JCS(エルサレム版)11月26日ソワレ

 ジーザス・クライスト=スーパースターエルサレムバージョン(以下JCS)を見て来ました。評判の柳瀬ジーザスをこの目で確認できるという事と、四季劇場初見参(笑)という事で非常に楽しみにしていた日です。7時開演という事で楽勝かなと思っていたのですが、月末も近く結構仕事を片づけるのに時間がかかってしまってちょい焦り気味だったんですが、無事に開演15分前に入る事ができました。帝劇や赤坂ミュージカル劇場に比べると会社から近くなったもんで楽ですね。という事で開演前に1階から3階まで客席を見回っていろいろチェックしてきました。挙動不審人物ですね。まあ劇場の感想につきましては次回にでも書くことにします。でもやっぱり良い印象は無かったです。

 この日のJCS、ちょっと普段と違った客層でした。なんと言っても男性客が多い。それも結構年代が上のサラリーマン風の方が多かったです。ただ開演前の様子を見ているとあんまりマナー良くないんですね。何か社内宴会のノリっていう感じ。どうもいくつか会社の方が団体を形成して見に来ていたようです。一応「こけら落とし公演」の一環なので、いろんな協力企業にチケットでもばらまいたのかな等と変な想像をしてしまいました。まあ公演中はおとなしくしててくれたんで別にいいですけど。でも始めて経験しました。男性用トイレの行列(笑)。これもちょっと構造上の問題があるような気がします。

 さて、久々のJCSです。あの荒涼とした砂漠を思わせるセットを見ただけでなんかわくわくして来ます。僕、ああいう舞台って好きなんですよねえ。手の込んでいる装置もいいのですがああいうシンプルな舞台を見るとなんか想像力をかき立てられます。今回の座席は1階の後ろから2番目のセンターだったのですが、もっと前で見たいという猛烈な欲求が襲ってきました。発売日に全然電話つながらなかったのに贅沢ですね。

ジーザス
ユダ
マリア
カヤパ
アンナス
ヘロデ王
柳瀬 大輔
芝 清道
鈴木 京子
佐川 守正
青木 朗
沢木 順
司祭



シモン
ピラト
松宮 五郎
川内 啓友
岡本 隆生
喜納 兼徳
原 慎一郎
光枝 明彦

 実は僕、学生時代にこの「JCS」の台本(というより歌詞かな?)って何度も何度も読んでいるんですよね。ただし英語の方ですが。という訳でJCSについてはもう僕の中でしっかりとイメージができあがってしまっているんで、どうしても自分のイメージに合わない役者さんに対しては「ちょっとなあ」という思いになってしまいます。本当は客観的に見れば良いんでしょうが、やはりミュージカルなんて自分の感覚で見るしかないですからねえ。今回の感想はちょっと厳しめになってますが、作品全体としては充分楽しめた事を先に言っておきます(笑)。

 さて、「ラウルより断然良い」という評判の柳瀬ジーザス。じゃあ柳瀬ラウルってなんだったんだっていう話もあるのですが、それはこっちに置いておくとして(笑)。個人的感想でいうと「目をつぶって聞いているなら素晴らしい」ジーザスでした(笑)。果たして誉めてるんでしょうか、けなしているんでしょうか。良くわからないですね。僕(あくまでも個人的な感想ですからねえ(笑))が不満だったのが「顔」というか「表情」。「神としてのジーザス」の一種の清々しさと「人間ジーザス」としての苦悩とかとまどいというものが同居して表情に微妙な変化を見せるっていうのが僕の理想のジーザスなんですけど、なんか単なる無表情に見えてしまったのです。無機質ジーザス。噂によると浅利さんは「歌える」という理由で柳瀬さんを抜擢したそうですが、確かに歌には迫力があって素晴らしかったです。ゲッセマネなんて久しぶりに歌で感動しました。でもJCSってジーザスが舞台にいて他の役の俳優さんが歌っているっていうシーンが結構あるんで、なんか妙に無表情差が気になってしまうんですね。。まあそういう演出が好みという方も多いでしょうが、僕はちょっと違和感を感じてしまいました。あと表情だけでなく「顔」のほうもジーザスに見えなかったんですけどね。もうちょっとメークのしようがあるんじゃあないのっていう感じ。なんか一瞬島田伸助さんに見えてしまって後々までひきづってしまいました(失礼な奴ですね。)

 次に芝さんのユダ。これも申し訳ないですけど、僕のイメージとは合わなかったです。なんかふてぶてしすぎてまるでエビータのチェを見てるみたいでした。僕のユダにいだいているイメージっていうのは「ジーザスを愛するが故に裏切る」という宿命を負った弟子。もう少し壊れやすく、自己弁護と愛との間で苦悩する弟子。自分とジーザスに対する甘え故に墜ちてゆく弟子。そういうイメージなんですね。芝さんのユダっていうのは何か自分に対する自信みたいなのが目についてしまって少なくとも僕のイメージとは違ったものでした。今突然思いついたんですけど、沢木さんと芝さん逆にしたらどうかなあ。

 鈴木さんについてはエビータを見た時、野村エビータよりも良かったんで期待してました。マリアっていうのは「女」と「母」を同時に感じさせてくれる男のとってはもうたまらない存在です(笑)。そういう意味ではジーザス以上に「神々しい」存在です。鈴木マリア、「女」は充分感じさせてくれましたが「母」の部分がちょっとねえ。やっぱり野村玲子さんにやって欲しかったなとちょっと思ってしまいました。ただこの日の鈴木さん、ちょっと調子悪かったんじゃあないかなあ。あんまり声も出てない印象でしたし。そういえばなんとなく鈴木さんが太田裕美さんに見えてしまいました。島田伸助さんに見えた柳瀬さんといい相変わらず失礼な奴ですね。

 なんか文句ばっかり言ってますねえ。まあこればっかりは個人の感覚なんでご容赦下さい。でも今回のJCSっていうのは逆に四季の底力を見せつけられた舞台でもありました。もう出番を待ち望んでましたといわんばかりの沢木ヘロデ。久しぶりに沢木さんを見れて幸せな気分に浸っていました。相変わらず健在ですね、沢木さん。一度でいいから沢木ファントム見たいなあ。そして掲示板でもどなたかが書かれていましたが「元気なおじさんたち(笑)」。松宮さんを初め絶品です。あとアンサンブルの役者さんたちも始めて観たJCSに比べると相当レベルが上がっています。やはり全体としてのレベルはミュージカルを始めた頃に比べるとそうとう上がっていますね。さすが四季というところです。

 全体としては違和感はあったけども結構楽しめたという所でしょうか。ただ僕は山口ジーザスの時にも違和感を感じながら観ていたので、もしかするとこの作品に関してはちょっと普通の方々と感覚が違うのかもしれません。ただ「JCS」というミュージカルはいつも気になる存在で、公演があるとたいてい観てしまいます。上のほうにも書きましたけど、この作品は学生時代にミュージカルにはまるきっかけになった作品の一つなんで自分の中に「JCSはこうあらねばならない」というトラウマ的なものが存在しているのかもしれません。

 
(98/11/28)
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