ラ・マンチャの男(9月4日マチネ)

 9月4日・5日とチケットの発売が続きましたね。4日は四季の「コーラスライン」、5日はタナボタ企画の「林くんと岡さん」でした。四季の方はまあ取れるだろうと思っていたので、特に心配もせずにあっさりと10時15分位につながったのですが、心配だったのが「林くんと岡さん」。優先予約で振られてしまった僕としては最後のチャンス(?)です。僕はいつも時報と同時に電話大作戦を開始するのですが、今日はなんとワンコールでかかってしまいました。ワンコールでかかるのはいいけど心の準備できてないよ(笑)。無事にチケットも確保できてラッキーでした。

 さて、個人的にとても楽しみにしていた「ラ・マンチャの男」です。最初に見たのはもう10年位前、大好きな舞台のひとつなのですが、そうそう公演してくれるわけではなく、今回で4回目の観劇になります。わくわくしながら青山劇場に向かったのでした。

 内容はというと期待通りの素晴らしい舞台でした。この舞台、3つの世界(監獄と劇中劇の狂気と現実)が入り混ざって進行していくという初見の方にはちょっとややこしいかなあと思うお話なのですが、そこは優秀な脚本、本当にうまく話が進んでいきます。この舞台は何と言っても幸四郎さんと鳳さんの存在感に尽きます。脇を固める役者さんも佐藤輝さん、上條恒彦さん、石鍋多加史等芸達者な方がそろっていますが、やはり何といっても主役二人の存在感につきます。ところで松たか子さんって歌うまいの?下手ではないんですけど、やっぱりちょっと「???」という感じですね。といいつつ佐藤サンチョも2年前に比べると自然なサンチョになっていて(言い換えれば2年前のサンチョにはちょっと不満が残ったのですが)幸四郎さんとの掛け合いも絶妙でした。

 この日は鳳さん、ちょっと喉の調子が良くなかったようなのですが、そんな事は吹っ飛ばす存在感です。アルドンサとしての強烈な激しさと最後の強いて言えば「ダルシネア」としての一途な清純さとが見事なまでに演じられています。そういえばこの日は観劇4回目にして初めて最後のアルドンサが「見果てぬ夢」をつぶやく場面で涙が出て来ました。この日の舞台、なぜかツボにぴったりはまってしまったのです。僕は鳳さんの舞台って「ラ・マンチャ」以外はあまり見た事がないのですが、アルドンサ役、はまり役だと思います。

 幸四郎さんについては、「狂気と色気」を感じさせてくれる数少ない役者さんの一人だと思います。お話も狂気と現実とを行き来しながら進行して行きますが、幸四郎さんもしっかりとその狂気を狂気として演じてくれます。幸四郎ドン・キホーテについては本当に何も言うことがありません。そういえば歌舞伎の世界の方ってこの「狂気と色気」を兼ね備えている方が多いような気がします。やはり育った環境の賜なんでしょうか。

 この日の舞台ではもうひとつ凄く嬉しい事がありました。この「ラ・マンチャ」、幸四郎さんがかつてブロードウェイで演じて以来、カーテンコールで気分がのっていると(?)英語で「見果てぬ夢」を歌ってくれるのですが、今で一度も見た事がありませんでした。ところがこの日、盛大な拍手の中再登場した幸四郎さん、指揮者の方にちょっと合図したかと思うと夢にまで見た(大げさか)「THE IMPOSSIBLE DREAM」の歌声です。舞台の出来も大満足でしたし、カーテンコールにも大満足の本当に「見て良かった。」という舞台でした。

 劇場を後にする時、「ラ・マンチャ」の男のチラシがたくさん置いてあるのを見て「チラシ、ずいぶん余っているのね。」なんてのんきな事を思っていたのですが、手に取ってみると何と来年の公演決定のチラシ。来年は舞台を日生劇場に移して上演されるそうです。今年の11月から12月にかけては「ラ・マンチャ」、「ローマの休日」、「エリザベート」と見たい舞台のチケット発売が続きます。嬉しいんですけど、頭痛いな。

(99/9/5)