劇団四季の光と影 No.3

 世の中夏休みの真っ最中ですね。電車はすいているし、会社に来てもあんまり人はいないし電話もかかってこないし結構いい環境ですね。これで上司さえいなければもっといいんですけどねえ。休んでくれよぉ>某部長(笑)。

 前回、前々回と劇団四季に対してちょっときつい意見を書いてきましたが僕は四季好きなんですよ。期待が大きいだけにいろいろ言いたい事も出てきてしまうという事でしょうか。悪意はありませんので1ファンの独り言と思って下さい。でも四季にもちょっと考えて欲しいですけど(笑)。意見ばっかり書いているのもちょっと悪い気がしてきたので今回は劇団四季の「功」の部分に目を向けてみたいと思います。

 何といっても日本に「ミュージカル」を根付かせた功績は大きいですよね。東宝の言う事が真実であれば日本で最初にミュージカルを上演したのは東宝だという事なのですが、大きく育て上げたのは四季でしょう。特に劇団の存続を賭けてロングラン公演を行った「CATS」の成功により「四季」の名は大きく取り上げられ、また日本でもミュージカルのロングランが成立するという事実を証明した事は四季にとっては誇りにしていい事だと思います。それまでは月単位の興行であった演劇界に衝撃を与え、その後の例えば「ミス・サイゴン」ロングラン等の下地を作っていったんですね。余談ですけど仮設劇場っていうのは基本的に使用期限は1年間でその後自治体が延長使用を認可するんだそうです。CATS初演の「新宿黒テント公演」は延長の許可が出なかったそうですね。今なら割と簡単に降りるようなのですが。やはり当時はまだまだ認知されていなかったようです。

 役者さんの育成という面も四季は素晴らしいですね。「劇団」としては珍しく早いうちから役者さんに稽古に専念してもらうという理念を掲げた事は特筆すべき点だと思います。他の劇団が劇団員のアルバイト生活から抜け出せない中、生活は保障するのでアルバイトする暇があったら稽古しなさいというシステムを作った事は今までの常識では考えられない事であったと思います。「商業演劇」としてきちんと成立する劇団を作り上げたという事は賞賛すべきものだと思います。一年位前の「アルプ」に役者さんの年収の目安が載ってましたね。個人的にいうと研究生の方々がどんな待遇なのか気になる所です。一番レッスンしなければならない年代でしょうから。研究生といえばやはり自前で役者さんを育成して行こうという姿勢も評価していいと思います。オーディションで即戦力を補強しながらも裏で自前の役者さんを育てていくというのは一種理想の姿でしょう。

 「ファンの開拓」という点でも四季は怠りありません。まず挙げられるのが「地方公演の充実」です。地方と言ってしまうと失礼ですが、今まで東京・大阪に偏りがちだった公演ですが、札幌・博多に拠点を設け、また舞台装置が許す場合は積極的に全国公演も行っていますね。ミュージカルの全国公演なんてあまり聞きませんよね。昔東宝が「屋根の上のヴァイオリン弾き」でやりましたが。とここまで書いてちょっと心配なのは大阪と名古屋ですねえ。MBS劇場と名古屋ミュージカル劇場閉鎖の後どのような展開を考えているのでしょうか。ご当地のファンにとっては気になる所でしょうね。

 また四季では「お子さま向け」のミュージカルも積極的に展開していますよね。ただこれが「お子さま向け」とあなどれないんですねえ。大人が見ても十分に楽しめるほどの質の高さをキープしているのはさすがです。ところでああいう子供向けの公演って見てるお子さまは楽しいんでしょうか。もちろん個人差がありますから本当に楽しんでいる人もいるでしょうけど。何故こんな事を書いたかというと僕もその昔小学校5年生の時「観劇会」みたいな催しで日生劇場(だと思った)で「二人のロッテ」を見させられたんですけどまだ「目覚める」前だったのでおもしろくも何ともなかった事を覚えているからです。案外ああいう「余計なお世話」教育で「ミュージカルなんかつまらない」と思いこんでいる人もいるかもしれませんね(笑)。

 あと東宝に比べて「チケットが比較的安い」という事も事実ですね。ブロードウェイなんかに比べると若干高いようですが、今の日本の状況だとS席1万円位というのはしょうがないかなと思います。四季もチケット代については結構真剣に考えてくれてるようです。余計なお世話かもしれませんが、「円安」って影響しないんでしょうか。海外のミュージカルのロイヤルティなんか多分現地通貨建てですよね。為替差損が出てるんじゃあないかなあ。(考えたら本当に「余計なお世話」ですねえ。人の財布の中のぞき込んで(笑))チケット代でもうひとつ思うのは「A席とB席の価格格差」。S席をとる時以外はBまたはC席がいいと思うのは僕だけはないはず(笑)。

 四季の公演っていつ何をみても「ある程度の水準」っていうのは保たれてますね。これって現在の四季のスケジュールを考えると凄い事です。総合力で見ればやはり日本一の劇団ですね。これからも堂々と日本の演劇界の一番星として輝いていて欲しいです。ただ最近ちょっと気になるのが公演数の増大による役者さんの過密スケジュール。別に僕が心配することではないのですが、体が資本ですから最高のコンディションで素晴らしいステージを見せて欲しいものです。昔どこかで読んだのですが浅利さんが仮面をかぶって芥川さんや荒川さんに向かって「歌え〜わたしのために〜」なんて迫っているようだなんてジョークも出てくる位忙しいようです。くれぐれも体に気をつけて良い舞台を見せてくださいね。

(98/08/11)
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