art

 先週は舞台を2本見て来ました。まず一本目は「レ・ミゼラブル」。6月10日のソワレです。この舞台は「レ・ミゼラブル」を堪能しようとかそういう目的で行ったのでは無く、ただ単にほのか様を見にいったんですよね。ファンなんてありがたいもんで、何を見ても良くみえてしまうんであえてコメントはしません(笑)。ただファンテーヌの出番ってすぐ終わっちゃうんですよねえ。前のコゼットの頃は結構楽しめたんだけどなあ。コゼットとマリウスって最初の頃は「損な役だなあ。」と思っていたんですが、最近「結構いい役じゃあないの。」なんて思うようになって来ました。「レ・ミゼラブル」の「未来への希望」のようなものがあの二人に凝縮されている感じですね。ほのかファンティーヌも捨てがたいですが、コゼットもいいあな(←単なるファンモード)。両方やってくれないかな。

 で、この日でプリンシパルキャストはほとんど見た(大浦さんだけまだ見てない。)のですが、やっぱり好みって出てきますね。今の時点でも僕の一番の好みを挙げておきましょう。あくまでも「好み」であって「うまい、へた」では無いんで、「あの人の名前が入ってない。」なんて怒らないで下さいね(笑)。鹿賀バルジャン、村井ジャベール、純名コゼット、ほのか様ファンティーヌ、本田エポニーヌ、石川マリウス、岡アンジョ、斉藤テナルディエ、森マダム。本田さん、しっかりエポニーヌを自分のものにした感じですね。

 土曜日は久しぶりのストレートプレイです。「art」という舞台なのですが、市村正親さんが出演しているという事で見た方も多いのではないでしょうか。これ、おじさん3人の舞台なんですよね。個人的にはきれいな女優さんが見たいんだけどなあ(笑)。なんて言ってますが、結構楽しみにしていた舞台で、感想はといえば期待通りおもしろい舞台でした。

 この先、ちょっとネタバレもありますので、これから見る方で、あまり予備知識を入れたくないという方は見てから読んで頂いたほうが良いと思います。

 このお芝居、仲の良い3人のおじさん達(マーク、セルジュ、イワン)が、セルジュの購入した現代絵画が元で、3人の関係にひびが入っていくという内容なんですが、舞台装置はシンプルそのものですし、音響効果もまるでありません。3人の表情と台詞だけで舞台が進んで行きます。という事で失敗すると退屈になりがちな芝居なんですけど、3人(市村正親さん、平田満さん、益岡徹さん)の「間」の取り方が抜群で飽きさせません。これぞストレートの醍醐味といった感じでしょうか。その中でも光っていたのが平田さん。人生の成功者である他の二人に若干の劣等感と羨望感を抱きながらも自分の役柄をしっかり果たして行く事で自分の存在感を見いだすという難しい役所をきっちりこなしていました。それに平田さんの役(イワン)、「見せ所」もありますしね(笑)。

 話としてはマーク(市村さん)とセルジュ(益岡さん)との間に生じた感情の行き違いをおもしろおかしく見せていくのですが、そのあたりは脚本の良さもあって素直に感情移入する事ができます。3人の表情を見ているだけで楽しい舞台です。なかなかストレートの感想を文章で表すっていうのは難しいんで、是非一度見て下さい。短い(約1時間半)お芝居ですが、おすすめです。コメディとうたっていますが、結構自分と照らし合わせて考えさせられる所のある秀作です。まわりにもこんな奴いるなあっていう思いも出てきますね。

 ひとつだけ疑問が残っている所があるんですけど(笑)。
 最後の台詞ってマークがあの現代絵画の表している事を完全に理解しているっていう事ですよね。果たしてマークはあの絵画の価値を最初からわかっていたんでしょうか。それともあの絵に落書きをして理解する事ができたんでしょうか。それにセルジュはマークが理解する事を期待して落書きさせたんでしょうか。そのあたり結構気になるんですけどね。ただ何度も見たからといって理解できるような感じじゃあないですしねえ。ご覧になった方、どう思います?

 この日のロビー、今うわさの(笑)市村さんの後援会の案内が置いてあったり、「国定忠治」や「市村座」の公演チラシがあったりして、嫁さんが舞い上がっていました(笑)。またチケット代の為に働く事になるんでしょう。

 最後にこの日の公演でひとつだけ腹のたった事。皆さん、当たり前ですけど、携帯電話の電源は切っておきましょうね。最後のほうの結構緊張した場面でディズニーの着メロが突然流れ出して、興ざめでした。あれ、鳴らした人、めちゃくちゃ恥ずかしいだろうなあ。

(99/6/13)