席種とマナー

 四季の「ライオン・キング」、2000年3月分までチケットが発売されるようですね。ブロードウェイを抜いたとかいう宣伝文句になっていましたが、さすがに1年以上先のチケットを確保しようという気にはならないですねえ。サラリーマンとしてはその頃東京にいるかどうかもわかりませんしね。それに1999年7月に人類が滅亡してしまったらチケットの払い戻しとかどうするんでしょうか(笑)。そんなバカな心配はさておき、そんなにチケット売れているのかな?去年の12月に四季劇場に行った時は3月から4月までにかけてはほとんど満席状態だったのですが、それ以降は結構残っていたような気がします。大阪公演も始まるし、評判は抜群という訳ではなさそうなので少し心配してしまいます。それにしても来年3月公演分までのチケットが売れれば、四季に入る事前収入は相当なものになるでしょうね。税法上どういう処理をしてるのかな(笑)?やはり収入は来年度に繰り越すのかな。(余計なお世話ですね。)

 四季といえば、「アルプ」の新年号でまた「ケイタ君」が問題発言をしていますね。四季劇場の座席の事です。なんかミラノのスカラ座の例を出して説明をしているみたいですけど、ちょっと「言い訳」にしか聞こえませんね。最初のチケット発売の時は何のアナウンスも無くて、そのあと(多分)見に行った人からクレームが来て始めてお知らせしたという感じですもんね。どうせなら見えにくい席については千円位で売り出すとか、前売りでは売らずに当日券として値段を安く設定して欲しいもんです。こういう舞台とは別次元のトラブルで問題が起きてしまうのは、必死になって舞台を勤めている役者さんにも申し訳が立たないと思ってしまいます。

 で座席といえば思い始めたのですが、最近は席種とお客さんのマナーが比例しているような気がしてきました。要はS席のほうがマナーが良く、席種が下がるに従ってマナーが悪くなるという事です。この一年位を考えても、観客のマナーでちょっと嫌な思いをしたのが全部B席かC席です。確かにS席、それも前方の席を確保されている方は、「見たい!」という気持ちが強くて、発売当日に一生懸命チケットを取るのでしょうから、「ずっと待っていた」舞台、マナー良く見るのも当然でしょうね。僕も是非とも良い席で観たい舞台については必死で電話しますから。(結果が伴わない場合もよくありますけど(笑)。)

 僕がミュージカルを見始めた頃のB席やC席っていうのは、「ミュージカルは大好きだけど、S席を買うお金なんかありませ〜ん。」という感じの学生や、役者志望の若い方が結構多くて、どちらかというと「ミュージカルを楽しむ。」というよりは「舞台の勉強・研究」をしてるといったような風情の方が多く、なんかS席とは違う心地よい緊張感みたいなものがあって、その「まばたきも惜しい」という独特の世界に入れる事が一種のステータスみたいになっていました。僕も学生時代からお芝居は観てたのですが、パンフレットを買う余裕の無く、ただひたすら舞台を観ていました。まあミュージカルに限らず、舞台を観るという事が今のように普及してなかったという事もあるのですが、今になって冷静に考えるとちょっと異様な世界でしたね(笑)。まあ劇団なんて一種アングラなものでしたからねえ。

 最近では四季の(良い意味での)努力もあって「ミュージカルを観る」という事は日常生活の中に普通に入ってきました。という事で「何か話題のミュージカルらしいから一度見ておこうか。」という方も増えてきています。まあそれはそれでミュージカルファンの底辺を増やすという意味では非常に良い事なのですが、それに伴って、(ちょっときつい言い方ですが)訳のわかってない方も舞台を観るようになって来たという事も事実ですね。ミュージカルなんて観るのは始めてなので、とりあえず安い席でいいやという考えでB・C席を取るのでしょうか。それとも既にS席は埋まってしまっていたのでB・C席を取るのかもしれません。ただミュージカルを観るのは始めてといってもやはり常識というものはわきまえて欲しいです。要は他人に迷惑をかけないという事ですね。何でもいいからとりあえず静かに観ていてくれ〜!という心の叫びを感じて欲しいもんです(笑)。

 ただ僕個人的には「始めての観劇」というのはできるだけ良い席を確保して観てもらいたいと思っています。どうせ観るのなら役者さんの表情が見える位の距離で観てもらうのが一番いいと思います。それでおもしろくなければ、しょうがないと諦めてもらって(笑)いいでしょうが、後ろの方の席で観てなんとなくつまらなかったなあと思われるのが一番残念です。

 また四季がディズニーをやるようになってから子供がミュージカルを観る機会も増えてきたようです。それはそれで結構な事なのですが、前にも書いたように、「親の勘違い」でミュージカルを見せるのだけは止めて欲しいです。小学校低学年の男の子に「ファントム」見せて、横で一生懸命解説していたお母さん、お子さん、完全に「心ここにあらずモード」でしたよぉ(笑)。まあ個人差がありますから、本当に興味のある子にはどんどん見せてあげても良いと思うのですが、そういう子供の観劇についても最初はできるだけ良い席で見せてあげれば良いと思います。僕も初見の舞台はできるだけ良い席を確保しようとします。2回目以降はまあその時の財政事情によりますが。

 昔の話ばっかりすると、自分が年を取った事を痛感してしまうので、あまりやりたくないのですが、やはり昔の安い席は良かったと思います。いくら安い席といっても「見えない場面」なんかほとんどなかったですし、本当の「ミュージカル好き」が集まっていたように思います。これって生活が豊かになって来たという事なのかな?ちょっと違う気がするんですけど。

(99/1/10)