ローマの休日(10月25日ソワレ)
てな訳でやっと見てきました。話題のローマの休日。事前に皆様からの感想を聞いていましたんで、見所等は頭に入っていたつもりだったんですけど、やっぱり実際に見てみると色々感じる所がありますね。ちょっとだけネタばれの箇所がありますんで、これから観られる方は読まない方がいいかもしれません
見終わった後の感想。「思ってたより良い出来(笑)」。結構たくさんの方がこういう感想を持たれていたようなんですね。「何じゃそれ。」と思っていたのですが、見てみるとその感想って結構的確な感想だと思います。あと一言で言ってしまうと「東宝が総力を挙げて制作した大地さんの為のミュージカル。」今日の客層はどうだったんだろ。やっぱり真央さんのファンの方のほうが多かったのかな。このサイトで見る限りは「山口組」の方がたくさんいるのですが、やっぱり世間一般では真央さんの方が人気あるのかな。あと客層を見ていたら結構年輩のご夫婦の方が目立ったような気がします。やはり「ローマの休日」という題材のせいでしょうか。
さて感想。一幕・二幕共に「あれ?もう終わり?」という感じを持ったという事はそれなりに感情移入して楽しめた作品でした。ただこれには「ストーリーがしっかりと頭に入っている」というアドバンテージが大きかったと思います。まるで予備知識無しであの舞台を見るのはちょっと辛かったかもしれません。ちょっと気になったのは舞台転換の事情なんだと思いますけど「こんなシーンいるの?」というようなシーンが結構あった事。あと「いかにも笑いを取るんだ」といったようなセリフや芝居がちょこちょこ目についてしまった事。この二つはちょっと嫌みになってしまっている感じでした。
それから、アン王女。あの役ってどうしても映画のヘップバーンと比較されてしまいますよね。あの頃のヘップバーンってもう敵なしっていう感じなんで真央さん、ちょっと気の毒かな。こんな言い方したら真央さんのファンに怒られてしまうかもしれませんが(笑)。この話って「アン王女の庶民の生活を知らない所から来る一種の無鉄砲さ」っていうのが一つ喜劇的な要素を持ってストーリーにアクセントをつけていますよね。確かに最初のアパートで寝てしまうシーンはそういう感じがものすごく良く出ていたんですけど何か途中からは「普通のラブ・ストーリー」っぽくなってしまって最後の王女の戻る所で何となく真実味が感じられなくなっちゃったんですよねえ。
歌でいうと僕は今日始めて(そして今回最後)に見ただけなんで、あんまり偉そうな事は言えないんですけどやっぱり消化不良ですね。素直に耳に入って来るメロディーが無かったもん。あといわゆる「聞かせどころ」みたいな曲もなかったですね。真央さんの一曲だけだったかな。アンサンブルの方もあれだけたくさんいるのに見せ場のないまま終わってしまいますしねえ。多分「港の踊り場(?)」のシーンが見せ場になるはずだったんでしょうけど、何となく盛り上がりに欠けるまま終わっちゃうし(笑)。美女と野獣の「ビー・アワ・ゲスト」や「オペラ座の怪人」の「マスカレード」みたいなシーンに匹敵する面白い所だと思うんですけどね。
何か文句ばっかり言ってますけど、この作品、手直しを入れれば結構楽しい作品になる可能性を秘めていると思うんですよね。だいたいスクーターが飛ぶ必要なんてあるのかなあ。僕個人的には全然意味の分からない飛行でしたけど(笑)。可能性を秘めているからこそ、是非とも細かい演出に手を入れて頂いて再演して欲しいと思います。ついでに再演する時はもうちょっと舞台装置も何とかして欲しいですね。ちょっとちゃっちいかなあ。。と(笑)
お待ちかねの山口さん、「山口組」の方はちょっと欲求不満気味なんじゃあないかなあ。なかなか聞かせどころも無くて、やっぱり真央さんの相手役という感じになっちゃってますよね。まあ「ローマの休日」という題材じゃあ無理もないでしょうが。そういえば宮川さんと山口さんで「男の喜劇」みたいなミュージカルやったら結構おもしろいんじゃあないかな。
最後に詩について。やっぱりこれはちょっと変えないといけませんねえ。なんか「かごの中の鳥」とか「さなぎから変身する」とか「おいおい」という詩が大過ぎましたもん。いかに元ファンといえどもここはしっかりとした作詞者を使って欲しいもんです。素晴らしい作品になる可能性があるんでやっぱり東宝のお家の事情みたいなのはやめにして欲しいですね。見てきたばっかりでちょっと滑り気味の文章なんですがこの辺りで勘弁を。
(98/10/25)