アスペクツ・オブ・ラブ(7月10日マチネ)

 久々に四季の舞台を見てきました。最近レ・ミゼにかまけていたので、結構間が開いてしまいました。四季劇場に着いてみると、劇場前の芝生の所でお弁当を食べている方がたくさんいます。「一体何が起こったの?」と思ったのですが、劇場前に机が出ていて「○○○○新聞」の名前がありました。「げっ、団体だあ。一体どっちなんだ?この手の団体って結構マナー悪い(失礼!)んでいやだなあ。」と思ったのですが、予想通り(笑)ライオン・キングのほうでちょっとほっとしてしまいました(笑)。でもあの観劇前のお弁当、雨降ったらどうしたんだろなどと下らない事を考えてしまったのでした。

 「アスペクツ・オブ・ラブ」、もう何年も前の初演時に見たのですが、印象最悪という感じで、見るのやめようかなと思っていたのですが、大阪公演が意外にも(?)結構評判が良かったので見る気になりました。この日の座席は僕の大好きな2階最前列センター。ここは前に視覚を遮るものは無いですし、勾配が急なので、後ろの方を気にせず首を振る事ができるのでお気に入りです。そういえばこの席、最初の「ラブ・チェンジズ・エブリシング」ではアレックスの目線がガンガン来ます。石丸ファンの方にはお勧めですね。2階席はS席両サイドがぽっかり開いてしまっていました。土曜日のマチネという絶好の時間帯でさえチケット完売しないんだなあとちょっと残念に思ってしまいました。

 またまた申し訳ありませんが、ちょっとネタバレした文章もありますんで、これから見るという方は読まないほうがいいかもしれません。

 この日のキャストです。

ローズ 保坂 知寿   アレックス 石丸 幹二   ジョージ 光枝 明彦
ジュリエッタ 井料 瑠美 マルセル 古島 肇 ジェニー 堀内 敬子
ヒューゴ 海 将人 エリザベス 横山 幸江

 なんか豪華なキャスティングですよね。特に女優さんは保坂さん、井料さん、堀内さんとトップクラスの方ばかりで他の舞台は大丈夫?なんて変な心配もしてしまいます。で感想はというと・・「曲は素晴らしいですよ・・・・(苦笑)。」はっきり言ってあんまり僕の好みの芝居では無かったです。前回見た時は僕も若かったですから内容が良くわからなかったのかなあなんて思いながら楽しみにしていたのですが、やっぱりダメ。あくまでも個人的な感想なんでもちろん「素晴らしい舞台だった。」と思われる方もいるとは思いますけど、ここは僕の勝手な感想を書くところなのでご勘弁を。

 物語はといえばアレックス・ジョージ・ローズ・ジュリエッタ・ジェニーの間の絡み合った愛を描いていくんですけど、僕には「私はあなたも好きなの。でもあの人も忘れられないの。でもあの人にも他に愛人がいるの。」みたいな自分勝手なわがままを「自分に正直に生きている」という風に美化してしまっている人たちの集まりっていうふうに思えてしまいました。舞台って大なり小なり「思い入れ」っていう感情が発生しますよね。もっと単純に言ってしまうと「ああ、かわいそう。」とか「よかったね〜〜♪♪」というような感情が自然に生まれてきますよね。それがこの舞台に関してはほとんど無かったですね。なんか別世界のお話という感じで。アレックスが17才の時にローズと恋におちて、そのローズはアレックスのおじさん(ジョージ)とくっついてしまうんだけど、ジョージにはジュリエッタという愛人がいて、アレックスはローズへの思いを忘れられないながらも他の女性にも手を出し、久しぶりに再会したローズへの思いを再び燃え上がらせながらも、ローズの娘にまで手を出そうとするし、最後にはジュリエッタとくっついちゃうし。って書いてて疲れちゃいますよね(笑)。感情移入できる役がないんですよねえ。

 だいたいジェニーなんて15才でしょ。その時アレックスはどう考えても20才以上年上のはず。だいたい40を目前にした男がルーズソックスはいてる年代の女の子に恋するなんて下手したら援交の世界だし、淫行条例(?)で逮捕されちまうぞなんてわけのわからない事を考えながら見てました。そんな事考えているっていう事自体が舞台に集中してないっていう証拠ですよね。

 といいつつ綺麗なおねえさん大好きなおじさんとしては保坂さん、堀内さん、井料さんという3人の方の美しい姿を見ることができたという意味(だけ?)ではそれなりに楽しめた舞台ではありました。井料さんって凄く失礼な言い方をしてしまいますけど、愛人役って適役ですねえ(笑)。さすがに堀内さんの登場シーンにはちょっと無理もありましたけど、髪の毛をおろして成長を表すシーンはほんとうに綺麗でした。あと光枝さんと堀内さんとの父と娘のダンスシーンはもの凄く素敵でした。あのシーンは必見ですね。しかしいいよなあ、アレックス。保坂さんと恋におちて堀内さんに言い寄られて、最後は井料さんを選ぶんだもんなあ。(完全に舞台と普通の生活を混同している(笑)。)

 石丸さん、最初の登場が17才という設定ですからどうなることやらと思っていたのですけど、さすがに役者さん、違和感は無かったですね。初々しさも出てましたしね。保坂さんも若いアレックスを(最初のうちは)翻弄していく役を上手にこなされていました。そういう意味では見所は多いですし、最初に書いたように「ラブ・チェンジズ・エブリシング」や「シーイング・イズ・ビリービング」を筆頭に美しい曲がたくさんありますし、繰り返し使われますので、自然に頭に入ってきます。良く出来た舞台ではありますし、この日の役者さんも皆さん出来は悪くなかったように思えるのですが、もう一度見るかと言われたら「もういいや。」って言ってしまいます。やはり感情移入できなかった事が一番の原因ではないでしょうか。こういう芝居って外国の方にはうけるのかな。

 最近掲示板のほうでもまた四季ネタが書き込まれるようになっているんですけど、やはり四季最近ちょっと元気ないような気がしてなりません。僕にミュージカルの素晴らしさを教えてくれた素晴らしい日本一の劇団ですからもっともっと頑張って欲しいものですね。でも最近なんか昔のようなエネルギッシュな面が失われてきちゃったような気がするんですよね。みんな優等生でそこそこ歌えるし、平均点はあがってきているんでしょうが、なんか型に押し込まれた感じですね。なんか一昔前の日本の企業の姿を見るような気がしてしまいます。四季という組織の中からそういう型を破るような人が是非出てきて欲しいですね。歌えないっていうのは論外なんですけど歌えるだけでも困るんだけどなあ(笑)。

(99/7/11)