ロッキーホラーショー(12月24日)

 今年最後のミュージカルとなったのは「ロッキーホラーショー」です。先週「スクルージ」を見て言葉では言い表せない位感動していたのですから、スクルージで今年の打ち止めとしておけば非常に美しい一年で終わったような気もするのですが、余計な事をするものです(笑)。そしてこの日はクリスマスイブ。渋谷駅からPARCO劇場まではイブを楽しく過ごそうという若いカップルで通勤電車のラッシュ状態です。若いっていいのねなんてちょっとひがみながら劇場に向かったのでした。

 劇場に入ってみると、見に来ている方々は結構普通のファッションをしています。ロッキーホラーショーの場合は奇抜なファッションの方も多いので楽しみにしていたのですが、この日は平日という事もあってか割と普通の方が多くてちょっと残念でした。

 ロッキーホラーショーは僕の好きなミュージカルのひとつです。「レ・ミゼ」とか「ファントム」のような格調高いミュージカルでは無いのですが、なぜか気にいっています。考えてみたら絶対四季ではできない舞台でしょうね(笑)。だいたい出演者の名前を見ても一筋縄ではいかないぞという感じがします。出演者の名前を挙げておきましょう。ROLLY、安岡力也、KONTA、本田修司、池田有希子、オナペッツ(宝ダイヤ、宝ルビー)、瑳川哲朗他。ストーリーは婚約したばかりのカップルが、ちょっとした事故である屋敷に迷い込んでしまうのですが、その屋敷はバイセクシャルのエイリアンの本拠地で、そこで大変な経験をするというものです。

 とあらすじを書いてもはっきり言って想像できないでしょうね(笑)。はっきり言って、普通のミュージカル(?)と比較すると、歌も踊りもたいした事はありません(失礼!)。でもこの舞台には何かわかりませんが、もの凄く惹かれるものがあります。内容を考えると人間の心理的プレッシャーが極限を超えた時どうなるかとかそういう理屈はいくらでも出てきますが、理屈より先に感情で惹かれてしまうのです。特に見て欲しいのがジャネット役の池田有希子さん。最初は清楚なお嬢さんがお似合いですが、どんどん壊れていく様は必見です。最初はおびえているのに、気がついてみると腰を振り踊っている。その時の目の表情の変化は初めて見た時は「やられた!」なんて思ってしまいました。

 フランクを演じるROLLYは、めちゃくちゃ似合っています。映画のフランクにも負けていません。網タイツ姿も美しいですしね。なかなかこういう役は簡単そうで難しいと思うのですが、うまいものですね。安岡力也さんはなんか演技はうまいのか下手なのか全然わからないし、歌もはっきり言って歌詞が聞き取れない(苦笑)。でも、そんな事は関係ない位の存在感です。そういう意味ではこの舞台、ともかく舞台にあう雰囲気を持った役者さんをチョイスした感じです。でそれは大正解なのではないでしょうか。

 この「ロッキーホラーショー」、観客の方も普段のミュージカルとはちょっと違っています。コアなファンが多いというか、本当にこの舞台が好きで、一緒になって楽しもうとするお客さんがもの凄く多いです。確かに他のミュージカルでもそういう方はいるのですが、この作品に関してはとりわけ多いような気がします。その分、つまらない舞台を見せたら承知しないぞという雰囲気も伝わってきます。良い意味での緊張感のある舞台ですね。

 「ロッキーホラーショー」というとどちらかというとB級であるとかカルトな面が強調されているようですが(僕もそういう風に書いちゃってますけど)、曲も結構良い曲が揃っています。特に「OVER AT THE FRANKENSTEIN PLACE」とか「I'M GOING HOME」なんていうのはバラードの名曲ですし、「THE TIME WARP」という楽しいシーンも用意されています。「TIME WARP」なんかは観客参加型の歌で、実際に客席で踊っている方もいらっしゃいます。僕も一度踊ってみたいと思っているのですが、やっぱりちょっと恥ずかしさが先立ってしまいます。振りは覚えているんだけどなあ(笑)。

 何度も書いていますが、この舞台、カルト的な人気を誇る作品ですが、一度は見る価値のある作品だと思います。来年には地方公演も予定されていますので、機会があれば是非どうぞ。でもやっぱりイブは「スクルージ」だったかな(笑)。

 今年の「徒然草」はお休みもありましたが、今回で最後。となるはずだったのですが、もしかしたらもう一度更新するかもしれません。すべては明日、月末&年末の忙しいなか会社から定時退社できるかどうかにかかっています。ただ更新するにしてもきっと壊れている事でしょう。徒然草愛読者の方々(笑)、明日(12月27日)の夕方は、「まくぴ君が定時退社できますように!」と祈ってくださいませ。

(99/12/26)