、その複雑さと高価ゆえにとても一般配備できるものではなかった。だが、重力下におけるウェーブライダー形態の潜在能力に目をつけたカラバが量産に踏み切り、その機体のポテンシャルの高さが見直され、再び宇宙用に戻された。
現代の戦闘機のようなグレーの塗装が精悍で、ビーム・スマートガンとピームキャノンを固定武装に、大気圏突入能力を持っている。比較的安価な量産MSとはいえ、高級機であることに変わりはない。
このテの機体は人気があるようで、コミックなどにはよく登場している。そのためかU.C.100年代まで現役だったらしい。

ハーディガン(RGM-111):
登場は「シルエットフォーミュラ91」。搭乗者はケビン=フォレスト。
「シルエットフォーミュラ・プロジェクト」によって製作された3機のMSのうちの1機。(残りの2機はシルエットガンダムとGキャノンマグナ)
サナリィとのコンペティションに敗れたアナハイムが、サナリィの技術をパクった後、実験機として完成させた。型番からも分かるように、元はRGM-109ヘビーガンである。
時代設定がU.C.0123(ガンダムF91)ということで、敵はクロスボーン・バンガードだった。
技術盗用によってジェネレータは小型、高出力化し、ヴェスバーを簡易型にしたビームランチャーなどを背中のバックパックに装備する。

Gキャノンマグナ(F71B):
登場は「シルエットフォーミュラ91」。搭乗者はカール=シュビッツ。
こいつも「シルエットフォーミュラ・プロジェクト」によって製作された。どうもキャノン系MSは好きではないのだが、こいつは別格。パイロットのカール=シュビッツも「シャアの反乱」時にギラ・ドーガのパイロットだった過去を持つオヤジでナイス。
次期主力量産MSのコンペに敗れたアナハイムは、OEM生産でサナリィのGキャノンを製造していたが、飽き足らずに改良型を開発する気になったらしい。Gキャノンとの最大の相違点は、Gキャノンが暴動鎮圧などの対人戦闘を主眼に置いているのに対し、Gキャノンマグナは対MS戦を主眼に置いている点である。
よって、実体弾だった両肩の4連装マシンキャノンもビームキャノンに変更、それに伴ってのジェネレータの強化などが最大の特徴。

シルエットガンダム(RXF91):
登場は「シルエットフォーミュラ91」。搭乗者はトキオ=ランドール、レイラ=ラギオール。
またまた「シルエットフォーミュラ・プロジェクト」によって製作されたMS。というか、シルエットのMSは皆お気に入りか。
スパイ疑惑(実情はアナハイムの技術低下を恐れた連邦軍が故意にサナリィの技術を流したらしい)を抱えながらも完成。νガンダム以降の非変形ガンダムとF90シリーズの両者を掛け合わせた、いわばサラブレッド。よってヴェスバー、ビームシールドなど、次世代MSの特徴を備えている。
足回りがごちゃごちゃしていてなかなかいい感じなのだが、戦艦を一撃で撃沈するネオ・ガンダムが目立ってしまって今一つぱっとしなかった。(レイラが可愛かったから許すか)
おまけにゼブラゾーンにおけるネオ・ガンダムとの戦闘で破損。後に修理されてシルエットガンダム改になる。

ネオ・ガンダム(RX-99):
登場は「シルエットフォーミュラ91」。搭乗者はトキオ=ランドール、バズ=ガレムソン。
SFP(シルエット・フォーミュラ・プロジェクト)によって製作された新時代のガンダム。小型MSの開発に乗り遅れたアナハイム・エレクトロニクスが文字通り威信を賭けて開発した。
やはり、サナリィからの技術盗用疑惑がからんでいてアナハイムのプロジェクトナンバーとして"AFX-9000"というもう一つの型番を持っている。
特徴としては久々にコア・ブロックシステムを採用したこととと、巨大な出力を誇るG-バードと呼ばれるビーム兵器を主武装にしていることである。このG-バードはヴェスバーの技術を応用したビームバズーカのようなもので、その全長はMSの身長と同じくらい。
しかもコア・ファイターとドッキング可能で単体としても使用できる。まさに「MSが大砲を担いでいるのか、大砲にMSが付属しているのか分からない」状態である。
ちなみにG-バード(G-B.R.D)とは"Generative Beam Rifle Device"の略。
合計2機製造されたが、ゼブラゾーンにおける戦闘で両機とも大破している。

ビギナ・ゼラ(XM-07G):
登場は「シルエットフォーミュラ91」。搭乗者はシェルフ=シェフィールド。
「機動戦士ガンダムF91」でセシリー=フェアチャイルドが登場していた、あのビギナ・ギナの兄弟機。同時に開発が進められていた。
ビギナ・ギナが高級指揮官用の試作機であったのに対し、ビギナ・ゼラは攻撃型の試作機だったらしい。そのためか、背部バックパックはフィン・ノズルではなくヴェスバーになっている。どちらも外部ジェネレータに出力系が直結なのだが。
ベルガ・バルスで戦って、ガレムソンのネオ・ガンダムに敗れたシェフィールドが再戦の時に使用した。コミックの中では「こいつの機動性、云々」といっていたところから、どうやら高機動機らしい。(本当か?)
余談だが、この機体にはガンダムタイプの頭部がある。技術者のガンダムに対する思いはもはや信仰に近いものがあり、クロスボーンのMSは一般量産機に至るまでデュアルセンサー(つまり二つの目)が搭載されている。金持ちの考えることは分からん。

ガンダムF90II(F90II):
登場は「ガンダムF90」。搭乗者は不明。
元々は格闘戦をメインに、ハードポイント・システムによって様々な換装が行えるMS、ガンダムF90として開発された。しかし、2号機は火星独立ジオン軍、通称オールズモビルズに奪取されてしまう。(なんじゃい、2号機はやはり敵に奪取される運命にでもあるのかしら)その後、破損した2号機を回収、再生してF90IIとなった。
新型ジェネレータの搭載、メインコンピュータには次期試作MSであるF91に搭載予定のバイオコンピュータが試験的に搭載されている。
F90のコンセプトであったミッションパックによるシステムの変更は健在で、F90の様々なタイプの他に、フライト・シールドとビームランサーを装備するインターセプトタイプ、狙撃用のロングライフルを装備するロングレンジタイプの2種類が新たに追加されている。
武器換装システムは後のG-UNITにも通じるところがあり、つまりは複数のMSを開発するより、1機で多目的に使用できることを狙ったらしいが、その後のMSには滅多に登場しないことから、メインストリームとはならなかったようだ。

クラスターガンダム(F90Y):
登場は「シルエットフォーミュラ91」。搭乗者はウォルフ=ライル。
サナリィのフォーミュラ・プロジェクトのある試みとして完成した機体。ストーリーその他には未登場ながら、プラモデルだけはある。F90IIIと呼ばれることもある。
全部で20数種類あるといわれるF90の増加パーツ(Aタイプとか、Lタイプとか)の最後のXYZシリーズの1つで、"未知なるもの"として説明がなされていた。その実フタを開けてみたらコア・ブロック・システムだった。これは「いいものは何でも採用」というコンセプトと、かつての機体強奪(F90の2号機)の教訓から、コア・ファイターを起動キーとする方針かららしい。
設定では、この機体をF91と誤認したクロスボーン・バンガードのある部隊は挑みかかって見事に全滅させられている。
特徴としては、ビームシールドが腕のラッチにマウントされておらず、従来の手持ち型のものになっていることと、2丁のメガビームバズーカである。武装も強力で機体のポテンシャルも高いことから、かなり強力なMSだったのではないだろうか?

ガンダムF91(F91):
登場は「機動戦士ガンダムF91」。搭乗者はシーブック=アノー。
現時点でのMSの限界性能の達成を目論んで行われた「フォーミュラ・プロジェクト」の集大成。F90のV(ヴェスバー)タイプの延長線に位置し、小型化されたボディ、高出力のジェネレータ(なんとZガンダムの2倍)、ヴェスバーとビームシールドなど、その後のMSの方向性を決定した機体でもある。クロスボーンの攻撃が行われず、正式採用が行われていたら、間違いなく地球連邦軍の旗機となるはずだった。
物語中ではバイオ・コンピュータの最終調整を行うためにフロンティア1に運んだところに攻撃を受け、練習艦に積まれたまま、工学部の学生に乗りまわされるという運命を辿る。
しかし、映画の戦闘シーンなどを見れば分かるのだが、F91というMSは、U.C.120年代MSの単機における戦闘レベルにおいて、限りなく無敵に近いのだ、実は(機体を限界まで稼動させると放熱によって塗料が剥離、これが作中に出てきた「質量のある残像」である)
映画といえば、この「ガンダムF91」という作品、富野ガンダムにしては主人公がまとも。生き延びるためにガンダムに乗ったとはいえ、イッちゃった性格でもないし、リィズ(よくできた妹)とセシリー(オレ的にガンダム史上最高のヒロイン)に囲まれて、結構幸せじゃあないか。ただ惜しむらくは話が中途半端なことぐらいか。まあ、続編に「クロスボーン・ガンダム」ってコミックはあるけどね……。

ガンダムジェミナス01(OZX-GU01A):
登場は「ガンダムG-UMIT」。搭乗者はアディン=バーネット。
コミックボンボンとのタイアップで行われたコミックの企画。単行本が出ていて、おまけにメインとなるガンダム5体はすべて1/144プラモデルにされている。
「新機動戦士ガンダムW」のアザーサイド・ストーリーで、G-UNITとは、ガンダム本体を軸に、あらゆる状況に対応できるよう電磁ボルトジョイントで装備を換装できるシステムのこと。ガンダムF90のハードポイントと異なるのは、機体に装備をつけるのではなく、専用の足やら腕やらを付け替えてしまうところである。事実、物語のラストでは大破したガンダム3機からパーツを組替えて1機のガンダムにしている。(しかも戦場のど真ん中で……)
実はOZのMSで、ガンダムWのOZのMSは星座の名前が与えられているが、こいつも例外ではないらしく、ジェミナス=双子座である。
パイロットの精神をフィードバックして機体のポテンシャルを上昇させる「PXモード」を搭載している。

V2アサルトバスターガンダム(LM314V21/24):
登場は「機動戦士Vガンダム」。搭乗者はウッソ=エヴィン。
激化する戦闘に対応するためにV2ガンダムに様々な兵装を施したもの。実は最終話前にしか登場していない。
長距離攻撃オプションのV2アサルトガンダムと強襲攻撃オプションのV2バスターガンダムの折衷案というか2つの装備を統合したもの。したがってその内容は恐るべしで、主な追加武装だけでもメガビームキャノン、スプレービームポッド、ヴェスバー、マイクロミサイルポッド、メガビームシールド、Iフィールド発生器など。これにV2ガンダム本体の固定武装が加わる。
これに光の翼と飛行能力があるっていうんだから、U.C.150年代が化け物MSオンパレードといっても、ザンスカール側の力負けは歴然としている。