列に入れよ
我ら夢見る明日が来るよ〜♪という事で、観て来ました、「レ・ミゼラブル(6月16日ソワレ)」。今回の帝劇公演ツアー全5回中の第一回です。ただ、まるでキャストスケジュールを確認せずにチケットを取った結果、いろいろと不都合が発生している(笑)のであと2回位行くかもしれません。レ・ミズは色々な思い入れのある作品で、毎日観ていてもいいという位の作品ですので、もう行く前からわくわくしてました。行く前といえば、僕はちょっと皮膚が弱くて、休日なんかは絶対髭を剃らないのですが、この日は行く前にちょっと考えてしまいました。掲示板で席番まで公開してますし、「う〜ん、誰に会うかわからないからなあ。」と思いまして、ちゃんと髭を剃って行きました。日曜のソワレなんで、知っている方もいないかなあなんて思ったのですが、髭剃って正解でした(笑)。考えてみたら戸井マリウスなんですよね、この日。
昼過ぎに家を出て、ちょっと用事を済ませて劇場入りしたのが開演5分前。電車の乗り継ぎが良かったんで、間に合いましたが、途中は相当心配でした。お芝居を観る時はやっぱりちょっと早めに入って余裕を持って観たいもんですね。最近「5分前」に滑り込むというのが続いてるんですけど(笑)。帝劇に着くと、まず目に飛び込んだのが「**中学校受付」みたいな受付机。「おいおい、日曜日のソワレだぜ。こんな日に中学校の団体観劇なんてあり??」と思ったのですが、どうも修学旅行だったようです。それも2校(笑)。一抹の不安を抱えて4番扉から場内に入ったのですが、入った瞬間、そこは中学生の溜まり場!1階通路から後ろの下手側ブロックが修学旅行の中学生で占領されていました。(ちなみにもう1つの学校は2階席だったようです。)で、皆さんお揃いの(笑)お弁当を持っています。開演5分前という事で、ほとんどの生徒さんは「食後」という感じだったのですが、何人かはまだお食事の真っ最中。僕は劇場で、幕の内弁当のようなものを食べるというのはあまり好きではない(サンドイッチとかおにぎり位だったら別に何とも思いませんが。)ので、ちょっとびっくりしてしまいました。「頼むから公演中は止めてね。」などと思いながら、自分の席に着きました。後から気づいたのですが、もう一つの中学校は観劇後帰りのバスに乗り込む時にお弁当とウーロン茶を配っていました。揺れるバスの中でお弁当を食べろというのもちょっとかわいそうですし、食べ盛りの中学生がお弁当で足りるのかどうかなどと下らない心配をしてしまいました。
一応キャストを挙げておきましょう。敬称略、しかも簡略版です(笑)。滝田、村井、岩崎、本田、純名、戸井、山形、前田、岡。座席について、客電が落ちると拍手が湧きました。ミュージカルで開演前の拍手を聞くのは珍しいなと思ったのですが、例の中学生から拍手が湧いて、それに他のお客さんも反応したようです。もしかしたら先生に言われたのかな(笑)。とは言いつつ、開演前の拍手っていうのは結構気分の良いものなので、割と良い気分で開演を向かえたのでした。
今回の「レ・ミズ」は久々という事もあり、雰囲気を味わうつもりで観ようと思っていたのですが、やはりどうしても戸井さんに目が行ってしまいます。掲示板で盛り上がっていた事もありますし、(以前から出演していたとはいえ)新キャストなのですから、当然ですね。個人的な感想を言ってしまうと「生真面目マリウス」。別な言葉で言うと「気配りマリウス」。コゼットに一目惚れをしてしまう訳ですが、戸井マリウスだったらなんとなく自分の感情を殺して仲間と行動を共にしていった方が自然ではないかな等と思ってしまいます。マリウスって脳天気さとひたむきさが表裏一体となる結構難しい役所だと思うのですが(その割には損な役所ではありますが(笑))、戸井マリウスはどちらかというとひたむきさが表に出ている感じです。そういう面では狂おしいばかりの恋心という感情を前面に押し出している石川マリウスとは対照的なものがあります。石川マリウスは(前回公演の印象ですが)、コゼットへの愛の為なら虹の彼方はおろか、銀河系の彼方まで飛んで行ってしまいそうな危うい所が見られるのですが、戸井マリウスは、愛に溺れるという事は無く、どちらかというと冷静に自分を見つめているような所が感じられました。個人的な感触で言うと戸井さん、マリウスよりもアンジョの方が向いてるんじゃあないかな。ただまだ動きにぎこちなさを感じたんで、これからどんどん良くなっていくでしょうけど。
本田さんと前田さんには同じ事を感じていました。良い意味で方の力が抜けたかなっていう感じ。テナルディエ妻っていうのは、いくらでも演技できますが、どうしても大げさになりすぎる部分があるのですが、この日の前田さんは本当に「自然な嫌み(笑)」になっていたと思います。本田さんは前回の公演の時、初回と2回目の印象があまりに違って(格段にうまくなっていました。)びっくりしたのですが、今回は余裕すら見えてきますね。最初の方は「世界のエポニーヌ」、島田さんを相当意識してるかなあという感じだったのですが、その後どんどん「自分の」エポニーヌを作り出しているような気がします。
あと掲示板にも書かれていましたが、ガブローシュ君、ちょっと幼すぎ。ガブローシュという役は子役でありながら子役でないという重要な役です。で「仕切るのは俺だ!」と叫ぶ訳ですから、幼い中にも利発さとふてぶてしさと「悪さ」が同居していないと説得力が無いですよね。この日のガブ君はちょっとねえ。やはりどんなに良い演技をしてもさすがに小さ過ぎます。今まではほとんど気にならなかった(言い換えればそれなりに満足していた)ガブローシュですが、この日はだいぶ気になってしまいました。あの役、小学校6年生位が適役なのかな?でも最近の子供は図体だけは成長が早い(=精神の成長がついていかない?)ので、もしかしたら6年生位だともう声変わりしちゃってるのかもしれませんね。オヤジ声のガブ君なんてしゃれにならないですよね。
この日改めて感じたのですが、純名さん、綺麗ですねえ(笑)。舞台映えがするかというと僕は純名さん、「レ・ミゼ」でしか見てないのでちょっと判断に迷う所なんですが、この日の座席(F列下手側)からははっきりと表情まで見えました。やっぱり綺麗だわ(笑)。コゼットの持つ「上品な綺麗さ」が見事に出てますね。マリウスがうらやましいな。僕だったら「共に闘う」なんて選ぶ訳がないのになあなんて思いながら見とれていました。といいつつやはり(この日はいない)ほのかさまが一番だったりする訳ですけど(笑)。
ただちょっと感じたのは、アンサンブルを含めて新しい方も多いのでしょうか、まだまだぎこちないなあという感じ。それにプリンシパルの方もいまいち声の出が良くなかったです。これがあと2〜3週間もすれば皆さん堂々たる声量で歌ってくれるんですけどねえ。岡ちゃんですら、最盛期(?)の声とはちょっと違いましたね。やはりロングラン最初の方の公演の宿命でしょうか。確か前回も最初と2回目でまるで声量とかが違ってたんで「あれ?」なんて思っていたんですけど。ただ、そういう条件の悪い中でも感動させる「レ・ミゼラブル」の作品としての質の高さを再確認させてくれる舞台であった事も確かです。「レ・ミズ」、好きな場面はたくさんありますが、その中のひとつであるバルジャンがマリウスに過去の自分を告白する部分あたりからもうずっと「うるうる」来てました。もう何十回も見た舞台ですから、これからのシーンが目に浮かんで来て条件反射で涙が出てきてしまいます。
今回のパンフ、買おうかどうか迷っていたんですが、舞台上でのキャストスケジュール(?)が載っているとの情報があったので購入しました。これから「レ・ミゼ」のリピーターになろうかと思っている方には便利ですよ。岡ちゃんの「おすましウェイター」姿なんてなんとなく徳した気分になります。
次回は6月の初旬に行く予定になっているのですが、「チケットの売れ行きがイマイチ」という噂を聞いたので終演後、チケット売場をのぞいてみたのですが、やはりまだまだチケットは取れるようです。完成度の高い舞台ですので、是非ご覧下さい。
(99/5/17)