最近暑さのせいか、「勢い」で行動する事が多くなってきてしまいました。ちょっと前に勢いで入ってしまった「ほのか夢クラブ」ですが、お茶会のお知らせが来ておりまして、最初ははっきり言ってこっぱずかしくて行くつもりはなかったんですけど、ある日なぜか「勢い」で申し込んでしまいまして、案内状(招待状というらしい)が届いてしまい、冷静になっている今ではまた恥ずかしさが戻ってきてます(笑)。ところで何着ていけばいいんだろ(おいおい・・)。
勢いといえば「レ・ミゼ」も今回の帝劇公演、開演前は1ヶ月に1回、計4回の予定だったんですけど、これまた勢いでさばきのチケット等で倍以上にはねあがってしまいました。でも良くないよね、悪魔のささやきメール(笑)。「まくぴさん、ほのかさんの日ですよ〜。前から3番目ですよ〜。よだれ席ですよ〜。」なんていうメールを頂くとついつい手が伸びてしまいます。その上、某銀行はインターネットから振り込みが出来るので、手間もかかりません。といいつつ悪魔のささやきメールは大歓迎(行けなければ行けないとはっきり返事しちゃいますし。)ですので(笑)。
ということで帝劇にも結構貢いでいるわけですが、果たしてS席1枚¥13,500は高いのか、安いのか。まあ安いと思う人はいないと思いますが。これが今日のテーマです。って別にレ・ミゼに限った事ではなくんですけどね。。
最近ネット上で麻雀ができる場が多くなってきています。このネット麻雀、手軽にできるのは良いのですが、なかなかシステムが不安定で突然スピードがものすごく遅くなったり、システムが落ちてしまう事がたびたびあります。僕が時々利用している所はふたつあるのですが、一つは利用は無料。登録さえすればいつでも利用できます。もうひとつは月に300円位の利用料金がかかります。で、システムが落ちたりすると、無料の方の利用者は「またか、しょうがねえなあ。」等と言いながらもとりあえず納得してしまいます。ところが月300円の利用料金がかかる方のシステムが落ちたりすると利用者の反応は過激になります。「金払ってるんだから、ちゃんとやれよーー。」月々300円といえども利用料金を払っていると思うと腹立たしさも跳ね上がります。ある代金を払っている以上、それに対する「見返り」を要求する、これが人間に基本的な感情なのです。
かと言って、お金を払っていても、見返りを求めない場合もあります。例えばあなたの恋人や親友が素人劇団に参加しているとしましょう。その劇団が公演をする事になり、あなたの恋人(または親友)が2000円のチケットを買ってくれと頼みに来たとします。あたなはそのチケットを買い、恋人の出演している舞台を見に行きます。たとえその舞台がおもしろくも何ともなくても、多分あなたは「損をした。」という感情にはならないはずです。それは払ったチケット代は舞台という見返りを期待したものでは無く、あなたの恋人への愛情から支出されたものだからです。
「レ・ミゼラブル」のS席は13,500円です。また四季のS席は概ね会員料金で税込み10,500円です。両方とも商業演劇ですから、当然見に行く人のほとんどは「見返り」を期待してチケットを購入します。この場合の「見返り」とは当然舞台の出来であり、芝居を通じて感動を感じたいという事でしょうか。例外としては「○○さんの顔さえ見られればよいの。」という方もいらっしゃるでしょうが、そういう方も「○○さんの顔を見る」という見返りを期待しているわけです。ただし舞台というのは生き物ですし、同じ舞台を見ても感じ方はそれこそ千差万別です。「すごく良かった、また見たい。」と思う人もいれば「二度と見たくない。」という人もいるでしょう。舞台とはそういうものです。で、「また見たい」と思う人が多ければ多いほど、それは興行的にも芸術的にも「素晴らしい舞台」という事になってくるわけです。
「レ・ミゼラブル」にしても、四季にしてもS席の料金を「安い!」と思う人はまずいないと思いますが、同じ舞台に何度も通うという事は、少なくともチケット代を払う価値はあると思っているという事です。「もう一度見たいけど、1万円以上出すのはいやだ」という事であれば当然もっと安い席を選ぶでしょう。日本の舞台というのは、リピーターと団体が無いと成立しない構造になっていますので、この「リピーターを増やす」という事は劇団やカンパニーにとって最重要課題です。それだけに、ある程度のリピータの動員が見込める作品については何度も上演される事になります。何といっても安定した収入が期待できますからね。
ではこのチケット代の収入、主催者側から見るとどうなっているのでしょうか。例えば、「レ・ミゼラブル」を考えてみましょう。帝国劇場の座席数は資料によると約1,830席です。この席全てが売りに出されるとは思えない(招待席もあるでしょうし、トラブル用に用意している席もあるはず。)ので、売りに出せるのは1,800席位でしょうか。平均単価は、計算すればわかるんでしょうが、面倒なので、約1万円という事にしておきましょう。という事は最大1公演で1,800万円の収入が期待できるという事です。ところが、よほど人気のある公演でなければ全てのチケットが売れるというわけではないので、主催者としては「チケット売上率」みたいなものを予測する事になります。例えば8割のチケットが売れると予測すれば1公演あたり1800×0.8=1,440万円の収入が期待できる事になります。で、この中から役者さんへのギャラやロイヤルティ、劇場の使用料金、衣装・装置などの制作料、人件費、その他もろもろに利潤を支出するわけです。
上にはこう書きましたが、実際の所は、先にチケット売上率を出して、そこから逆算してチケット単価を決めるようです。例えば、四季の「ライオン・キング」についてはチケットは絶対に売れるという計算をしていたようですし、「レ・ミゼラブル」についてはどうも6割位のチケットが売れれば元は取れるという計算をしているという噂です。(あくまでもこれは両方とも「聞いた話」ですので、真偽のほどは定かではありませんけど。)そういう意味では四季は良心的ともいえるかもしれません。
新作については当然再上演作よりも経費がかかります。大道具にしても大半は一から作るわけですし、チケットの売れ行きも予想できません。好評であれば再演や各地での公演という事が考えられますが、最初から再演等を想定したチケット代にすると大きなリスクを負う事になります。
四季にしろ東宝にしろ当然「株式会社」なのですから、利潤を出すのが一番でしょうし、利益が上がらない事には公演自体を維持できなくなりますから、いろいろな面でリスク回避をするのは当然です。スポンサーをつけるという事もそのひとつですし(僕はスポンサーを募る事には好意的な見方をしています。)舞台装置等についてはうまい手の抜き方も必要でしょう。そのあたりは僕もサラリーマン、わからない事はないのですが、一方でミュージカルというのは一種の文化活動です。リピーターを呼ぶためにもミュージカルファンの底辺を拡大する為にも、主催者にはできるだけ安く舞台を提供して欲しいものです。ただチケット代を安くする代償が質の低下というのは絶対に許される事ではありませんので、主催者側には、勝手な希望なんですが、質を落とさないチケット代の軽減に最大限努力して欲しいものです。
でも・・・やっぱりS席¥13,500は辛いですよね(笑)。
(99/8/15)