シー・ラヴズ・ミィ(11月14日ソワレ)

 アルプの11月号をじっくり読んでいたんですが、今月号はおもしろかったですね。浅利さんカラー丸出しという感じで。四季劇場のオープニングが大きく取り扱われていたのは当然として、元総理やらどこかの社長やらの祝辞を読みたいと思うアルプの読者ってどの位いるんでしょうか。確かにスポンサーや協力者に対する気遣いっていうのは必要だと思いますが、凄い量でしたね。気遣いというよりは浅利さんの「ミエ」とか自己顕示欲が良く現れているなあと思ってしまいました。

 もうひとつ、「がんばれ、けいた君!」じゃあなくて「四季・断章」。ここでは浅利さんの一言多い性格が表れてますねえ。自分の偉業を省みず新人の役者さんを気にする金森さん。いい話ですね、ここでやめておけば(笑)。その後「残念ながらその役者は劇団を去った」なんていうのは「いやみ」にしか感じられません。浅利さんっていろんな意味でとても才能のある方だと思うんですけど、独特の感性がありますね。この「四季・断章」、どうも連載されるようなんで、これからの失言が楽しみですね(笑)。

 話は四季から離れて、東宝の「シー・ラヴズ・ミィ」を観て来ました。(11月14日、ソワレ。前から5列目)前に一度観ているので、今回は2回目の観劇になります。実は今回は観ようかどうか迷っていたのですが、嫁さんとその友人の「市村さん、観た〜い」という声を無視出来ず(笑)、チケットを取ったのですが、チケット発売日の恒例の電話戦争。何と9時30分に1コールでつながってしまって大慌てしてしまいました(笑)。それでも前から5列目でしたけどね。「東宝テレザーブの謎」がまた増えてしまったという所でしょうか。

 このミュージカル、良く考えたら豪華キャストですよね。主役に市村正親さんと涼風真世さん、そして脇を固めるのが島田歌穂さん、村井国夫さん、斎藤晴彦ですもんね。なんか主役以外は「レ・ミゼラブル」ファミリーっていう感じです。芸達者な皆さんなんで、そこを観ているだけでも楽しい芝居です。

 まず感じたのが「シー・ラブズ・ミィ」ってこんなに笑われてくれる話だったっけ?という事。前回観た時は初見という事とまるで予備知識無しで観たもんで、ストーリーを追っかけるのに必死という事もあったんですが、今回は2度目という事で結構余裕があって会話を楽しむ余裕もありました。やっぱりだいぶ違いますね。初回と2回目では。どんなにつまらないと思ったお芝居でも2度は観なきゃいけないのかなあと痛感しました。(別に「シー・ラブズ・ミィ」がつまらないと言ってる訳でなないですよ。)

 前回の印象だと「結構地味なミュージカル」という感じだったんですけど、そうじゃあないですね。確かに派手さはありませんが、なかなかユーモアのある「大人のラブ・コメディ」といった感じです。クリスマスの話ですんで、この季節、恋人同士で観るにはびったりの作品だと思います。

 さて市村さんですが、やっぱりさすがですね。立っているだけでも絵になります。仕草のひとつひとつに「円熟味」を感じます。これは涼風さんにも感じたのですが、「舞台の上では役者さんは年齢不詳」という事。さすがに市村さんは「ちょっと老けたかなあ」という印象も受けてしまったのですが、涼風さんは本当に「年齢不詳(笑)」。かわいかったです。ただ涼風さんを観るのは3回目(この作品の前回公演と「42nd Street」)なんですが、どっちの作品を観ても同じような役造りという感じがしてしまいました。まあ「シー」のほうも「「42nd」のほうもどちらもヒロインの性格は似ているという所もあるでしょうが、でもああいう役をやらせると上手いですね、涼風さん。

 はまり役といえば村井さん。あの「中年のいやらしさ」的な役は抜群に上手いですね。もしかしたら「素」で演じているんではないかと錯覚してしまいます。(錯覚ではないかも(笑)。)とてもあの「ジャベール」と同一人物とは思えません。)島田さんもとてもいい味を出してますね。さすがに役者さんです。そういえば島田さんのイローナ。凄いスタイルですね。これを観た僕の友人(女性です。)の間では「あのスタイル(特に胸)は本物か?」論争で盛り上がっていたそうです。失礼ですね(笑)。

 全体としての出来は結構な出来だと思うんですけど、ちょっとだけ不満なのがラスト・シーン。あそこは「手紙のあなた」への愛とジョージへの愛とで悩むアマリアに対してジョージが「手紙のあなたは僕なんだよ。」とうち明けるシーンなんですけど、うち明けられた時のアマリアの心境って「一瞬何を言われたかわからない」→「心の中でジョージに言われた言葉の意味をじっくりと考える」→「全てを理解して今までの悩みが解消される」→「目の前のジョージへの愛を再確認する」っていう流れだと思うんですけどあまりにもあっさりしすぎていて、途中を全てすっとばしていきなり再確認っていう感じに見えてしまいます。演出もあっさりしてますしね。一番の見せ場シーンだと思いますんで、もうちょっと何とかならないもんかなあと思います。

 でも1幕のラスト・シーンで涼風さんが「手紙のあなた」を歌いながら去っていうシーンはとても美しく心に残るシーンでした。トップ・シーンもとても印象深いです。上の方にも書きましたが、この季節、カップルで観に行くにはいい舞台ではないでしょうか。

 全然関係ないんですが、舞台がはねて、青山劇場から渋谷駅に戻る途中で、今上演中のミュージカル「ひめゆり」の関係者の方でしょうか、チラシを一生懸命配っていました。その姿から察するにどうもチケットの売れ行きが悪いようです。岡幸二郎さんとか鈴木ほのかさんも出ているミュージカルですんで、興味ある方は是非どうぞ。11月20日〜29日まで世田谷バプリックシアターで上演されます。お問い合わせはミュージカル座文化事業部(TEL:03-3326-9956)までどうぞ。

 

(98/11/15)
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