オペラ座の怪人(11月7日マチネ)

 「美女と野獣」札幌公演、突然千秋楽が決まってしまいましたね。ロングラン公演でああいう終わり方っていうのはあんまり記憶にないですね。でもあの日のチケットを既に買ってた方はラッキーですね。残りチケットは突然抽選になってしまいましたもんね。しかし急ですね。アルプにも間に合ってなかったですもんね。相当チケットの販売率、落ちてたんでしょうか。確かに北海道経済は拓銀に破綻以来相当悪い状況にあるんで、企業等の後援っていうのは期待できないでしょうしね。ただ3月からは「アスペクツ・オブ・ラブ」を上演予定という事で、とりあえず劇場は続くという事が救いでしょうか。

 もうひとつ前振り(笑)。「SPA!」という雑誌に毎週演出家の鴻上尚史さんのコラムが載っているのですが、そこにちょっと興味深い文章がありました。イギリスもアメリカもオーディション文化で、芝居なんかだとかなりの有名な俳優さんもオーディションを受けるんだそうです。それで結構落ちるんだそうです。向こうではそれが当然とされていてオーディションに落ちても俳優としてのプライドを傷つけられれるような事はないんだそうです。それに比べて日本では有名な俳優さんをオーディションで落とすと結構大変な事になるようです。まあ文化の違いと言ってしまえばそれまでなんですけど、ちょっと考えさせられる所がありますね。

 さて本題。今渦中の(笑)「オペラ座の怪人」を見てきました。11月7日マチネです。配役は今井ファントム、佐野ラウル、村田クリスティーヌ。おいおい。他の配役はどうしたという声もあるでしょうが、とりあえず「オペラ座の怪人」はこの3人の出来次第という事なんで3人に絞ってみました。でも配役見た瞬間にちょっとがっかりきちゃいましたね。だって国内で観たファントムは全部村田クリスティーヌなんですよね。今回はもしかしたら井料さんが見られるかもしれないと思って楽しみにしていたのですが、残念でした。また四季の「キャスト発表しない主義」に腹をたててしまった一瞬でもありました。今井さんと佐野さんはとりあえず予想通りなんでそんなに怒りもしませんでした(笑)が、本当は沢木ファントムと石丸ラウルを見てみたかったです。

 さて今井ファントム。やっぱり歌はうまいですね。太い低音から魅力ある高音まで見事でした。前回見た時よりも随分進歩(失礼!)してるなあと思ったのですが、考えてみると前回は座席が後ろの方のサイドだったんですよね。今回は2列目センター。やっぱり表情が見えると見えないとでは大違いですね。こういう芝居は前で見ないとダメだなあと痛感してしまいました。怒りと苦悩の交錯するあたりが見事なファントムでした。余談ですけど、今井さんの「手」ってきれいですね。なんかクリスティーヌとのからみの「手の表情」にぞくっと来てしまいまいした。

 佐野さんについては実は僕あんまり良い印象なかったんですよね。最近見たのが名古屋でのラウルと東京でのビースト。ラウルのほうはいまいち頼りない印象で、(その時の)村ファントムに負けっ放しだよという印象でした。ビーストの時はなんか最後の王子様に戻る場面でとても王子様に見えなくてちょっとなあと思った記憶があります。そういう訳であんまり期待せずに(相変わらす失礼な奴ですね)見たのですが、今回は良かったです。「えっ佐野さんってこんなにカッコ良かったっけ?」と思わせるような振る舞いを見せてくれました。ただ個人的には目尻の小じわがなんか気になってしまったんですけど(笑)。それ以外はきちんとクリスティーヌを守るという姿勢も見せてくれましたし、ファントムとも互角にやりあってくれてましたし、満足のいくラウル君でした。

 村田クリスティーヌについては特に不満は無いですけど、「お願いだから他のクリスティーヌ見せて」っていう感じですね。こう言っちゃあまた失礼なんですけど、何か舞台映えしないんですよね。やっぱりクリスティーヌという役は光ってないといけないと思います。欲をいえば最初のほうの「その他大勢(笑)」のシーンから「あ、あの人目立ってるなあ」っていうものがあればすごく良いんですけどね。なんかメグ(石倉康子さん)のほうが目立っていて、どっちがクリスなんだかっていう印象でした。もしかしたら宝塚の方にでもクリスティーヌやってもらうといいかもしれませんね。宝塚については僕はあんまり知らないんですけど、基本的には舞台映えのする役者さんが多いといった印象があるもんで。あと歌唱力とか一切考えなければ中山美穂さんなんかいいかもしれません。井料さん見たかったんだけどなあ。

 と色々思う所はあったのですが、全般的には集中して楽しめました。今回は嫁さんと友人(女性)3人で行ったのですが、初見の方は「美女と野獣」よりよっぽど良かった。という言い方をしていました。これって一応誉め言葉なのかな。もう1人の方はなんか涙ボロボロ状態で、幕が降りた後しばらくは会話もできない状態でした。まあそういう意味では最近話題になっていた「オペラ座の怪人、初見の人からも見放される論(笑)」はなかったですね。あともうひとつの話題の「オーケストラ」。この日はまあまあではなかったでしょうか。「マスカレード」とかでちょっとはずしてましたが、「致命的」なのはなかったですしね(笑)。

 でもものすごく強く感じたのはやっぱり「オペラ座の夜」なんていう作品は良い席で見るほうが良いという事。やはり3人の表情とかが追えないとつまらないんじゃあないでしょうか。特に初見の方だとなおさらです。ただ今回の席からだと上の方でファントムが歌うシーンは知っていないと見ないでしょうけど(笑)。

 

(98/11/8)
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