日本の劇場事情
最近ずいぶん秋らしくなってきました。夜なんかはもう寒い位ですね。これから「ライオン・キング」や公演中の「ローマの休日」等楽しみな舞台がたくさんありますので風邪などひかないように気をつけてくださいね。
「ライオン・キング」といえば四季劇場も無事オープンしたみたいですね。何といっても劇団四季念願の専用劇場。建築には相当気合いが入っていたようですが、今の所何となく良い評判を聞かないのは残念です。劇場の善し悪しっていうのは当然一番重視されるのは「どの席から見ても見やすい」という事だと思うんですけど、現代の劇場っていうのはそれ以外にもロビーやトイレ、売店に至るまで総合的な使いやすさが求められてますよね。個人的には飲食もできる広いロビーとできれば小ぎれいな軽食を提供してくれる店が欲しいななんて思ってしまいます。ただ女性の方には「トイレの数と使いやすさ」っていうのも必須条件なんでしょうね。またその話かと思われるかもしれませんが、生理現象っていうのは切実でしょうからやはり優先的に考えないといけませんね。見やすさといえば僕は青山劇場が好きですね。残念ながら(?)2階席で見た事はありませんが、1階だとどこから見ても見やすいですね。ただ見やすさと引き替えかもしれませんが、傾斜は急ですね。帝国劇場は平均点といった所でしょうか。四季劇場はまだ見た事がないので、楽しみです。
さて専用劇場ができてある程度自由な公演が可能になった四季ですが、やはり専用劇場は相当前から欲しかったみたいですね。専用劇場ができる前は東京でいうと日生劇場や青山劇場等の常設劇場での月借り公演とキャッツ・シアターや赤坂ミュージカル劇場のような仮設劇場でのロングラン公演を柱にして公演を重ねていました。ところでこの「劇場の月借りシステム」っていうのは日本独自のものらしいですね。「月借りシステム」って正式名称はわかりませんけどなんていうんでしょうか。
この「月単位の公演」っていうのにはパターンがあるみたいで、帝国劇場や青山劇場なんていうのは一応お芝居専用の劇場なんで、とりあえず客の呼べる方を主役において「○○○○座長公演」(こういう言い方はさすがに最近無くなったようですが。)という形でだいたい一ヶ月という期間を区切って行われます。これが新宿コマのような雑居劇場(笑)になると、月によっては「五木ひろし特別公演」のような歌謡ショーとちょっとしたお芝居がセットになったお得なバリューセットのような催しも盛んに行われていますね。こういう公演って多分固定客に支えられて客の入りもそこそこ予想出来るでしょうから劇場にとっては手堅く採算の取れる公演になっているんでしょう。。
このような日本独特にシステムって基本的にというか絶対にミュージカルの「ロングラン」なんかには絶対向かないですよね。そしてどうしても行政の許可や周辺の開発計画に左右されてしまう仮設劇場。専用劇場を持つ前の四季の嘆きが聞こえてきそうです。例えば「オペラ座の怪人」などについては首都圏であれば常時公演していても客席はある程度埋まると思っていたでしょうね。それなのに1ヶ月、長くても3ヶ月位の公演しかできないというのは相当悔しい思いだったのではないでしょうか。ただ、そういう事情だから首都圏以外での公演が増えて、地方のミュージカルファンを開拓したというもの事実でしょうけど。
東宝の場合も「帝国劇場」とか「劇場飛天」等のほとんど専用劇場と同等の劇場を持ちながら、やはり公演形式っていうのは「月単位の公演」を抜け出せませんね。「ミス・サイゴン」での無期限ロングランと銘打った公演は「東宝もなかなかやるなあ」という驚きを与えてくれたのですが、「ミス・サイゴン」が期待以上の興行成績をあげられすに終わってしまった後は元の通りの公演形態に戻ってしまいましたね。まあ「ミス・サイゴン」の場合は期待が大きすぎたっていう事もあると思います。あの題材であれだけ続けば大したもんだと個人的には思うのですが。
ただ帝国劇場ってやはり「ロングラン公演」をやるにはちょっとキャパが大きすきるんじゃあないでしょうか。確か2千人位入れるんじゃあなかったですっけ。このへんは調べればすぐにわかるんでしょうが、悪いくせで記憶だけで書いてます(笑)。やはりロングラン公演だと千人位の劇場が適当なんではないでしょうか。だいたい2千人って相当上手くつくらないとお芝居には向かないような気がするんですけど。
僕の個人的欲望と希望でいうと、「レ・ミゼラブル」、「オペラ座の怪人」、「キャッツ」、「美女と野獣」位は一年中いつでも観られるような環境になって欲しいですね。それも千人位の劇場で。ロンドンやニューヨークで出来る事が東京でできない事は無いと思うのですが。人口から言っても文化水準から言っても。公的援助なんていうとなんかこの時期誤解を招きそうですが、あんまり頼るのも困りものですが、ある程度の援助はあってもいいと思います。おかしな補助金だすよりよっぽど良いと思うんですけど。
それでもっと希望的な意見を書いてしまうと、上に書いたようなメジャーなミュージカルは東京ならいつでも観られる。そしてもう一組が大阪・名古屋・福岡・札幌を回るっていうのどうでしょうか。まあこの考えが実現するには役者さんが質・量共に成長する事と、僕たち「ミュージカルファン」の量的拡大も必要ですね。ただそういう環境になれば結構潜在的なファンも表に出てくるんではないでしょうか。ちょっと楽観的すぎますか?
(98/10/11)