劇団四季の光と影
毎日暑いですね。僕なんか基本的にあまり外に出る機会が無い職場なので毎日空調の効いたビルの中でパソコンとにらめっこしてますけど外回りの人は大変でしょうね。体調にはくれぐれも気をつけて下さいね。
今回は本当は「子供の観劇マナー」についてちょっと感じた事を書く予定だったのですが掲示板のほうで最近ちょっと盛り上がっている劇団四季について思う事を書いてみる事にしました。一応誤解を招くといけないのでお断りしておきますが、この話題については一度は書こうと思っていたネタです。掲示板がきっかけになった事は事実ですが、掲示板の盛り上がりが無くても触れようと思っていたネタですので変なご心配をしないで下さいね。また掲示板のレスの方と重複する部分もありますがご勘弁の程を。
「最近の劇団四季は昔に比べるとレベルが下がった。あまり見に行く気がしない。」という声を最近よく耳にします。昔から四季をご覧になっていた方がこのような感想を持つ場合が多いようです。(って最近見始めた方は昔の四季なんて知らないですよね(笑))ここから先は僕の個人的意見になります。ただし僕は四季は好きですし、日本にミュージカルを根付かせた素晴らしい劇団だと思っています。多少批判めいた事も書きますがそれも四季を愛する気持ちと思ってご勘弁して頂きたいと思います。多分上のような感想を持つ方も同じ気持ちだと思います。
確かに昔の四季ってパワフルであったとは思います。いかにも「劇団」という感じの迫力を感じました。ただ「当たりはずれ」も結構大きかったような気がします。今の四季は「株式会社」。どんな演目を公演しても平均点以上の出来は保証されています。とりあえず安心して見られるという点では四季は抜群であると思います。その反面言葉に出せないような迫力を感じる事も少なくなってきた事は確かです。というよりも「オーラ」を発するような役者さんが少なくなってきたという事でしょうか。四季退団後も圧倒的な存在感を誇る市村正親さんや山口祐一郎さんのような「出てくるだけでハッとする」役者さんはいなくなりましたね。そういえば野村玲子さんも昔は凄かったんですよ。(って今はどうなんだというお叱りを受けそうですが)それに比べると今のトップ女優さんはちょっと線が細いですね。
ただ僕は「四季」の総合力っていうのは着実に進歩していると思います。総合力っていうのは企画力・舞台の運営・舞台装置・照明・音響・アンサンブルの役者さん等いろんな要素がありますが、これに関しては昔の四季と比べると相当レベルアップしていると思います。問題はやはりトップレベルの役者さんですね。僕は決してトップレベルの役者さんが昔のトップレベルの役者さんと比べて劣っているとは思わないのですが、昔と比較すると劇団四季の公演数自体が増えていますよね。公演数が増えるという事は今まで主役を演じる事のできなかった方が主役を演じる事が可能になるという事で、役者さんにとっては非常に励みになる事であり、それなりの努力もされているとは思いますがやはり少し見劣りのする方が出てきてしまうという事にもつながってしまいます。トップを張る役者さんっていうのは歌や演技の技術力を持っているのは当然ですがその他にある種の「輝き」みたいなものが絶対に必要だと思うんですよね。ただこれはある程度は稽古によって出てきますが、基本的にはその人の持つ「才能」に依存する所が大きいですね。そしてその「才能」を持つ人っていうのはそんなには多くないと思います。
四季では全国で多くのステージが演じられているわけですからどうしても「才能」を持つ人が分散して出演するという事になります。ここでやっぱり不満が出てきてしまうんじゃあないでしょうか。例えば「オペラ座の怪人」を考えると最低限怪人とラウルとクリスティーヌを演じる人には「輝いて」いて欲しいと思うのですが(あくまでも「最低限」です)そういうキャスティングをしてしまうと他の所の公演が成り立たなくなるという事態も考えられてしまいます。
ちょっと長くなりそうなんでとりあえず今回はこの位で止めておきます。続きはまた次回アップしようと思っています。予定としては次回は「ノン・スターシステム」だとか役者さんのローテーション等について書きたいと思っているのですが、性格がいい加減なもんでまた全然違った内容になってしまうかもうしれません。次回をお楽しみに。(って楽しみにしてる方はいるのでしょうか(笑)?)
(98/08/05)